スマートハウスとは?特徴や設備、メリット・デメリットをわかりやすく簡単に解説
スマートハウスとは?特徴や設備、メリット・デメリットをわかりやすく簡単に解説
スマートハウスとは聞いたことがあるけれど、どのような住宅なのか知らない方も多いのではないでしょうか。この記事では、スマートハウスの概要や設備、メリットなどスマートハウスに関する基礎知識を解説していきます。スマートハウスが実現すると電気代の節約や利便性の向上につながるので、ぜひチェックしてみてください。
目次
スマートハウスとは
スマートハウスとは、最新の情報技術(IT)を活用して家庭の生活を改善し、快適性や効率性を向上させるための住宅のことです。従来の家庭と比較して、さまざまな家電や設備がインターネットに接続され、相互に通信して自動化されたり、リモートで操作できたりする特徴があります。
もともとは「電気を創り・蓄え・最適化できる家」のこと
スマートハウスとは、家庭内で使うエネルギーをコントロールできる機能を持つ家のことです。スマートハウスの軸となるのは、下記の3つです。
スマートハウスの3つの軸 | |
---|---|
創エネ | 太陽光発電システムなどによりエネルギーを創出すること |
蓄エネ | 蓄電池などを使い必要なエネルギーを蓄えること |
省エネ | 無駄なエネルギーを使用しないように制御すること |
太陽光発電システムによって電気を作り、蓄電池に蓄えます。そして、家庭内で使ったエネルギーを可視化することで電力の使い方を見直しします。
この3つを取り入れてエネルギーを有効活用することが、スマートハウスの大きな特徴です。スマートハウスは2011年頃から提唱されるようになり、時代とともに意味や技術が少しずつ変化しています。
近年のスマートハウスは「IoT住宅」の機能も備えるように変容している
近年のスマートハウスは、IoT住宅としての機能が鍵となっています。IoT(Internet of Things)とは、さまざまなものがインターネットを通じてつながることを指します。
スマートハウスでは、下記のような場面でIoTが活用されています。
・家庭内で使用したエネルギーを可視化して電力の節約につなげる(HEMS)
・帰宅前にスマートフォン経由でエアコンを起動させる
・電力の利用状況と電力市場の状況を分析して売電量や電力使用量を制御する(BEMS)
最新のテクノロジーを使いIoT住宅としての機能を備えることで、よりエネルギー消費の最適化を目指せるようになってきています。
スマートハウスとスマートホームとの違い
スマートハウスとスマートホームは、それぞれ異なる視点で家庭の生活を改善するための概念です。
スマートハウスは、1980年代にアメリカで提唱された概念であり、主に住宅自体の設備や構造をIT技術で管理・制御し、エネルギーの効率化やセキュリティの向上を図ることを目的としています。具体的には、太陽光発電システムや蓄電池、HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)などを導入し、家全体のエネルギー利用を最適化します。また、スマートロックやネットワークカメラを活用して、リモートから家の状態を管理・監視することが可能です。スマートハウスは、主にエネルギー管理とセキュリティを中心に据えており、家全体のシステムを集中的に制御することが特徴です。
一方、スマートホームは、居住者のライフスタイルや利便性を重視した概念です。家庭内の様々なデバイスや家電がインターネットに接続され、相互に情報をやり取りしながら、居住者の生活を自動化し快適にします。例えば、スマートフォンやスマートスピーカーを使って家電をリモートで操作することができ、外出先からでも家の状態を把握できます。また、AI技術を活用して、居住者の好みや習慣に合わせて家の照明や温度を調整するなど、よりパーソナライズされたサービスを提供します。スマートホームは、家の中の生活そのものを快適で便利にすることを目指しており、居住者の利便性を追求する点が特徴です。
このように、スマートハウスは家全体の管理・制御を重視し、エネルギー効率やセキュリティ強化を目的としています。一方で、スマートホームは居住者の生活を快適にするために、インターネット接続された家電やAI技術を活用して自動化と便利さを追求します。それぞれの概念は異なる視点から家庭の生活を向上させるための技術を提供しており、用途や利用者のニーズに応じて選択されることが一般的です。
