5G(第5世代移動通信システム)とは?特徴や仕組み、事例をわかりやすく解説
5G(第5世代移動通信システム)とは?特徴や仕組み、事例をわかりやすく解説
ここ数年、テレビやニュースなどで頻繁に耳にする「5G(ファイブ・ジー)」という言葉ですが、実際に何を指すのか、理解しづらい方もいるかもしれません。また、「5G」が私たちの生活にどのような変化をもたらすのか、具体的なイメージが湧かない方もいるでしょう。 この記事では、「5G」の意味や特徴、仕組みについて詳しく紹介します。
目次
5G(第5世代移動通信システム)とは
はじめに、5Gが注目されている背景や5Gの意味について紹介します。
5Gとは
5G(第5世代移動通信システム)は、最新の移動通信システムであり、2022年現在の最新バージョンです。第5世代は、これまでの移動通信システムの中で最も進化したバージョンを指します。
5Gの特徴
5G(第5世代移動通信システム)には、以下の3つの特徴があります。
1. 超高速・大容量(eMBB:enhanced Mobile Broadband)
5Gの最初の特徴は、超高速で大容量な通信です。最大20Gbpsの通信速度を実現し、4Gの最大通信速度である1Gbpsと比べて20倍の高速通信が可能です。
2. 超低遅延(URLLC:Ultra-Reliable and Low Latency Communications)
5Gの2つ目の特徴は、超低遅延です。5Gでは通信の遅延が約1ミリ秒にまで短縮され、4Gと比べて10分の1の遅延時間で通信が行われます。
3. 多数同時接続(mMTC:massive Machine Type Communication)
5Gの3つ目の特徴は、多数のデバイスの同時接続が可能であることです。5Gでは、4Gと比較して約10倍の同時接続が可能です。
5G通信と4G通信の違い
5G(第5世代移動通信)と4G(第4世代移動通信)は、モバイル通信技術の進化により生まれた2つの主要な通信規格です。5Gの登場により、より高速でパワフルな通信体験が可能となりました。以下に、5G通信と4G通信の主な違いを紹介します。
1. 高速通信速度
5G通信は、驚異的な高速通信速度を提供します。最大20Gbpsの通信速度を実現し、4Gの最大通信速度である1Gbpsと比べて20倍以上の速さです。これにより、大容量のデータの高速転送や高品質なストリーミング、リアルタイムのゲームプレイなどが可能となります。
2. 低遅延
5G通信は、驚異的に低い遅延時間を実現します。通信の遅延は約1ミリ秒にまで短縮され、4Gと比較して10分の1の時間でデータの送受信が行われます。これにより、リアルタイムの応答が求められるアプリケーションやサービス、自動運転車などの高度な制御システムなどで大きな利点となります。
3. 多数同時接続
5G通信は、大規模なデバイスの同時接続にも対応しています。4Gと比較して約10倍の同時接続が可能であり、IoT(モノのインターネット)デバイスやスマートシティのセンサーなど、膨大な数のデバイスを効率的に接続することができます。
4. スペクトラムの効率的利用
5G通信では、より広範な周波数スペクトラムを利用することができます。これにより、高速かつ安定した通信が可能となります。また、周波数の柔軟な割り当てにより、複数の通信要求に適応しやすくなります。
4G | 5G | |
---|---|---|
通信速度 | 50Mbps ~ 1Gbps | 10 ~ 20Gbps |
通信での遅延 | 約10ミリ秒 | 約1ミリ秒 |
端末の同時接続 | 数台程度 | 100台程度 |
5Gの普及率は93.2%
総務省は、2021年度末時点での全国の5G人口カバー率が93.2%であったことを発表しました。5Gは通信速度と同時接続数が大幅に向上する一方で、通信エリアの狭さが課題とされています。総務省は、公表したデジタル田園都市国家インフラ整備計画の中で、2023年度末には5Gの人口カバー率を95%、2025年度末には97%、2030年度末には99%に向上させる目標を掲げています。
(引用)5Gの整備状況(令和3年度末)の公表|総務省
5Gが注目される理由と背景
近年ここまで、5Gが注目されるようになった理由は、世界中でのデジタルテクノロジーの進化が影響しています。
現在は、IoTやAI、AR・VRなどのテクノロジーの進化によって、2022年には、世界中に溢れるデータ量が240EByte(エクサバイト)になると予測されており、これは約5年前の2017年の56EByte(エクサバイト)の約4倍にあたると想定されています。
