【小売業・流通業】課題やDX化のメリット、IoT活用事例を紹介!
【小売業・流通業】課題やDX化のメリット、IoT活用事例を紹介!
流通業とは、小売業と卸売業を総称した業界を指します。本記事では、小売業・流通業と記載します。流通業界の具体例を挙げると、百貨店やコンビニストア、ドラッグストア、ホームセンター、スーパー、家電量販店などがあげられます。この記事では、小売業・流通業の課題やDX化のメリット、活用事例を紹介していきます。
目次
小売業・流通業の抱える課題と背景
長年、小売業・流通業では、「モノの売れない時代」と呼ばれてきましたが、現在、小売業・流通業で抱える課題や背景を紹介します。
店舗のショールーム化と消費者行動の変化
インターネットが普及してから様々なサービスが、インターネットを通して消費者へ提供されています。特に、小売業・流通業への影響が大きいのは、ネットショップやECサイトです。
現在では、オンラインでありとあらゆるものが買える時代になり、若者だけではなく、中高年も含めて様々な世代の人がオンラインで買い物をしています。
これまでオンラインでの買い物は、現物を直接見て確認することが難しいというデメリットがありましたが、これを解決したのが「店舗のショールーム化」という現象でした。
インターネットが普及する前の消費者は、百貨店やコンビニストア、ドラッグストア、ホームセンター、スーパー、家電量販店に行き目で確かめ、直接、商品を購入していましたが、現在では、店舗で実物を確かめ、より安く購入できるオンラインで購入するというというのが主流の消費行動となりました。
この「店舗のショールーム化」という現象が、小売業・流通業へ大きな影響を与え、以前と比べると、店舗での売上が上がらないという状態が続いています。
消費ニーズの変化(所有から共有の時代に)
昭和や平成の時代は、モノの所有をすることが当たり前の時代でした。
例えば、テレビを例にしても、「一家に一台テレビ」から「一人に一台のテレビ」というように、所有をすることを前提に、私たちの生活には、多くの所有物で溢れていました。自動車に関しても、昭和や平成の時代には、高級車を所有することが一つのステータスとされていました。
しかし、現在では、物理的なモノへの所有欲求は下がり続け、所有するのではなく、共有(シェア)という形で、モノを利用する時代になりました。
昭和や平成時代から令和になり、所有から共有・利用に変わった例は下記です。
・映画館、DVD→動画配信サービス(Netflix / AmazonPrime等)
・スポーツ観戦→動画LIVE配信サービス(DAZN等)
・自動車購入→カーシェアリング、レンタカー
・自転車購入→シェアサイクリング
この所有から共有の時代になったことが、小売業・流通業へ大きな影響を与え、以前と比べて、店舗での売り上げが上がらないという状態になりました。
コロナの影響
日本では、2020年頃から新型コロナウイルスが猛威を振るい、首都圏のみならず全国で「緊急事態宣言」「まん延防止」が2年以上続いています。
この影響で、小売店では「営業停止」や「営業時間の短縮」などを政府から要請されることも多く、消費者も不要不急の外出はしてはいけないという自粛状態が続き、百貨店やコンビニストア、ドラッグストア、ホームセンター、スーパー、家電量販店へ行く回数が減ってしまいました。
このコロナの影響を特に受けているのが、百貨店です。経済産業省が2021年に公表した『2020年小売業販売を振り返る(前編);コロナ禍で激変した小売業販売。全体では4年ぶりの減少だが、業種・業態毎に明暗が大きく分かれた』によると、成長率が前年比でマイナス25.5%でした。さらに、コンビニエンスストアも成長率がマイナス4.4%でした。
(参照)2020年小売業販売を振り返る(前編);コロナ禍で激変した小売業販売。全体では4年ぶりの減少だが、業種・業態毎に明暗が大きく分かれた|経済産業省
DX化・IoT導入の目的
ここでは、小売業・流通業におけるDX化・IoT導入の目的やメリット・デメリットを紹介します。
小売業・流通業のDX化・IoT導入の目的
小売業・流通業のDX化・IoT導入の目的として、大きく分けると、「費用削減」「人の負担解消」「提供サービスの質の向上」の3つの目的に分類することができます。