「スマートホーム」について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
『スマートホームとは?特徴やできること、メリット・デメリットをわかりやすく簡単に解説』
スマートハウスを形作る基本的な3つの設備を簡単に解説
スマートハウスならではの創エネ・蓄エネ・省エネを実現するには、一般の住宅とは異なった設備が必要です。ここでは、スマートハウスの基本となる3つの設備をご紹介します。
スマートハウスについての理解を深めるためにも、ぜひチェックしておきましょう。
①太陽光発電システム
太陽光発電システムとは、太陽光のパネルが太陽から降り注ぐエネルギーを吸収して電気エネルギーに変換する仕組みのことです。屋根に設置したパネルが光エネルギーを吸収し、電気エネルギーに変換して使用します。
太陽光発電システムの大きなメリットは、次の3つです。
▼太陽光発電システムのメリット
・電気代を節約できる
・余剰電力は売電することが可能
・環境負荷が少ない
太陽光発電システムを導入すると発電した電気を使用できるため、電気代の削減につながります。また、発電によって得た電気は、電力会社に売電することも可能です。
一方で、太陽光発電システムは太陽光の恩恵が受けられないと、充分な発電量を得られません。新築時にスマートハウスを目指す場合は、屋根の広さや日当たりを考慮する必要があるでしょう。
②蓄電池
蓄電池とは、電気を蓄え繰り返し使用できる設備です。蓄電池は太陽光発電システムと相性がよく、双方を導入することで電気を作って蓄えることができるようになります。
蓄電池の大きなメリットは、下記の3つです。
▼蓄電池のメリット
・電気代を節約できる
・災害に備えられる
・余剰電力を自家消費できる
災害に備えて電気の蓄積ができるのは、蓄電池ならではの大きな強みです。太陽光発電システムだけでは「貯める」ことはできませんが、蓄電池があれば必要に応じて貯めて使えるようになります。
③HEMS(ヘムス)
HEMS(Home Energy Management System)とは、家庭内で使用するエネルギーを管理し可視化するシステムです。
これまでは、エアコンや電子レンジなどの電化製品を使用する際に、電気を使用しているもののどの程度消費しているのか可視化できません。HEMSを使用することでエネルギーの使用状況を可視化でき、状況に応じて自動制御することが可能です。
▼HEMSのメリット
・エネルギーを可視化できる
・電化製品の自動制御ができる
・無駄なエネルギーを把握して節約できる
HEMSを使用するとエネルギーの無駄遣いが把握でき、効率よく節約ができます。節約の目標を設定し、電気の使用量が多い時間に使用する電化製品を調整するなどの具体的な施策が可能です。このように、3つの設備を活用することで、エネルギー循環を念頭に置いたスマートハウスの基盤が整います。
Panasonic社の提供するHEMS(Home Energy Management System)が、一つの例です。このHEMSは、エネルギーを見える化するだけでなく、家電、電気設備を最適に制御するための管理システムです。
(参考)HEMS(ヘムス)って何?|パナソニック株式会社
スマートハウスのメリット
ここからは、スマートハウスならではのメリットをご紹介します。
電気代が節約できる
1つ目は、電気代の節約ができるところです。太陽光発電システムは電気を創り出し家庭内で使用することで、節電ができます。
余剰電力を蓄電池に蓄えれば、必要なタイミングで自家消費が可能です。また、HEMSを使いエネルギーの可視化や電化製品の自動制御をすると、効率よく電気の使用量を削減できます。
電気代は上昇傾向にあるので、浪費は家計の負担となります。スマートハウスの基盤となる設備は、どれも節電に一役買ってくれるところが大きなメリットです。
余った電力を売る(売電)ことができる
2つ目は、余剰電力の売電ができるところです。電力を太陽光発電システムで発電し家庭内で使用しても余った余剰電力は、電力会社に買い取ってもらうことができます。
