IoTプラットフォームとは?役割や機能、導入時の選び方を徹底解説
IoTプラットフォームとは?役割や機能、導入時の選び方を徹底解説
本記事では、IoTプラットフォームの意味や機能、メリット・デメリット、解決できる課題、導入時のベンダーの選び方や比較ポイントを徹底解説しています。
目次
IoTプラットフォームとは
はじめに、IoTプラットフォームについて紹介します。
IoTとは
IoTプラットフォームを知るには、まずIoTとは何かを知る必要があります。
IoTとは、「アイオーティー」と読み、「Internet of Things」の略で、日本では「モノのインターネット」とも呼ばれています。もっとわかりやすくいうと、「これまでインターネットに繋がらなかったモノがインターネットに繋がるようになった」と解釈することができます。
具体的に、現在、私たちの生活の中でもメガネや時計、自動車などのありとあらゆるモノがインターネットとつながり、私たちの生活を便利にしています。
「IoT」について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
『IoTとは?Internet of Things(モノのインターネット)の意味や仕組み、事例を解説』
IoTプラットフォームの意味と定義
IoTプラットフォームとは、IoT(モノのインターネット)サービスを提供する上で欠かせない機能を様々な形で提供するサービスの総称です。また、IoTプラットフォームは、IoTを活用する上で、必要な機能を一つにまとめて、システムとして提供するサービス基盤、とも解釈されます。
例えば、これまで膨大な時間と人手が必要だった、ハードウェア・ソフトウェアの設定からライブラリやデータベースの構築、データ解析、さらには、人工知能、機械学習などの機能をIoTプラットフォーム上で簡単に行うことができます。
IoTプラットフォームの7つの機能と役割
次に紹介するのは、IoTプラットフォームの7つの機能とその役割です。
IoTデバイスの接続
IoTプラットフォームにおいて重要なポイントはコネクティビティ(接続性)です。その主たる機能がIoTデバイスの接続機能です。
IoTでは、温度センサーや加速度センサーなどをはじめとする様々なセンサーと、カメラやマイクなどの多種多様なハードウェアデバイスを利用するため、それらのモノとモノ、モノと人、モノとコトを、スムーズに接続することが必要です。これらを解決するのが、このIoTデバイスの接続機能です。
IoTデバイスの遠隔制御
複数のIoTデバイスを同時に扱う場合、それぞれのIoTデバイスが勝手に稼働開始や停止などをしては大変です。その問題を解決するのが、IoTデバイスの遠隔制御機能です。
この機能を活用することで、IoTデバイスや設備の稼働開始と停止、稼働完了時の通知、ログの記録と確認、稼働スケジュールの設定など、様々な制御をすることができます。
IoTデバイスの管理・監視・保守
IoTデバイスでエラーや異常が発生した際に重大な役割を果たすのが、IoTデバイスの管理・監視・保守機能です。IoTデバイスをリアルタイムでモニタリングをしたり、IoTデバイスのステータスに応じた通知をしたりすることができます。
IoTデバイスの登録から管理、監視、保守など全てのIoTデバイスを、IoTプラットフォーム上で一元管理できることが重要です。
データの収集・蓄積
様々なIoTデバイスからありとあらゆるデータが、バラバラのデータ形式で、IoTプラットフォーム上に送られますが、これらのビッグデータを正確に、素早く、適切に、収集・蓄積させるのが、データの収集・蓄積機能です。
この機能があることで、AIを用いたデータ分析やデータ解析などに役立てることができます。
データの分析・可視化
IoTデバイスから収集・蓄積されたビッグデータは、様々な課題の解決や目的の達成に活用されなければ意味がありません。そのために、IoTデバイスから収集・蓄積されたビッグデータを分析し、人間がわかるように可視化するのがデータの分析・可視化機能です。
IoTプラットフォームでは、データ分析・解析のためのBIツールやAIなどのアプリケーションが提供されています。
ソフトウェアの自動アップデート
IoTデバイスには、ソフトウェアが内蔵されていますが、そのソフトウェアが自動的にアップデートできるのが、ソフトウェアの自動アップデート機能です。
ソフトウェアをアップデートしないと、セキュリティ性が確保できなかったり、新しい機能の実装や既存の機能の改善ができなかったり、と様々な不具合が発生します。さらに、ソフトウェアのアップデートを人が毎日チェックするのは、時間も労力も現実的ではありません。そのような課題を解決するために重要なのが、ソフトウェアの自動アップデート機能です。
セキュリティの対策
