防犯カメラの撮影範囲は?最適な画角やレンズの種類について解説
防犯カメラの撮影範囲は?最適な画角やレンズの種類について解説
この記事では「防犯カメラの撮影範囲」に焦点を当て、画角やレンズの選定、計算方法まで詳しく解説していきます。また、各レンズの特徴や利用シーンも示し、高精度計算サイトの活用法も紹介していきます。
目次
防犯カメラの撮影範囲どのようにして決まるか
防犯カメラの撮影範囲は、主に「画角」と「レンズの種類」によって決まります。
画角は、防犯カメラがカバーする範囲を示し、これは搭載されたレンズの性能に左右されます。具体的には、レンズが縦横にどれだけ広く撮影できるかが画角として表れます。
異なるレンズの種類も撮影範囲に影響を与えます。望遠レンズは「狭角」であり、一方で広角レンズ(広角や魚眼レンズを含む)は「広角」です。この違いにより、カメラが捉える範囲が変わります。過去にはレンズとカメラが別売りで、設置後にレンズを変更することが可能でしたが、現代の主流なネットワークカメラはレンズ一体型となり、設置後の交換が難しくなっています。
画角や視野角は、カメラが写す範囲を角度で示す数値です。広角レンズの場合、画角が広く、逆に望遠レンズの場合は画角が狭い代わりに遠くの被写体を捉えることができます。近年では、360度を魚眼のようにゆがんで撮影する魚眼レンズも広く利用されています。
防犯カメラの設置目的によって、適した画角が異なります。例えば、人物の確認には広角が有効であり、人物の特定や防犯対策には広い範囲をカバーできる画角が求められます。また、データ収集やマーケティングにも利用され、AIカメラの解析により有益な数値を得ることが可能です。
バリフォーカルレンズを備えた防犯カメラは変倍が可能で、撮影範囲を柔軟に調整できますが、一般的なものではないため、選択肢は制限されることがあります。ネットワークカメラは一体型が主流であり、導入前に撮影範囲や画角を検討し、自社の運用目的に最適な機種を選ぶことが不可欠です。
画角とは
画角とは、カメラが捉える範囲を角度で表したもので、水平や垂直の方向にどれだけ広く画像を収められるかを示します。これは、カメラが向いている方向における視野の広さを測る指標です。
具体的には、広角レンズを備えたカメラは広い画角を持ち、一度に多くの領域を写すことができます。これにより、広いエリアを効果的に監視できます。逆に、望遠レンズを使用すると、画角が狭くなり、遠くの物体や細部を拡大して捉えることができます。
防犯カメラにおいては、画角の選択は設置場所や監視したいエリアによって異なります。たとえば、入り口や広いエリアを監視する場合には広角が適しています。一方で、遠くの特定の場所や物体に焦点を当てる場合には望遠レンズが有効です。
画角は主にレンズの性能によって決まり、異なるレンズは異なる画角を提供します。このため、カメラの用途に応じて適切な画角を選択することが重要です。
レンズの種類
先述の通り、防犯カメラの撮影範囲は、主に「画角」と「レンズの種類」によって決まりますが、ここでは、その「レンズの種類」について詳しく紹介していきます。
特徴 | メリット | デメリット | オススメの活用シーン | |
---|---|---|---|---|
広角レンズ | ・画角が広く、一度に広範囲を撮影可能。 ・広いエリアを一体的に監視できる。 ・広角レンズには、超広角レンズと呼ばれる画角が75度前後、焦点距離が24mm以下のものもある。 |
・防犯カメラの台数を減らせる。 ・広範囲の人や物の動きや変化を一括して把握できる。 |
・映像が大きく湾曲してしまうため、映像確認に時間がかかる。 ・遠くの被写体が小さく表示され、詳細な確認が難しい。 |
・店舗全体の監視 ・屋外エリアの監視 |
標準レンズ | ・画角が約47度前後、焦点距離が約50mm程度。 ・限定的な場所の監視に適している。 |
・一般的で安定した撮影範囲と画質。 ・部品が少なく、比較的安価。 |
・広範囲の撮影には向かない。 ・焦点距離の調整ができない。 |
・店内の一般的な監視 ・通路や廊下の監視 |