例えば、太陽光発電システムが発電する時間帯の電気使用量を抑え、余剰電力を売電できれば初期費用の早期回収や収益につながる可能性があります。
災害や停電の備えになる
3つ目は、災害時や停電時の備えになることです。自立運転機能付きの太陽発電システムであれば、発電ができる時間帯に限り電力を使用できます。
急な停電や災害時には情報収集用のラジオやテレビやエアコン、冷蔵庫などの稼働に使えます。
太陽光発電システムと蓄電池を併用すると、蓄電池に貯めた電力を必要なタイミングで使用することも可能です。万が一の事態に備えて、ライフラインとなる電力の確保ができるところもスマートハウスならではのメリットだと言えるでしょう。
利便性の高い暮らしができる
4つ目は、利便性の高い暮らしができるところです。HEMSには、電化製品の自動制御機能や外出先からの操作ができる機能が備わっている場合があります。
例えば、スマートフォンからの操作でエアコンの電源のオンオフができると、帰宅前にエアコンの電源を入れておくことが可能です。また、遠隔操作で室内の電源のオンオフもできるため、電気の消し忘れがあってもすぐに対応できます。このように、利便性の高い暮らしができるところも大きな魅力だと言えます。
スマートハウスのデメリットや注意点
スマートハウスのメリットが把握できたところで、デメリットについても確認しておきましょう。
導入に伴う費用がかかる
スマートハウスに必要な太陽光発電システムや蓄電池、HEMSは導入費用が高額になる傾向があります。とくに、太陽光発電システムは購入費だけでなくパネルの設置にもコストがかかります。
パネルの設置枚数が多いと、コストがかさむ可能性があります。スマートハウスは新築とリフォームのどちらでも導入は可能ですが、初期費用がかかることを念頭に置いて計画してみてください。
定期的な費用が生じる
スマートハウスは、ランニングコストがかかるところもデメリットです。ランニングコストとしては、下記3点が挙げられます。
・保守点検費用
・太陽光発電システムはパネルの清掃
・部品の交換費用
また、どれも消耗品であり永久に使用できるものではないので、耐用年数を超えたら設備自体の買い替えも検討しなければなりません。
発電量が想定に達しない場合もある
スマートハウスの軸となる太陽光発電システムは、天候や日当たりに左右されます。悪天候が続いたり思ったように日が当たらなかったりすると、予想していた発電量を確保できない可能性があります。
その結果、思ったよりも節電につながらないことも懸念されます。スマートハウスを検討する際には、年間の日照時間と1日の日当たりをチェックしたうえで、効率よく発電できそうなパネル配置を検討するといいでしょう。
スマートハウスの検討時には補助金をチェックしよう
スマートハウスの建築は、補助金や助成金が活用できる可能性があります。補助金や助成金は、国から支給されるお金のことです。有効活用することで太陽光発電システムや蓄電池など、スマートハウスに欠かせない設備の導入コストを抑えることができます。
スマートハウスに関する補助金や助成金は年度や自治体によって異なるため、一概には言えません。
スマートハウス補助金 一例
・【大阪府豊中市】スマートハウス等支援補助金のご案内(5月9日受付開始)
・【大阪府堺市】堺市スマートハウス化等支援事業
・【山口県下関市】令和5年度前期下関市スマートハウス普及促進補助金について(交付審査順の決定) - 下関市
・【神奈川県川崎市】令和5年度 「スマートハウス補助金」(個人住宅)
など
スマートハウスを検討し始めたら、使用できる補助金や助成金はないかなど、お住まいの住所または、会社住所の属している都道府県や市区町村の補助金サイトを確認してみてください。
まとめ
スマートハウスは創エネ・蓄エネ・省エネを実現し、エネルギー循環を重視した暮らしができるところが大きな魅力です。導入コストはかかるかもしれませんが、環境問題やエネルギーに配慮した生活ができるでしょう。
IoTBiz編集部
2015年から通信・SIM・IoT関連の事業を手掛けるDXHUB株式会社のビジネスを加速させるIoTメディア「IoTBiz」編集部です。
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