IoT化とは何か?意味やメリット、業界ごとの事例をわかりやすく解説
IoT化とは何か?意味やメリット、業界ごとの事例をわかりやすく解説

「IoT化」について知りたいですか?この記事では、IoT化の意味や業界ごとのIoT化の事例を紹介します。
目次
IoT化とは
IoTは時代を象徴する科学技術の言葉の一つです。政府の「Society 5.0 - 科学技術政策」でも強調され、これからの社会に欠かせない技術としても取り上げられています。
ここでは、IoTの具体例を見ながら実現できることやメリットを解説していきます。
(参考)Society 5.0 - 科学技術政策 - |内閣府
IoTの意味
IoTとは「アイオーティー」と読み、英語のInternet of Thingsの頭文字を取ってIoTと呼ばれます。「I」(アイ)は数字の1や小文字の「l」(エル)と見間違いそうですが、英語の大文字の「I」(アイ)です。
日本語での直訳は、「物(モノ)のインターネット」となります。Thingsが複数形ですから、多くの「物」と「物事」をインターネットに繋いで何らかのメリットを生み出そうとする、技術のことです。
「IoT」について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
『IoTとは?Internet of Things(モノのインターネット)の意味や仕組み、事例を解説』
M2Mの意味
IoTに似たものとしては、M2M(エムツーエム)と呼ばれる概念があります。Machine to Machineの省略形でM2Mとなっています。to=2に置き換えてM2Mです。
クルマの自動運転システムのように、車載レーダーや車載カメラからの情報をAIが判断してエンジンの出力やブレーキシステムの作動、ハンドル操作による危険回避などを自動で行うための基礎技術です。IoTほど大きなネットワーク上でなくても、特定の作業や業務の効率化ができます。工場などでは、品質向上や安全管理にも大きく貢献しています。
機械どうしを直接接続して制御する場合もありますし、インターネットを介して接続される場合もあります。
「IoT」について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
『M2M(Machine to Machine)とは?意味や仕組み、IoTとの違い、事例を紹介』
IoT化で実現できる4つのこと
IoTの活用で様々なことが実現できますが、大きく次の4つに収斂されます。
「操作」「検知」「収集」「共有」です。
操作|外出先からビデオ予約
インターネットに繋がっているデバイスの機能を近くでも遠くてもコントロールできます。
例えば、リビングでリモコンを使って番組予約ができれば外出先などで、スマートフォンのアプリを使って同様のことができます。
検知|スマート農業
各種センサーがインターネットに繋がることで、オートマチックに各種作業を人の代わりに行えます。
例えば、気象情報と連動して温室の窓や換気口の開閉をロボット化できます。局地的な降水や突風などには現場にセンサーを設置することでローカル対応も可能です。
収集|カーナビゲーション
データや各種情報を収集して次の行動などを最適化する手助けができます。
例えば、都市部での運転時に渋滞情報や工事情報などを検討し、目的地へのルートをドライバーに提示してくれるカーナビなどがそうです。
共有|接触確認
データ共有はビッグデータの活用ではなくてはならないものです。収集されたデータも有効に活用できなければ無用の長物です。
例えば、コロナ禍で注目されたスマホアプリの一つに「接触確認」アプリがあります。これは感染者が近くにいること知らせるだけでなく、罹患者数や行動履歴の追跡にも役立ちます。
IoT化の3つのメリット
IoT化を進めるメリットは大きく3つあります。
「利便性の向上」「コストの削減」「ビジネスチャンスの拡大」です。
利便性向上
IoT化は多くの産業や働く現場を便利にしてくれます。
工場や生産現場では、定期的に行っていた機械の稼働状況や製品の仕上がり具合をリアルタイムで把握できるようになります。
また従来では肉眼では非常に難しかった不良箇所の検出も画像解析装置との連動で瞬時に大量の製品に対しても実施できます。
コスト削減
前項の利便性が向上することは、労働生産性の向上と人員削減、作業時間の短縮に大きく貢献できトータルコストの削減に繋がります。
また、良品率の向上や不良品の排除は製品への信頼性向上と企業のCSR向上に寄与します。
ビジネスチャンス
IoT化によって収集されるビッグデータは、新しいマーケットの創出やニュービジネスへの架け橋となります。
人々が移動する動態情報はショッピングセンターや商業地区の安全管理、流入制限などに活かされています。これは、次の段階では出店計画や業態変更にも活かせます。
業界や環境ごとのIoT化の事例

