公園で飛ばしてはいけない?ドローンに関する規制を分かりやすく解説
公園で飛ばしてはいけない?ドローンに関する規制を分かりやすく解説

この記事では、ドローンを運用したい方に向け、2025年の日本におけるドローン規制について、分かりやすく解説しています。
目次

そもそもドローン規制とは
ドローン規制とは、「航空法」や「小型無人機等飛行禁止法」を始めとした、ドローンに関する法や制度を包括して指す言葉です。
安定した飛行が可能で、カメラやセンサーなどを設置することで上空での作業が出来るドローン。様々な目的で運用される便利なドローンですが、墜落の可能性や重要施設(空港や軍事防衛施設など)へ侵入してしまったりと、危険性が高い代物でもあります。
ドローンが規制されることとなったきっかけは、2015年4月22日、首相官邸にてドローンが発見された事件です。盲点ともいえるドローンによる犯行は、同年12月10日には「航空法」が改正され、ドローンに関する項目が追加されたり、2016年5月26日には「小型無人機等飛行禁止法」が施行されるなど、法整備を急がせる結果となりました。

ドローンを直接規制している法律は後述する「航空法」「小型無人機等飛行禁止法」の2つですが、副次的に他の法律や条例に抵触してしまう可能性があります。これから、ドローンを運用する際に覚えておくべき情報を紹介していきますので、是非覚えていってください。
注意すべきドローン規制
ドローンを運用するに当たって、注意しなければならない規制は大きく分けて4つあります。「航空法」「小型無人機等飛行禁止法」「道路交通法」「電波法」です。これらは規制の条件を満たしやすく、違反してしまうことにより刑罰の対象となる可能性があります。
1.「航空法」
飛行機やヘリコプターといった航空機が安全に飛行するためにある航空法ですが、ドローンも無人航空機という枠組みで対象となっています。まず気を付けることとして、酒類といったアルコール、睡眠薬や向精神薬といった薬効の強い薬物を飲んだ状態で、ドローンを運用することは禁止されています。ドローンでも飲酒運転という概念があるのです。
その他の、具体的に注意する点は以下の通りです。
・「立入管理措置」を行う
航空法の中でも特に注意すべき規制です。「立入管理措置」とは、ドローンを飛行させる際に飛行補助を行う人を除いた他人・車両などの立ち入りを制限する措置です。「立入管理措置」を行う範囲は、国がはっきりと定めている訳ではありませんが、最低でもドローンを中心に半径30m以上確保しましょう。ロープやカラーコーンで周囲を区切ると分かりやすいです。

措置を行った範囲に他人・車両が侵入した場合は、直ちにドローンへ対して飛行経路の変更や安全な場所への着陸といった処置を行いましょう。
・夜間に飛行させてはいけない
視認性の悪くなる夜間でドローンを飛行させることは規制されています。ドローンは日中のみ運用しましょう。
・飛行中に危険物の運搬や物品を投下させてはいけない
首相官邸でドローンが発見された事件でも、放射能が多く含まれた土が積載されていました。事件を踏まえて、ドローンによる毒物・火薬類・凶器・可燃性の液体などの危険物の運搬を原則禁止しています。更に、ドローンはこうした危険物だけでなく、上空から物品を投下し他人にけがをさせる可能性があります。ドローンに物品を積載する場合は、危険物以外かつ、しっかり固定させた状態で運用しましょう。
・目視外で飛行させてはいけない
ドローン周辺の安全確認を行うためにも、目視で確認出来る位置でドローンを運用しましょう。
・他人又は物件との距離が30m未満で飛行させてはいけない
他人や物件(建築物などを含む物)との距離が近すぎるとドローンが接触してしまい、けがをさせてしまう・壊してしまう危険性があります。
・イベント会場で飛行させてはいけない
人が密集するイベント会場では、ドローンの接触や落下によって他人にけがをさせる危険性が高まります。

・人口集中地区、空港周辺の上空で飛行させてはいけない
人口集中地区は国勢調査によって国が定めた基準です。該当する地区は事前に下調べしておきましょう。人口の少ない地区でも、空港周辺であると判断されている地区ではドローンを飛行させることはできません。

詳しくは、下記の地図をご覧ください。赤が人口集中地区、緑が空港周辺に指定された地区です。
・地上から150m以上の上空で飛行させてはいけない
地上からの測定で150mの上空ということで、ドローンが山岳などの高所で飛行すること自体は問題ありません。しかし、斜面で運用する際には簡単に150mを超えてしまうので注意が必要です。
・緊急用務空域での飛行は禁止
緊急用務空域とは、警察・消防活動を行うために航空機の飛行が想定される場合、指定される地域です。現在の緊急用務空域は、「国土交通省航空局」のホームページや「X」(旧Twitter)の「国土交通省航空局無人航空機(公式アカウント)」で確認出来ます。
なお緊急用務空域を除くこれらの規制は、後述する国家資格を所持している場合、「国土交通省航空局」に申請し、許可・承認されたなら飛行可能となります。