IoTを活用する企業にとって、何よりも重要になるのがセキュリティの問題です。第三者による不正アクセスや悪意のあるデバイス操作、情報の流出や情報の盗難など様々なセキュリティリスクを防ぐのが、セキュリティの対策機能です。
認証や暗号化により強固なセキュリティを確立し、セキュアな通信(安全な通信)を行うIoTプラットフォームも近年増えています。
「IoTセキュリティ」について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
『IoTセキュリティとは?IoTセキュリティの問題や課題からIoTセキュリティ対策の必要性まで徹底紹介!』
IoTプラットフォーム利用のメリット・デメリット
次に紹介するのは、IoTプラットフォームを活用するメリットとデメリットです。
IoTプラットフォームのメリット
IoTプラットフォームを活用する企業のメリットを知る際に役立つ考え方が、アウトソーシングとインハウス(外注・内製)の考え方です。
ここでは、IoTプラットフォームを作り、それを提供してビジネスをする企業ではなく、IoTプラットフォームを活用してビジネスをする企業にとっての最大のメリットを紹介します。
時間とお金をかけずにIoTビジネスをスタートできる
通常、IoTプラットフォームを構築使用をすると、IoTシステムに必要な機能開発をしたり、その構築に必要な人材の採用をする必要があります。さらに、IoTビジネスを始めようとしてから、システムの構築に長い時間を費やしてしまうことで、IoTビジネスの開始が遅れ、その時には、市場環境や前提条件がすでに変わっていた、ということにもなりかねません。
全世界でDXが急速に浸透している現代では、テクノロジーの発達や進化の速度も加速度的になっています。それを考えただけでも、IoTプラットフォームを自社で作るのではなく、活用することが何よりも重要だとお分かりいただけるのではないでしょうか?
例えば、IoTプラットフォームをサーチエンジンと置き換えると理解しやすいのではないでしょうか。普段、何かを検索をする際に使っているのは、GoogleChromeやSafariなどではないでしょうか?インターネットを使ってビジネスをする際に、サーチエンジンから作ろうと考える人はほとんどいないはずです。その考え方と同じように、IoTプラットフォームを活用することは、時間とお金をかけずにIoTビジネスをスタートできる唯一の道と言っても過言ではありません。
IoTプラットフォームのデメリット
次に、IoTプラットフォームを活用するのに、ほとんどデメリットはありませんが、IoTプラットフォームを活用する際のデメリットを紹介します。
カスタマイズ性や自由度が低い
各企業が提供しているIoTプラットフォームが対応しているネットワーク環境や通信規格しか使えないという点が唯一のデメリットになりえます。しかしながら、様々な企業が日々IoTプラットフォームを精力的に開発していることを考えると、このカスタマイズ性や自由度が低いというデメリットも徐々に解消されていくはずです。
IoTプラットフォームの選び方
IoTプラットフォームを選ぶ上で重要になるポイントを3つ紹介します。
コネクティビティ(接続性)
IoTプラットフォームを選ぶ上で、重要な要素の一つがコネクティビティ(接続性)です。IoTはその性質上、様々なIoTデバイスやデータ形式、通信技術を扱うことになります。
そのため、下記のようなポイントでコネクティビティ(接続性)を確認する必要があります。
・大量のIoTデバイスが同時接続に対応できるか
・接続は安定性が担保されているか
・接続は容易か
・データ転送や通信に十分耐えられるか
・クラウドや回線で障害が発生してもIoTデバイスを稼働し続けられるか
セキュリティ(安全性)
次に、IoTプラットフォームを選ぶ上で重要な要素がセキュリティ(安全性)です。IoTは、その性質上、第三者による不正アクセスや悪意のあるデバイス操作、情報の流出や情報の盗難など様々なセキュリティリスクを防ぐことが必要です。
そのため、下記のようなポイントでセキュリティ(安全性)を確認する必要があります。
・第三者による不正アクセスを防ぐために認証機能などを採用しているか
・セキュアな通信のためにどのような暗号化や認証技術を用いているか
・ソフトウェアを安全に保つための自動アップデート機能を採用しているか
・制御システム脅威検知ソリューションを採用しているか
スケーラビリティ(拡張性)
最後に、IoTプラットフォームを選ぶ上で重要な要素がスケーラビリティ(拡張性)です。IoTはその性質上、多くのIoTデバイスやセンサーを同時接続しても、処理能力が下がらないようなスケーラビリティ(拡張性)が必要です。
・データの管理方法や分析方法を変更したい場合の対応はどうか
・IoTデバイスを増やす場合セキュリティ(安全性)を確保したままシステムを拡張できるか