農業におけるIoT(スマート農業)|操作&コスト削減
「スマート農業」と呼ばれる、農業に最新のテクノロジーを導入して、「高齢化」「労働力不足」「技術継承の難しさ」「他分野からの参入によるイノベーションの必要性」と言う問題解決のために官民をあげて取り組んでいる施策です。
(参考)スマート農業の展開について|農林水産省,2022
その中で、自動トラクタの無人運転については課題もまだまだある中で、とても魅力的な将来像が見える取り組みです。
システムの概要は次のようなものです。
無人のトラクタが耕作エリアの農場(圃場)を遠隔操作で自動運転させるものです。
無人トラクタと有人トラクタの協調作業によって、耕起・代かき作業時間が30%以上も削減できた事例もあります。
(参考)自動運転トラクタ|農研機構
「スマート農業」について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
『【スマート農業】DX化の進む農業でのIoTの活用事例や製品を紹介』
「IoT・ICT×農業」について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
『IoT・ICTを活用した農業のメリットや課題、導入事例をわかりやすく解説』
漁業でのIoT化|収集&ビジネスチャンス
宮城県を核とした、東北大学、KDDIなどの産官学による漁業におけるIoT化の取り組みも注目に値します。
事業の概要は、定置網漁において海洋ビッグデータを活用した、新しい効率的漁業モデルを実証するものです。
この事例の大きな特徴は、各種センサーで漁場周辺の気象データや潮流データをスマートブイの開発と設置により収集すること。そして、そのデータを気象・海洋の公開データと結び付け解析し水揚げ量増減を前日比70%までの精度で予測できるようにするものです。
更に興味深いのが、水揚げした水産品を産地直送として都市部の消費者まで送り届ける産直ビジネスモデルに連動させている点です。
消費者(小売店)からのオーダーに連携したオンデマンド型漁業の実現を目指す先進的取り組みと言えます。
(参考)海洋ビッグデータを活用したスマート漁業モデル事業|総務省
「スマート漁業」について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
『【スマート漁業】DX化の進む水産業・漁業でのIoTの活用事例や製品を紹介』
建設業でのIoT化|検知&利便性向上
建設業界は大きな二つの問題を抱えています。
一つは、人材不足。もう一つは、安全問題です。
人材不足は少子高齢化が進む日本の構造的問題であり、全産業の共通事項です。
ここでは、建設業に特有のIoTによるソリューション事例を解説します。
IoTの特徴の一つである、センサー技術によるモニタリングシステムの活用事例です。
(参考)作業者安全モニタリングシステム|村田製作所
作業者の安全を守ることは最大優先事項です。
「安全第一」の看板を見ない建設現場は皆無です。
作業者のモニタリングシステムと言うと、映画によく登場するSWATや特殊部隊のヘルメットに取り付けられたカメラやセンサーを、司令部で指揮官や高官が見守るシーンを想像するかも知れません。
ここで紹介するのは、まさにこのようなヘルメット装着型のIoTデバイスです。
具体的には次のような機能を持っています。
①熱ストレス検知
ヘルメット装着者の熱ストレスを可視化します。脈拍数、活動量、推定暑さ指数(WBGT)からアラート通知や遠隔者にモニタリング情報を提供します。
②転倒・落下検知
一定時間横になっている状態や落下、転倒時にアラートを発報します。
③ヒヤリハット機能
事故を未然に防ぐための機能の装備もあります。つまずきや衝撃検知を自動検知し通知されます。重大事故を未然に防止するための機能です。
「建設業でのIoT活用」について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
『今重視される「建設業でのIoT活用」のメリットと具体的活用例』
製造業でのIoT化|検知&コスト削減

工場や生産ラインのIoT化は、製品の品質向上とコストダウンに直結する生産性向上の切り札です。
スマートファクトリーの第一歩とも言える生産ラインのIoT化は、工場で稼働する工具や機械、設備をネットワーク化し各種センサーからの情報を収集して活用することです。そのことによって不良率の低減、品質向上、生産性向上の各種課題の達成や問題の解決に繋げられます。
生産ラインの「見える化」の課題はIoT化により一段と推進できます。
①設備保全
生産設備の管理・メンテナンスは必須作業です。定期点検はもとより常に稼働中でも状態の監視は怠れません。
生産ラインの突然の停止は、納期遅延を招くだけでなく後工程を含めて膨大な修正を余儀なくされます。