2.「小型無人機等飛行禁止法」
正式名称は「重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律」です。つまり、重要施設の近くでドローンを飛行させてはいけません。約300mの範囲を飛行禁止としているので注意しましょう。
重要施設は以下の通りです。
・国会議事堂
・皇居・御所
・内閣総理大臣官邸や内閣公邸などの行政機関
・最高裁判所
・外国公館
・政党事務所
・防衛関係施設
・空港
・原子力発電所
特に空港は、航空機とドローンとの衝突を避けるため、前述の航空法と合わせて規制が強いです。原則、個人では重要施設近くでのドローン飛行は認められないので、空港周辺の空域飛行が許可された場合でも気を付ける様にしましょう。
3.「道路交通法」
ドローンは道路交通法において、遠隔操作型小型車として扱われます。道路上(車両や他人へ影響が出る低空飛行を含む)でドローンを運用する場合は、道路使用許可証を警察署に申請する必要があります。
なお、電車は路面電車を除いて道路交通法には該当しませんが、道路でないからといって、線路上でドローンを飛行させると業務妨害罪などに問われる可能性があります。
4.「電波法」
無線タイプのドローンは電波法が適用されます。ドローンを正しく運用するには、「総務省」が監査して有害でないと証明された証、「技適マーク」が必要です。海外製のドローンには「技適マーク」がない製品もあるので注意しましょう。

また、「技適マーク」があるドローンを改造すると、マークはないものとして扱われます。
その他抵触しやすい規制
「航空法」「小型無人機等飛行禁止法」「道路交通法」「電波法」を対策したとしても、場所に関したドローン規制の対象となる可能性があります。人気のない場所でも実はドローンが禁止されている、ということがよくあるので十分に注意しましょう。
1.所有権に関する「民法」
所有権が及ぶ土地、例えば私有地などの境界線は上空にも延びています。こうした土地でドローンを飛ばしたい場合は、土地の所有者に許可を得ることが大事です。
2.「都市公園法」「自然公園法」
都市公園(滑り台やブランコなどが設置された公園)や自然公園では、管理者がドローンを持ち込むことを禁止している場合があります。ドローンが利用可能な場合も、憩いの場や景観を妨げない様、他人や自然への配慮を十分に行わなければなりません。
ちなみに、「立体都市公園」という、建築物の屋上や地下などに整備されたり、ホテルや商業施設といった他の施設と複合的に整備される新しい形の都市公園があります。ここで許可を得てドローンを運用したい場合は、高所なら航空法の地上から150mまでの飛行を意識する他に、公園内施設の所有地に注意しましょう。
3.河川や海岸地域に関する法律
ドローン規制には、「河川法」「海岸法」「港則法」「海上交通安全法」の4種が該当します。
「河川法」「海岸法」では、河川や海岸は自由使用が認められています。ただし、河川・海岸管理者が、ドローンの持ち込みや飛行の禁止をする場合があります。
「港則法」「海上交通安全法」では、国が定めた港や、船舶の航路上でのドローン飛行を規制しています。なぜなら、船舶の安全に支障をきたすからです。もし、港や航路上でドローンを運用したい場合は、港長又は海上保安部に許可の申請が必要となります。
ドローンの登録と注意すべき制度
2022年6月20日から航空法では、ドローンへの規制の他にも、100g以上のドローンは国に登録することが義務付けられています。必ず登録を行いましょう。

詳しくは下記のサイトでご確認ください。
このドローンの登録をすることで、適用される制度がいくつかあります。正しく対処しなければ、ドローン登録を解除されてしまうので注意しましょう。
注意すべき制度は以下の通りです。
・登録記号を機体に表示しなければならない
ドローンを登録すると、登録された記号の通知が届きます。この記号を、ドローンの胴体部に表示しなくてはなりません。表示基準は、装飾体でないアラビア数字とローマ字の大文字でかつ、文字の高さが機体全体の重量が25kg未満なら3mm以上、25kg以上なら25mm以上。機体の地色と区別出来る表示色となります。油性ペンやシールでの表示がおすすめです。
・機体にリモートIDを搭載しなければならない
リモートIDとは、ドローンの製造番号や登録記号、飛行時の位置・速度・高度・時刻などの情報を記録・発信するシステムです。このシステムを機体に内蔵、又は対応した機器を外付けしなければなりません。特に、ドローン登録制度が始まった2022年6月20日以前に製造されたドローンには、リモートIDの内蔵が出来ず、対応した機器を外付けしなくてはならないので注意しましょう。
ドローンにリモートIDを内蔵したい場合は、対応した機体に国土交通省公式アプリ「DIPS.APP」を使用して、内蔵機器に書き込むことができます。
リモートIDの書き込み方法については以下をご覧ください。
なおドローンの登録には有効期間があり、3年で更新しなければなりません。期間満了日の一か月前から更新手続きが可能なので、忘れない様にしましょう。
登録しなくても良いドローン
初めてドローンに触れてみたいという方におすすめなのが、登録せずにドローン飛行が出来る方法です。具体的には、重量が100g未満のドローン、又は室内での飛行なら、ドローンを登録せずとも飛行させることが出来ます。「立入管理措置」も不要です。
室内に関しては、以下の条件が当てはまります。
・開口部はあるが、内部と外部が明確に区別された空間
トンネル内部や地下道内部、煙突内部、窓・扉の開いた建物など、完全に封鎖された空間でなくとも飛行させることができます。ただし、接触を避けるために他人・車両の有無は確認しましょう。
・ドローンのサイズより目の細かいネット、金網などで囲われた空間
ドローンが外部へ飛び出さない大きさの網目で囲われた空間なら、野外でも飛行が可能です。