また、世界中に猛威を振るったコロナの影響でより一層、どこにいても世界中でインターネットに繋がることの重要性を認識する機会になりました。
そのような背景を経て、世界中で5G開発への投資が急速に進み、近年実現に至っています。
移動通信システムの変遷
これまでの移動通信システムの歴史を遡ると、約10年単位で新たな移動通信システムの世代が誕生していることがわかります。
世代 | 普及時期 | 対応サービス |
---|---|---|
1G | 1980年代 | ・携帯電話(通話機能) |
2G | 1990年代 | ・携帯電話(通話機能) ・メール ・インターネット |
3G | 2000年代 | ・携帯電話(通話機能) ・メール ・インターネット ・オンラインゲーム ・動画視聴 ・音楽 |
4G | 2010年代 | ・携帯電話(通話機能) ・メール ・インターネット ・オンラインゲーム ・動画視聴(高画質) ・音楽 |
5G | 2020年代 | ・携帯電話(通話機能) ・メール ・インターネット ・オンラインゲーム ・動画視聴(超高画質) ・音楽 ・IoT ・VR、AR |
6G | 2030年代 | - |
また、5Gがはじまったばかりですが、もうすでに2030年には、6Gがはじまるという注目も集めています。
6G(第6世代移動通信システム)は、将来の通信技術の進化を指す言葉です。現在の最新技術である5Gよりも更なる高速通信、低遅延、大容量を実現することが期待されています。また、6Gでは人間と機械のインタラクションをより密接にし、スマートシティや自動運転、VR/ARなどの分野で革新的なサービスが展開される見込みです。加えて、6Gはエネルギー効率やセキュリティにも注力し、持続可能な社会の実現に貢献すると期待されています。ただし、6Gはまだ研究開発段階であり、実用化までには数年以上の時間がかかる見込みです。今後の技術の進歩と標準化の取り組みが重要であり、6Gの実現に向けたさまざまな取り組みが行われています。
5Gで変わる生活
亀井卓也著作の『5Gビジネス』によると、5Gの登場で、私たちの生活によりテクノロジーが浸透し、様々な変化が起きると言われています。その中で4つの変化を紹介します。
・超高画質動画ダウンロードにかかる時間の短縮
これまでの4G時代に、1本の映画をダウンロードするのに、約2時間かかっていたダウンロード時間が、5Gでは、約3秒程度でダウンロードの完了ができるようになると想定されています。
・エンターテイメント領域でよりARやVRが進化
これまでのARやVRは、まだまだ進化の途上にあり、ミュージシャンのライブやスポーツ観戦を生中継し、サービス提供を普及されるほどには進化していなかったが、5Gの登場により、多数同時接続が可能になり高速で大容量通信をすることができるため、本格的にこのような領域のビジネス展開が伸びると想定されています。
・自動運転の実用化地域の拡大
これまでの自動運転は、全ての道で実証実験をすることは難しかったですが、5Gにより、通信の遅延が減ることで、より運転精度が上がるとされています。そのことによって、自動運転が可能な地域が増えていくと想定されています。
・医療分野の遠隔診療や遠隔手術が実現
これまでの通信では、遠隔診療を実現するにも、画像が鮮明でなかったりしたため、直接対面で診察をするよりも病状が見づらいなどの現状がありましたが、5Gでは、より画像が鮮明になり遅延なく通信ができるため、これまで以上に遠隔診療が進むだろうと想定されています。さらに、これまで本格的に実現できていなかった遠隔手術も可能になると見られています。
(参考)『5Gビジネス』亀井卓也|日経文庫
https://www.amazon.co.jp/dp/4532114071/
5G(第5世代移動通信システム)を支える技術
5Gを支える主な技術を紹介します。
高周波数帯
5Gでは、これまでモバイル通信には使われていなかった高周波数の帯域を利用しています。高周波数の帯域を利用することで大容量の高速通信を可能にしながら電波の飽和状態を解消することができ、この広帯域な高周波数を利用することで、通信速度が上がるため、大容量の通信が可能になります。
4G:3.6GHz以下の周波数帯
5G:3.7Ghz帯、4.5Ghz帯(Sub6)、28GHz(ミリ波)
キャリアごとの5Gの利用可能時期
5Gが本格的に普及し始めてからまだ日が浅いため、日本全国全ての場所で5Gを活用するまでには至っていないのが現実です。ここでは、代表的なキャリアごとの5G対応エリアを紹介します。
NTTドコモ