設備のIoT化は常時監視を可能にし、故障が起こりそうな前兆や兆候の検知にも役立ちます。
②稼働の見える化
生産ラインが計画通りに稼働しているか、稼働と非稼働の切り替えや稼働率の変更もIoT化によって正確にタイムリーに行えます。
③トレーサビリティ
現在の製品生産はサプライチェーンに組み込まれた、一つの歯車です。最終製品に不具合や不良が発生した場合に、その原因解明が迅速に求められます。
後手にまわり対応に時間を取られれば企業や組織に致命的打撃を与えます。
IoT化により、「何が」「いつ」「どこで」「どのように」のファクトを正確にデータとして抽出できます。それらの情報をもとに「なぜ」が導き出され、どのように対策すれば良いかの問題解決の方向性が見えてきます。
(参考)工場のIoT化とは?|日立ソリューションズ東日本
「製造DX」「スマートファクトリー」について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
『【製造DX】スマートファクトリーとは?意味やメリット、課題やIoTの活用事例を紹介』
「製造業でIoT化」について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
『製造業でIoT化を推進するメリットや課題、事例を紹介』
小売業・流通業におけるIoT:収集&ビジネスチャンス
小売とはBtoC(B2C)と呼ばれ”business-to-consumer”の消費者行動です。
日本の小売業は2021年度で、150兆4,620億円にのぼります。
(参考)2021年小売業販売を振り返る|経済産業省
小売業でのIoT化のメリットは次の3点です。
①コスト削減②人的負荷軽減③サービス向上です。
一般店であれば、ほとんどの場合POSレジを導入しています。スーパーやコンビニの店舗を想像してみてください。
レジの役割は金銭管理だけではなく「販売時点情報管理」(Point of Sale)のための情報収集機能です。
この収集データをもとに、仕入れや商品管理、商品企画に活かすようにしています。
チェーン店の場合、商品販売状況が一定のスパンやタイミングで測れますので、商品発注のタイミングや切り替えなどをバイヤーがコントロールできるようになります。
品切れ防止はチャンスロス(機会損失)だけではなく「あのお店はいつも欲しい商品がある」と言うサービス向上に繋がります。顧客サービスの基本は笑顔だけではなく、欲しい物が欲しい時にあることです。
現在のスーパーやショッピングセンターでは、POSレジの活用以外にも定点カメラによる人流チェックや棚やショーケースの温室度管理をIoT化し販売戦略に活用しています。
「小売業・流通業」について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
『【小売業・流通業】課題やDX化のメリット、IoT活用事例を紹介!』
介護におけるIoT:共有&コスト削減
介護の現場では多くの課題と問題を抱えています。一番の大きな問題は、介護士(者)の長時間労働と過酷な労働内容です。それに加えた低賃金や無給(家族や親類による介護)の状態は一刻も早く改善されなければなりません。
介護の最終的な接点は被介護者と介護士(者)との関係です。
現場の負荷が軽減され、心に余裕を持った介護が継続されない限り、昨今のニュースで耳にする悲惨な事故や事件をなくすことはできないでしょう。
被介護者の同意を得ながらIoT化されたカメラやセンサーの装着・設置は有用です。定期的な見守りや体温・血圧・SPo2(血中酸素飽和度)を保存し共有することを可能にします。既にこれらデータはApple Watchや各種スマートウオッチで取得可能です。
GPSの活用を併せれば、ベッドから移動や徘徊もモニタリングできます。
必要な時に必要な人の支援や介護を受けられます。1:1の介護ではなく、1:n(多)のサービスを実現できるのです。
介護士(者)の時間の余裕と分散化される仕事によって経済的効果も大いに期待できます。
(参考)介護現場におけるICTの利用促進|厚生労働省
「介護DX」について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
『【介護DX】介護業界でのDXのメリットやデメリット、課題、事例を紹介』
都市でのIoT化|IoT化の全ての要素の集合体

スマートシティと聞くと多くの人はトヨタの「ウーブン・シティ」を思い浮かべることでしょう。
富士山の裾野に広がる近未来都市の実験プロジェクトです。
スマートシティは、前出のSociety 5.0の中でも大きく取り上げられているものです。
この「ウーブン・シティ」は、「操作」「検知」「収集」「共有」のIoT化で実現できることと、
「利便性の向上」「コストの削減」「ビジネスチャンスの拡大」と言う3つのメリットを追求する都市構想です。