なお、重量が100g未満のドローンは、地上から150m以上の上空での飛行・人口集中地区の上空での飛行に対する許可や、夜間の飛行・目視外の飛行イベント上空での飛行に対する承認は必要ありません。ただし、緊急用務空域の飛行と、航空法以外のドローン規制の対象となります。更に、地上又は水上から250mを超える上空での飛行(空港周辺は150m)も規制されています。これらの規制には注意して飛行させましょう。
ドローン操縦は国家資格が必要?
ドローンは2022年12月5日から、「航空法」の項目の一つ「無人航空機操縦者技能証明」によって国家資格となりました。以前から、DPA認定資格やJUIDAドローン資格といった民間資格は存在していましたが、2025年12月以降、飛行許可申請の証明として民間資格を使うことが出来なくなります。ただし、ドローン操縦に関する知識の証明として使う場合には問題ありません。
ドローンを運用するには、国家資格が必ず必要かというと、そうではありません。これまでに説明したドローン規制に当てはまらない状態・環境ならば、国家資格無しで飛行・運用が可能です。
では、何が国家資格が必要となる飛行かというと、ドローン規制に対し許可・承認申請が必要になる飛行や、人口集中地区・夜間・目視外・他人や物件との距離が30m未満を含む飛行です。

ドローンの国家資格は2種類あり、それぞれ「一等操縦者技能証明」「二等操縦者技能証明」といいます。「一等操縦者技能証明」の方がより効力の高い資格です。国は国家資格の有無で飛行範囲をカテゴライズしており、「一等操縦者技能証明」が必要なカテゴリー3、「二等操縦者技能証明」以上が必要なカテゴリー2、これら国家資格が必要無いカテゴリー1としています。
つまり、より危険な飛行・運用を行う場合は国家資格が必要となってくるのです。
なお、上記の人口集中地区・夜間・目視外・他人や物件との距離が30m未満を含む飛行は国家資格を持っている場合、「立入監視措置」下で許可・申請無しで飛行が可能です。
ドローンの国家資格についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事もご確認ください
ドローン(無人航空機)の国家資格の取り方や費用、免許制度についてわかりやすく簡単に解説|IoTBiz
まとめ
ドローンに対する規制は数多く存在し、雁字搦めになっていると感じるでしょう。しかし、これらの規制は手軽に上空での作業を行うことが出来るドローンだからこそ、整備されていったといえます。国はドローンの危険性をなるべく減らし、暮らしに役立てる運用をさせたいと考えているのです。ドローンの運用が当たり前となる時代に向けて、これらの規制を理解することは必要不可欠となるでしょう。

IoTBiz編集部
2015年から通信・SIM・IoT関連の事業を手掛けるDXHUB株式会社のビジネスを加速させるIoTメディア「IoTBiz」編集部です。
関連記事

ドローン
おすすめ
この記事では、ドローンを運用したい方に向け、2025年の日本におけるドローン規制について、分かりやすく解説しています。
2025-08-07
6min

ドローン
本記事では、ドローンプログラミングの基礎から具体的な活用事例、使用できる言語まで詳しく紹介します。また、ドローンのドローンプログラミングは、自律飛行を実現する技術として、産業の効率化や子どものプログラミング教育にも幅広く活用されてい技術的な進化と今後の展望についても解説し、なぜこの技術が未来の産業や教育において重要視されるのかを掘り下げます。
2024-10-16
4min
.png)
ドローン
FPV(First Person View)ドローンとは、ドローンに搭載されたカメラからの映像をリアルタイムで確認しながら操縦するドローンです。この技術を活用することで、操縦者はまるで自分がドローンに乗っているかのような視点を得ることができます。一方、通常のドローンでは目視での操作が主流で、操縦者はドローンの姿を直接確認しながら操作します。この2つの違いは、用途や操縦方法に大きな影響を与えます。
2024-10-17
3min