小売業・流通業のDX化・IoT導入をする際には、この3つの目的の複数の目的を達成するために、DX化・IoT導入をする企業もあれば、個々の目的単体を達成するためにDX化・IoT導入をする企業もあります。
1. 費用削減
DX化・IoT導入することで、これまで小売業・流通業に大きくかかっていた「人件費」「教育費」「在庫処分費」「管理費」などの費用を削減することが可能です。
2. 人の負担解消
これまで小売業・流通業では従業員の一人ひとりが、接客や在庫管理などの複数の業務や作業を覚えて仕事をしていましたが、覚えなければいけない業務が多く、ヒューマンエラーが起きてしまう状況もありましたが、DX化・IoT導入をすることで、人への負担を減らすことが可能になります。
3. 提供サービスの質の向上
DX化・IoT導入の進んでいる企業では、日々集積されるビッグデータと、AI解析をもとに、データドリブンで、これまでには、できなかったような消費者へ最適なサービスの提供を実現しています。
DX化・IoT導入のメリット・デメリット
ここからは、小売業・流通業におけるDX化・IoT導入のメリットやデメリットを紹介します。
小売業・流通業のDX化・IoT導入のメリット
小売業・流通業のDX化・IoT導入のメリットは大きく分けて3つあります。
1. コストの削減
DX化・IoT導入の大きなメリットの一つがコスト削減です。株式会社フレクトが公表されている『企業のDX推進に関する実態調査』の中で、企業が最も期待するDXの成果・効果は、「コスト削減」でアンケート回答企業の約半数以上がコスト削減を目的としてDX化を行なっています。
(参考)企業と顧客がデジタルでつながる「攻めのDX」を支援するフレクト、 企業のDX推進に関する実態調査レポートを発表|株式会社フレクト
2. データドリブンによる意思決定
ふたつ目のメリットのデータドリブンとは、勘や経験、度胸に頼った意思決定をするのではなく、正しいデータの収集と分析の結果をもとに、意思決定を行うことを言います。DX化・IoT導入を行うことで、会社組織や団体の意思決定プロセスがよりデータドリブンになり、会社の方針や経営戦略、マーケティング戦略がより一層正しく行えるようになります。
3. 顧客体験の向上
最後のメリットの顧客体験(CX / カスタマーエクスペリエンス)の向上とは、IT業界でよく使われる単語ですが、企業と消費者が新しい関係性を築き、収益性とロイヤリティの両立を目指していくマーケティング手法のことをさします。店舗などで溜まったビッグデータを活用することで、一人ひとりに最適な顧客体験を提供することが可能になります。
小売業・流通業のDX化・IoT導入のデメリット(課題)
DX化・IoT導入には、メリットだけではなくデメリットや導入までの課題も存在します。その中でも特にDX化・IoT導入の高いハードルになっている2つを紹介します。
1. 初期費用(導入時の費用)が高い
DX化・IoT導入には、ほぼ全ての場合にこれまで以上に初期費用がかかります。この初期費用は、小売業・流通業のみに限ったことではなく、全ての業界で同じようなことが言えます。
資金が潤沢にある企業は別ですが、この初期費用が高いという課題をどこまで解決できるかが、小売業・流通業に属する企業がDX化・IoT導入を成功させるための必要条件となります。
2. IT活用人材の不足
小売業・流通業の業務の中では、これまでITやIoT、ICTなどに慣れ親しんでいない人材がほとんどです。DX化・IoT導入には、それを活用できる人材が必要となりますが、その人材の確保がとても難しいのがもう一つの課題です。
全産業でIT人材やDX人材の獲得競争が過熱しているため、なかなか人材を獲得したり、教育したりするには時間とお金がかかってしまいます。
この問題を解決することがDX化・IoT導入の成功の一つの鍵です。
小売業・流通業のIoT活用事例
小売業・流通業で現在急激に進んでいる、DX化の背景やIoT導入の事例などを紹介していきます。
無人レジ(レジ作業のDX化)
米国では、Amazonが無人店舗の展開をはじめ、日本のコンビニエンスストアでも、セブンイレブンやファミリーマートが無人レジの導入を進めています。
これまで、店舗で買い物をする際には、必ず店員がレジで商品の「読み取り」「精算」「袋詰め」といった一連の作業を行なっていましたが、この無人レジでは、その一連の作業を消費者が行えるようにした仕組みのことです。