詳細は「TOYOTA WOVEN CITY」に委ねるとして、概要だけ解説します。
(参考)TOYOTA WOVEN CITY | Woven Planet Holdings
①様々なものを織り込む都市”Woven”シティ
あまり聞き慣れないウーブンですが、織機で布を織る・作ると言う意味の英語のweaveの過去分詞形です。
豊田式自動織機からスタートした、トヨタ自動車らしいネーミングです。
初期居住者360人〜将来人口2,000人の708,000平米(東京ドーム15個分以上)の近未来都市です。
ウーブンシティでは、12の日常生活の領域設定を行なっています。モビリティが人々に出来ることをパートナーシップ企業や団体とともに研究を進めています。
②効率的動線設計
ウーブン・シティでは、安全で効率的なモビリティを実現するために、地上及び地下に都市物流や配送、歩行者・交通公共機関にそれぞれ別の経路が計画されています。
現在の都市交通では混在された自動車や自転車、歩行者の移動は、IoTによる連携でも衝突回避行動には限界があります。
それぞれの質量と物体の移動速度の大きな違いにより、事故回避を0にはできません。当初よりそういったリスクを折り込んだ都市設計のスマートシティでは「事故0」を実現できます。
③「事故0」のスマートシティの経済効果
交通事故による経済的損失(金銭的損失と死亡損失を合算したもの)は内閣府の調査によると約6兆7,500億円、GDP比1.4%と算定されています。
(参考)交通事故の被害・損失の経済的分析に関する調査研究報告書概要 |内閣府
これは単に経済効果の問題ではなく、交通遺児を生むことなく事故による苦痛や家族の悲しみを救う大きな社会問題の解決に繋がります。
「スマートシティ」について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
『スマートシティ(Smart City)とは?定義や課題、日本と海外の事例を紹介』
物流業でのIoT化|検知&ビジネスチャンス
現在の日本の物流施策は政府の閣議決定による「総合物流施策大綱」に基づいています。
コロナ禍で大きく業績を伸ばしたのが個配の分野です。国土交通省の発表でも、直近の数年間で取扱個数が約9.3億個増加し、約50億個にも登っています。
物流に最先端テクノロジーを導入することをスマートロジスティックと言い、IoT化による多くのメリットを既に私たちは数多く享受しています。
外出制限があり、買い物が制限される生鮮食品の配達も増えてきました。
配送中のコンテナ内の温度管理もセンサーによるモニタリングで基準値を維持しています。コロナワクチンの輸送などは人命に関わる厳密で正確性を求められます。
物流のIoT化は新しいビジネスの拡大を促進するだけではなく尊い人命にも関わる重要な仕事に発展しています。
(参考)総合物流施策大綱|国土交通省
「スマートロジスティクス」について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
『スマートロジスティクス(スマート物流)とは?意味や定義、メリット、活用事例を紹介』
住環境でのIoT化|操作&コスト削減
最近の住宅メーカーの宣伝には、スマートハウスと言うキーワードが頻繁に登場します。
「賢い住宅」とは、どのようなものでしょうか?
スマートハウスを支える技術はAIとIoTです。
国際的為替レートの変動とウクライナ情勢の変化により、日本でのエネルギー問題はこれまで以上に切迫したものになっています。
住環境におけるIoT化は省エネルギーと居住者の快適さを実現する一石二鳥のテクノロジーです。
スマートハウスのポイントは3つあります。
①省エネルギー②エネルギーの創出(発電)③エネルギーの備蓄です。
①省エネルギー
家庭内のエネルギーが一番使われているのは、意外にも照明です。次に冷蔵庫やエアコンなどの動力系になっています。
電球をLED化することで大幅に消費電力を削減できます。また人感センサーなどと連動したM2M照明器具の導入により、必要な時に必要な場所で灯りを手に入れられるようになります。
スマホアプリの活用で、家全体のエネルギーコントロールもできる時代になってきました。
② エネルギーの創出(発電)
一般住宅での発電で真っ先に浮かぶのが太陽光発電でしょう。高効率のソーラーパネルの開発と普及により家庭でエネルギーを創れるようになりました。
IoT化された家庭用発電システムは電力会社と連携することにより売電も可能になっています。
③エネルギーの備蓄
個人でもエネルギーを蓄えておく事が容易になってきました。高性能の蓄電池の開発は、太陽光発電の余剰電力の備蓄や安い夜間電力の備蓄を可能にしています。
省エネー創エネー蓄エネをネットワーク化してバランス良くコントロールするのがIoT化によるスマートハウスの実現です。
(参考)省エネポータルサイト|資源エネルギー庁