望遠レンズ | ・画角が狭く、焦点距離が100mm以上。 ・遠くの対象物をズームして詳細に撮影可能。 |
・遠くの物体や人物の詳細な撮影が可能。 ・効果的に特定のポイントを監視できる。 |
・全体の監視範囲が狭くなり、近くの動きが見づらくなる可能性あり。 ・特定のポイントに焦点を合わせるのが難しい。 |
・遠くの対象物の確認 ・特定のポイントの監視 |
バリフォーカルレンズ | ・焦点距離を調整可能なレンズ。 ・一つのカメラで様々な撮影範囲をカバーできる。 |
・柔軟に焦点距離を調整でき、異なる監視対象に対応可能。 ・一つのカメラで複数のシチュエーションに対応できる。 |
・設定や調整が複雑で初期設定に手間がかかる。 | ・変動する距離の監視 ・複数のシチュエーションに対応 |
魚眼レンズ | ・約180°の超広角で撮影可能。 ・全方位の映像をカバーできる。 |
・広い範囲を一度に確認できる。 ・特定の場所全体を一望できる。 |
・映像が歪んでしまい、正確な形状を確認するのが難しい。 ・特定のポイントにフォーカスを合わせにくい。 |
・全方位の監視 ・広い範囲の概観 |
360度レンズ | ・360度の範囲を監視可能。 | ・全方位の映像を一度に撮影でき、特定のポイントを逃さない。 ・大規模なエリアの監視に有効。 |
・特定のポイントに焦点を当てにくい。 ・録画映像が歪みやすい。 |
・全方向からの監視 ・大規模なエリアの監視 |
広角レンズ
広角レンズは、画角が広く、一度に広範囲を撮影することが可能です。広いエリアを一体的に監視できるメリットがあり、超広角レンズは画角が75度前後、焦点距離が24mm以下のものも存在します。そのメリットとして、防犯カメラの台数を減らせ、広範囲の人や物の動きや変化を一括して把握できる点が挙げられます。しかし、映像が大きく湾曲してしまい、映像確認に時間がかかることや、遠くの被写体が小さく表示され、詳細な確認が難しいといったデメリットも存在します。
オススメの活用シーンとしては、店舗全体の監視では、広範囲を一度にカバーでき、死角を最小限に抑えることができます。また、屋外エリアの監視においても、駐車場や広場などの広い空間を効果的に監視できます。
【特徴】
・画角が広く、一度に広範囲を撮影可能。
・広いエリアを一体的に監視できる。
・広角レンズには、超広角レンズと呼ばれる画角が75度前後、焦点距離が24mm以下のものもある。
【メリット】
・防犯カメラの台数を減らせる。
・広範囲の人や物の動きや変化を一括して把握できる。
【デメリット】
・映像が大きく湾曲してしまうため、映像確認に時間がかかる。
・遠くの被写体が小さく表示され、詳細な確認が難しい。
【オススメの活用シーン】
・店舗全体の監視:店舗やオフィスの一般的な監視に適しています。広い範囲を一度にカバーでき、死角を最小限に抑えます。
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・屋外エリアの監視:駐車場や広場など、屋外の広いエリアを監視する場合に効果的です。
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標準レンズ
標準レンズは、画角が約47度前後で、焦点距離が約50mm程度の特徴を持っています。限定的な場所の監視に適しており、メリットとしては一般的で安定した撮影範囲と画質、部品が少なく比較的安価であることが挙げられます。一方で、広範囲の撮影には向かず、焦点距離の調整ができないといったデメリットも考慮する必要があります。
標準レンズのオススメの利用シーンとして、店内の一般的な監視や通路、廊下の監視が挙げられます。これは、中距離の被写体に適しており、狭い空間や通路の監視に最適です。具体的な活用事例としては、オフィス内のセキュリティ監視やホテルの共用スペース監視があります。
【特徴】
・画角が約47度前後、焦点距離が約50mm程度。
・限定的な場所の監視に適している。
【メリット】
・一般的で安定した撮影範囲と画質。
・部品が少なく、比較的安価。
【デメリット】