・IoTデバイスからのデータが多様化した際に処理能力を落とさずに対応できるか
IoTプラットフォームの4つの分類と活用事例
IoTプラットフォームには、明確な定義があるものではありませんが、簡単にまとめるとIoTプラットフォームは、「センサー」「通信」「クラウド」「可視化アプリケーション」の4つに分類することができます。
IoTの一般的な仕組みとしては、①センサーを用いてデータを収集し、②通信を使って③クラウドにデータを溜め、AIが自動的に分析や解析を行った結果やそのデータを④可視化アプリケーションを用いて、人間が理解できるようにするというのが一連の流れです。
1. センサーのIoTプラットフォーム
センサーとは、人や物の動きや温度、明るさ、湿度・CO2濃度など様々なデータを取集する機器です。
センサーの種類
・ジャイロセンサー
・モーションセンサー(加速度センサー)
・光センサー(人感センサー)
など
センサーのIoTプラットフォーム提供企業の一例
・【インタープラン】無線IoTセンサユニット
・【セイコーインスツル】バイタルセンサ
・【レンジャーシステムズ】マットセンサー
2. 通信のIoTプラットフォーム
通信とは、文字や音声・映像などのデータを電気信号に変換して送受信する仕組みのことです。
通信の種類
・Wi-Fi
・LTE
・LPWA
・5G
など
「Wi-Fi6」について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
『Wi-Fi 6とは?次世代Wi-Fi規格の特徴やメリット、対応ルーター・スマホ・PCを紹介!』
「LPWA」について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
『LPWA(LPWAN)とは?IoTに最適な通信方式LPWA(LPWAN)の特徴や種類、周波数、メリット・デメリットを紹介』
「5G」について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
『5Gとは?5G(第5世代移動通信システム)の特徴や仕組みをわかりやすく解説!』
通信のIoTプラットフォーム提供企業の一例
・【DXHUB】IoTBiz
・【ソラコム】Soracom
・【ビッグローブ】BIGLOBEbiz IoT
「IoT・M2Mの通信」について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
『【IoT/M2M専用SIMカード】用途別、企業規模別に徹底比較11選!』
3. クラウドのIoTプラットフォーム
クラウドとは、インターネットなどのネットワーク経由でユーザーにサービスを提供する形態のことです。
クラウドの種類
・SaaS
・PaaS
・IaaS(HaaS)
「SaaS・PaaS・IaaS(HaaS)」について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
『「SaaS」「PaaS」「IaaS(HaaS)」の違いや関係性を紹介』
「エッジコンピューティング」について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
『エッジコンピューティングとは?意味や仕組み、メリット、課題を徹底的に紹介!』
「クラウドコンピューティング」について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
『クラウドコンピューティングとは?意味や仕組み、メリット、課題を徹底的に紹介!』
クラウドのIoTプラットフォーム提供企業の一例
・【アマゾンウェブサービス】AWS IoT Core
・【グーグル】Cloud IoT Core
・【マイクロソフト】Azure IoT
4. 可視化サービスのIoTプラットフォーム
可視化サービスとは、収集され、分析解析されたデータを人間が理解しやすくビジュアライズするアプリケーションのことです。
可視化サービスのIoTプラットフォーム提供企業の一例
・【シーイーシー】工場IoTデータ可視化システム「Visual Factory」
・【NEC】NEC IoT センサデータ可視化サービス
・【ソフトバンク】スマート可視化サービス「スマ可視」
IoTBiz編集部
2015年から通信・SIM・IoT関連の事業を手掛けるDXHUB株式会社のビジネスを加速させるIoTメディア「IoTBiz」編集部です。 DXHUB株式会社 https://dxhub.co.jp/ 京都本社 〒600-8815 京都府京都市下京区中堂寺粟田町93番地KRP6号館2F 東京オフィス 〒151-0053 東京都渋谷区代々木1-25-5 BIZ SMART代々木 307号室
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