「スマートハウス」について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
『スマートハウスとは?有する設備やメリット・デメリットを解説』
駐車場におけるIoT(スマートパーキング):共有&ビジネスチャンス
スマートシティの先駆けとして、スマートパーキングが身近なところにも増えてきています。
駐車場のIoT化です。
スマートパーキングとは、空いた土地や駐車場の空きスペースを有効活用するためのIoTを用いたシステムです。
スマートフォンとIoT化した各種センサーをインターネット経由で繋ぎ、駐車場の空き状況、駐車料金、支払い、カード決済などを行います。
東京や大阪をいきなり「ウーブン・シティ」のように近未来化するには、少々無理があります。
スマートパーキングは時代の先取りの一方、過密都市が抱えている切迫した事情にも起因しています。
国土交通省の2022年の発表では、国内の自動車保有台数7,832万台に対して駐車場共有台数は543.9万台(2020年度末)と圧倒的に少ない現状です。
(参考)これまでの駐車場施策と今後のあり方について|国土交通省
スマートパーキングの必要性と需要は拡大の一途で、駐車場利用者にもオーナーにも大きなメリットをもたらします。
利用者サイドは、駐車場難民からの脱出、オンライン決済による短時間処理、利用履歴の取得による管理の簡便化などです。企業の営業担当者などは煩雑な経費処理から解放されます。
オーナーサイドは、1台分の駐車スペースをマネタイズ化でき、土地の有効活用の一つです。IoTセンサーの設置のみなので初期投資を抑えられます。駐車場の稼働率や売上管理がスマホ上で可能なため経営効率を上げられます。
「スマートパーキング」について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
『駐車場の新しい形スマートパーキングの仕組み・必要性・メリット』
太陽光発電所でのIoT化|操作&コスト削減
日本の太陽光発電の発電量は、2021年度には国内の年間の発電電力量の9.5%におよび水力発電の7.6%を上回っています。
世界的に見ても太陽光発電の累積導入量は約7,800万Kw(パネル容量DCベース)で、中国、アメリカにつぐ世界第3位です。
(参考)国内の2021年度の自然エネルギー電力の割合と導入状況(速報)|環境エネルギー政策研究所
太陽光発電所でのIoT化は、遠隔操作と発電量の監視をリアルタイムで行えることです。
発電量の常時監視は異常の発見にも役立ちます。日照量に対して発電量が少なければ、ソーラーパネルの異常や伝送系システムのトラブルなどです。IoTカメラの設置で状況把握もリアルタイムで行えるので復旧作業や対策も迅速に行えます。
大規模な太陽光発電所でも家庭やオフィスの小規模な発電システムでも、基本的なシステムは同じですからネットワーク化されれば、更に利便性とコストメリットも発揮できるでしょう。
「太陽光発電所のIoT化」について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
『太陽光発電所でのIoT/M2Mの活用事例とおすすめSIMを一挙紹介』
まとめ
IoTは単にインターネットにセンサーや機器を接続してデータや情報を取得するだけのものではありません。それはモノの先にあるコトを必要とする人々に繋ぐ革新的なテクノロジーです。IoTは人々の問題を解決し、安全性を向上させ、生産性を高めるために重要な役割を果たしています。最新のテクノロジーで実現するために欠かせない存在です。輝かしい未来を持つIoTですが、その裏には必ず課題や障害も存在します。災害やネットワーク障害、ヒューマンエラーなどが回避できない問題として潜んでいます。また、導入コストも無視できません。
しかし、これらの課題をよく理解し、適切に対処することが重要です。必要に応じて専門家の支援を受けることも有益です。IoTはモノとヒトを繋げるだけでなく、ヒトとヒトをつなぐ新たな可能性を秘めています。

IoTBiz編集部
2015年から通信・SIM・IoT関連の事業を手掛けるDXHUB株式会社のビジネスを加速させるIoTメディア「IoTBiz」編集部です。
関連記事

DX
ニュース
IoT
この記事では、シンクレイヤ株式会社と株式会社エヌ・シィ・ティが行う国内初の『50G-PON』の実証実験について紹介しています。
2025-01-20
1min

ニュース
AI
M2M
この記事では、株式会社ソラコムが提供するローコードIoTアプリケーションビルダー「SORACOM Flux」について解説しています。
2024-12-24
1min

ニュース
IoT
AI
この記事では、株式会社ニーズウェルが提供を開始した、IoT×AIソリューション「BearAI」について紹介しています。
2024-12-23
1min