・広範囲の撮影には向かない。
・焦点距離の調整ができない。
【オススメの活用シーン】
・店内の一般的な監視:店内やオフィスで、一般的な監視が必要な場合に使用されます。中距離の被写体に適しています。
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・通路や廊下の監視:狭い空間や通路の監視に最適です。
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望遠レンズ
望遠レンズは、画角が狭く、焦点距離が100mm以上の特徴を持ちます。遠くの対象物をズームして詳細に撮影することが可能で、遠くの物体や人物の詳細な撮影が得意です。特定のポイントを効果的に監視できるメリットがありますが、全体の監視範囲が狭まり、近くの動きが見づらくなる可能性がある点や、特定のポイントに焦点を合わせるのが難しいといったデメリットがあります。
望遠レンズのオススメの利用シーンとして、遠くの対象物の確認や特定のポイントの監視が挙げられます。これは、駐車場の遠隔監視やイベント会場の広いエリア監視など、特定の対象に焦点を当てて詳細な観察が求められる場面で効果的です。
【特徴】
・画角が狭く、焦点距離が100mm以上。
・遠くの対象物をズームして詳細に撮影可能。
【メリット】
・遠くの物体や人物の詳細な撮影が可能。
・効果的に特定のポイントを監視できる。
【デメリット】
・全体の監視範囲が狭くなり、近くの動きが見づらくなる可能性あり。
・特定のポイントに焦点を合わせるのが難しい。
【オススメの活用シーン】
・遠くの対象物の確認:遠距離の被写体を詳細に確認する場合に適しています。顔やナンバープレートの確認が可能です。
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・特定のポイントの監視:特定の場所や出入口を重点的に監視する際に効果的です。
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バリフォーカルレンズ
バリフォーカルレンズは、焦点距離を調整可能なレンズで、一つのカメラで様々な撮影範囲をカバーできる特徴があります。柔軟に焦点距離を調整でき、異なる監視対象に対応可能なメリットがありますが、設定や調整が複雑で初期設定に手間がかかるデメリットも存在します。
バリフォーカルレンズのオススメの利用シーンとして、被写体との距離が変動する監視や、一つのカメラで様々なシーンに対応する必要がある場合が挙げられます。これは、例えば遠近両用の監視が必要なエリアや、出入口や通路の変動する監視が求められる場面で特に役立ちます。
【特徴】
・焦点距離を調整可能なレンズ。
・一つのカメラで様々な撮影範囲をカバーできる。
【メリット】
・柔軟に焦点距離を調整でき、異なる監視対象に対応可能。
・一つのカメラで複数のシチュエーションに対応できる。
【デメリット】
・設定や調整が複雑で初期設定に手間がかかる。
【オススメの活用シーン】
・変動する距離の監視:被写体との距離が変動する場合に、焦点距離を調整できるので便利です。
・複数のシチュエーションに対応:一つのカメラで様々なシーンに対応できる特長があります。
魚眼レンズ
魚眼レンズは、約180°の超広角で撮影が可能なレンズです。広い範囲を一度に確認でき、特定の場所全体を一望できるメリットがありますが、映像が歪んでしまい、正確な形状を確認するのが難しいといったデメリットがあります。また、特定のポイントにフォーカスを合わせにくいという点も考慮する必要があります。
魚眼レンズのオススメの利用シーンは、一つのレンズで広範囲の全方位をカバーできるため、特に狭い空間において効果的です。広い範囲の概観が必要な場合にも有効です。具体的な活用事例としては、狭い店舗内の全方位監視や、屋内イベントスペースの監視が挙げられます。
【特徴】
・約180°の超広角で撮影可能。
・全方位の映像をカバーできる。
【メリット】
・広い範囲を一度に確認できる。
・特定の場所全体を一望できる。