※2022年3月31日時点での東京を中心とした5G通信エリアマップです。
(参考)サービスエリアマップ|NTTドコモ
https://www.docomo.ne.jp/area/servicearea/?rgcd=03&cmcd=5G&scale=2048000&lat=35.690767&lot=139.756853&icid=CRP_AREA_service_area_to_CRP_AREA_servicearea
NTTドコモでは、2020年の3月25日に既に5Gのサービス提供を開始し、今後の普及計画としては、2024年度のうちに97.0%まで基盤展開率を上げると宣言しています。
(参考)NTTドコモ 5G|NTTドコモ
https://www.docomo.ne.jp/special_contents/change/5g/
KDDI(au)
※2022年3月31日時点での東京を中心とした5G通信エリアマップです。
(参考)エリアマップ|au
https://www.au.com/mobile/area/map/
KDDIでは、2020年3月26日にサービスを開始し、2024年度内に93.2%まで基盤展開率を向上させる予定です。
(参考)みんなの5G|au
https://www.au.com/5g/
ソフトバンク
※2022年3月31日時点での東京を中心とした5G通信エリアマップです。
(参考)サービスエリアマップ|ソフトバンク
https://www.softbank.jp/mobile/network/area/map/
ソフトバンクでは、2020年3月27日に予定通り5Gのサービスを開始し、2024年度末までに64%の基盤展開率を目指すと発表しています。
(参考)5G(第5世代移動通信システム)|ソフトバンク
https://www.softbank.jp/mobile/special/softbank-5g/
楽天モバイル
※2022年3月31日時点での東京を中心とした5G通信エリアマップです。
(参考)通信・エリア|楽天モバイル
https://network.mobile.rakuten.co.jp/area/
楽天モバイルでは、2020年9月30日に5Gのサービスを開始し、基盤展開率は2024年度末までに56.1%となる予定です。
(参考)5G(ファイブジー)とは(楽天モバイルの5Gサービス)|楽天モバイル
https://network.mobile.rakuten.co.jp/area/5g/
5Gとそのほかの通信方式の比較
(参考)平成29年版情報通信白|総務省
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r02/html/nd111340.html
通信方式には、広域・遠距離 × 消費電力大~小・高速~低速・高コスト~低コストという特徴の5Gというのみならず、その他大きく分けて4つの通信方式があります。
ここでは、5G以外の4つの通信方式を紹介します。
【広域・遠距離 × 消費電力大・高速・高コスト】3G・4G
特徴
・通信範囲が広域で遠距離
・消費電力が大きい
・通信速度が早い
・通信費用が高い
【広域・遠距離 × 消費電力小・低速・低コスト】LPWA
特徴
・通信範囲が広域で遠距離
・消費電力が小さい
・通信速度が遅い
・通信費用が安い
「LPWA」について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
『LPWA(LPWAN)とは?IoTに最適な通信方式LPWA(LPWAN)の特徴や種類、周波数、メリット・デメリットを紹介』
【狭域・短距離 × 消費電力大・高速・高コスト】Wi-Fi
特徴
・通信範囲が狭域で短距離
・消費電力が大きい
・通信速度が早い
・通信費用が高い
【狭域・短距離 × 消費電力小・低速・低コスト】Bluetooth・RFID・NFC・Zigbee
特徴
・通信範囲が狭域で短距離
・消費電力が小さい
・通信速度が遅い
・通信費用が安い
IoTBiz編集部
2015年から通信・SIM・IoT関連の事業を手掛けるDXHUB株式会社のビジネスを加速させるIoTメディア「IoTBiz」編集部です。 DXHUB株式会社 https://dxhub.co.jp/ 京都本社 〒600-8815 京都府京都市下京区中堂寺粟田町93番地KRP6号館2F 東京オフィス 〒151-0053 東京都渋谷区代々木1-25-5 BIZ SMART代々木 307号室
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