この無人レジを活用することで、下記3つのメリットがあります。
①人件費の削減と人手不足を解消
②感染拡大の防止
③店舗スタッフの定着率向上
無人レジの製品(一例)
・【TeamPoS/SP】無人レジ|富士通フロンテック株式会社
https://www.fujitsu.com/jp/group/frontech/solutions/industry/retail/pos/teampossp-m50/
・【WILLPOS-Self】無人レジ|東芝テック株式会社
https://www.toshibatec.co.jp/products/wpss900.html
・【HappySelf(3G)】無人レジ|株式会社寺岡精工
https://www.teraokaseiko.com/jp/products/PRD00405/
スマートマット(在庫管理のDX化)
従来の在庫管理では、人が直接倉庫で販売数や在庫数を目視で管理し、確認を行なっていました。しかし、このスマートマットは、重量センサーを搭載したIoT機器の上に商品や製品を置くだけで、残量や残個数を自動計測し、リアルタイムで在庫量や個数を管理する仕組みのことを言います。
このスマートマットを活用することで、下記の3つのメリットがあります。
①人件費の削減と人手不足を解消
②感染拡大の防止
③ヒューマンエラーの防止
スマートマットの製品(一例)
・【ゼロクリック在庫管理SmartMat】在庫管理|株式会社スマートショッピング
https://www.smartmat.io/
ダイナミック・プライシング(販売価格のDX化)
ダイナミック・プライシングとは、ある一定の条件によって商品やサービスの価格がリアルタイムに変動する仕組みのことです。値札や広告などのディスプレイをインターネットと連携し、表示価格を自動または、手動で遠隔操作できるようなモノです。
これまでの値札や広告の管理は、店員が一つ一つ人力で値札や広告の張り替えを行い、価格変更していましたが、このダイナミック・プライシングの仕組みを使うことで、世界中のありとあらゆる店舗の値札や広告を、一括で管理することができるようになります。
そのため、これまで各店舗でかかっていた人件費の大幅削減につながります。
さらに、IoTカメラを設置し、スマートフォンと連携することで、商品の目の前にいる消費者を一人一人自動的に識別できるシステムを活用することで、消費者ごとに最適な広告を表示することも可能です。
警備ロボット(セキュリティのDX化)
商業施設や店舗などで活躍するのが警備ロボットです。これまで、大型の商業施設などでは、警備のためにたくさんの人の警備員を長時間配備する必要がありました。しかし、この警備ロボットは、電力があれば、24時間365日警備業務にあたることが可能です。
この警備ロボットを導入することで、下記3つのメリットがあります。
①人件費の削減と人手不足を解消
②警備員の負担軽減
③警備の質向上
警備ロボットの製品(一例)
・【REBORG-Z】警備ロボット|綜合警備保障株式会社(ALSOK)
https://www.alsok.co.jp/corporate/robot/reborg-x/
・【ugo Pro】警備ロボット|ugo株式会社
https://ugo.plus/ugo-pro/
・【SQ-2 SECURITY ROBOT】警備ロボット|SEQSENSE株式会社
https://www.seqsense.com/
・【SECOM Robot X】警備ロボット|セコム株式会社
https://www.secom.co.jp/campaign/robotx.html
IoTBiz編集部
2015年から通信・SIM・IoT関連の事業を手掛けるDXHUB株式会社のビジネスを加速させるIoTメディア「IoTBiz」編集部です。 DXHUB株式会社 https://dxhub.co.jp/ 京都本社 〒600-8815 京都府京都市下京区中堂寺粟田町93番地KRP6号館2F 東京オフィス 〒151-0053 東京都渋谷区代々木1-25-5 BIZ SMART代々木 307号室
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