【デメリット】
・映像が歪んでしまい、正確な形状を確認するのが難しい。
・特定のポイントにフォーカスを合わせにくい。
【オススメの活用シーン】
・全方位の監視:一つのレンズで広範囲の全方位をカバーできます。特に狭い空間において効果的です。
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・広い範囲の概観:特定の場所を広く把握したい場合に有効です。
360度レンズ
360度レンズは、360度の範囲を監視可能なレンズです。全方位の映像を一度に撮影でき、特定のポイントを逃さないメリットがありますが、特定のポイントに焦点を当てにくく、録画映像が歪みやすいといったデメリットが存在します。
360度レンズのオススメの利用シーンは、カメラを回転させずに全方向を同時に監視できるため、全方向からの監視が必要な場合に適しています。また、広いエリアを一度にカバーする場合にも最適です。 具体的な活用事例としては、大規模駐車場や公共スペースの監視、工場内の全体監視が挙げられます。
【特徴】
・360度の範囲を監視可能。
【メリット】
・全方位の映像を一度に撮影でき、特定のポイントを逃さない。
・大規模なエリアの監視に有効。
【デメリット】
・特定のポイントに焦点を当てにくい。
・録画映像が歪みやすい。
【オススメの活用シーン】
・全方向からの監視:カメラを回転させずに全方向を同時に監視できます。
・大規模なエリアの監視:広いエリアを一度にカバーする場合に最適です。
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防犯カメラの撮影範囲の計算方法
防犯カメラの撮影可能範囲は、三角関数の公式を利用して計算されます。まず、カメラの画角はレンズの仕様書に詳細に記載されているため、これらの数値を確認します。その後、カメラから撮影対象物までの距離を計測します。これにより、画角と撮影対象物までの距離が把握でき、三角関数を駆使して計算が可能です。カメラの位置を頂点x、被写体を頂点z、辺xzの対辺をつくる頂点yを設け、三角形xyzを構築します。
タンジェントを求める場合は、以下の公式を活用します。
・tanθ=yz/xz
たとえば、水平画角が90度で被写体が25m先にある場合は、次のようになります。
θ=水平画角90度÷2=45度
撮影対象物までの距離xz=25m
tan45度=1
この例において、公式に数値を代入すると以下のように計算されます。
1=yz/25
yz=25
従って、撮影可能範囲はyzの2倍で50mとなります。垂直撮影範囲も同様に計算できます。
防犯カメラの撮影範囲の計算も画角の計算も、ツールを活用して計算することも可能です。おすすめは、カシオ計算機株式会社が提供している「高精度計算サイト(keisanサービス)」です。
「カメラの撮影範囲の計算 - 高精度計算サイト」
「カメラの画角の計算 - 高精度計算サイト」
必要なカメラ台数の計算
また、必要なカメラの台数は、先ほど計算した撮影可能範囲を撮影したい範囲で割ることで求められます。例えば、撮影対象範囲が幅150mで、1台のカメラが撮影可能な水平範囲が25mの場合、以下のように計算できます。
150÷25=6
これにより、6台のカメラが必要となります。ただし、この計算方法では、建物や棚による死角を考慮していないため、死角を回避するためには撮影範囲が多少重なっても、余裕をもたせることが望ましいです。
IoTBiz編集部
2015年から通信・SIM・IoT関連の事業を手掛けるDXHUB株式会社のビジネスを加速させるIoTメディア「IoTBiz」編集部です。 DXHUB株式会社 https://dxhub.co.jp/ 京都本社 〒600-8815 京都府京都市下京区中堂寺粟田町93番地KRP6号館2F 東京オフィス 〒151-0053 東京都渋谷区代々木1-25-5 BIZ SMART代々木 307号室
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