IoT住宅とは?特徴やできること、メリット・デメリットをわかりやすく簡単に解説
IoT住宅とは?特徴やできること、メリット・デメリットをわかりやすく簡単に解説
インターネットを利用して、さまざまな設備や家電をつなげ、生活の利便性を向上させる「IoT住宅」が注目を集めています。しかし、まだまだ一般的ではないため、IoT住宅が具体的にどのようなものか想像がつかない方も多いかもしれません。本記事では、IoT住宅の概要やメリット・デメリットなどを詳しく紹介します。日本のさまざまな産業で普及している「IoT」と「住宅」を組み合わせると、どのような可能性が広がるのか、ぜひ参考にしてみてください。
目次
IoT住宅とは
IoT住宅とは、「Internet of Things(モノのインターネット)」技術を活用して、住宅内の機器や設備をインターネットに接続し、これらを自動化・制御することで、快適で効率的な生活を実現する住宅のことを指します。IoT住宅は、住人の生活パターンや好みに合わせてAI(人工知能)が家電や設備を制御し、より快適で安全な居住環境を提供します。AIが住人の行動や環境を学習し、最適な状態を維持することを目指しています。
ここからは、IoT住宅の主な特徴を紹介していきます。
1. AIによる学習と制御
IoT住宅では、人工知能(AI)が住人の生活パターンや個々の好みを学習し、それに基づいて家電や設備を自動的に制御します。例えば、AIは住人が毎朝決まった時間に起床することを学習し、その時間に合わせてカーテンを開けたり、適温に調整されたエアコンを起動させることができます。これにより、日常生活がより快適で効率的になります。
2. スマート家電との連携
IoT住宅では、冷蔵庫、洗濯機、照明、エアコンなどの家電製品がインターネットに接続され、相互に連携することで効率的な操作が可能になります。これにより、住人はスマートフォンやタブレットを使って家電をリモートで操作したり、複数の家電を連携させて一括操作したりすることができます。例えば、外出先から帰宅前にエアコンをオンにして部屋を快適な温度にすることができます。
3. 高い安全性
IoT住宅には、防犯カメラやドア・窓のセンサーが設置されており、異常を検知した際にはリアルタイムでスマートフォンに通知が送られます。これにより、防犯対策が強化され、住人の安全が確保されます。さらに、火災やガス漏れなどの異常を検知するセンサーもあり、迅速な対応が可能です。これにより、災害時の被害を最小限に抑えることができます。
4. エネルギー効率の向上
IoT住宅は、エネルギーの使用状況をリアルタイムでモニタリングし、無駄な消費を抑えることができます。例えば、AIがエネルギー使用データを分析し、効率的な使用方法を提案します。外出時には自動的に家電をオフにすることで、さらに電力消費を削減できます。また、太陽光発電や蓄電システムを組み合わせることで、再生可能エネルギーの利用を最大限に活用し、エネルギーコストの削減にも貢献します。
5. 快適な居住環境
IoT住宅は、室内環境を常に快適に保つための機能を備えています。AIが室温、湿度、照明の明るさなどを自動的に調整し、住人が最も快適に感じる環境を維持します。例えば、夏の暑い日にはエアコンが自動的に適温に調整され、冬には暖房が適切に稼働します。また、室内の空気質をモニタリングし、必要に応じて空気清浄機を作動させることで、健康的な居住環境を提供します。
IoT住宅は、AIやインターネット技術を活用して、住人に快適で効率的な生活環境を提供します。AIによる学習と制御、スマート家電との連携、高い安全性、エネルギー効率の向上、快適な居住環境の提供など、多岐にわたる特徴があります。これにより、住人の生活の質が向上し、より便利で安心な暮らしが実現します。
IoT住宅で活用される「IoT」「M2M」の具体的な説明については、以下を参考にして下さい。
『IoTとは?Internet of Things(モノのインターネット)の意味や仕組み、事例を解説』
『M2M(Machine to Machine)とは?意味や仕組み、IoTとの違い、事例を紹介』
IoT住宅でできること
「IoT」と「住宅」が組み合わさることで、どのようなことが実現できるのでしょうか?ここからは、IoT住宅でできることを紹介していきます。
自動化とスケジュール管理
AIが住人の生活パターンを学習し、家電や設備を自動的に制御します。例えば、毎朝決まった時間にカーテンを開け、エアコンを適切な温度に設定することができます。これにより、日常のルーティンを自動化し、手間を省くことができます。
リモート操作
スマートフォンやタブレットを使って、外出先からでも家電や設備を操作することができます。例えば、外出先から帰宅前にエアコンをオンにして部屋を快適な温度にしておいたり、外出中に照明をオン・オフして防犯対策を強化したりすることができます。
防犯・安全管理
IoT住宅には、防犯カメラやドア・窓のセンサーが設置されており、不審な動きを検知した際にはスマートフォンに通知が送られます。さらに、ガス漏れや火災の検知センサーもあり、異常が発生した際には即座に通知を受け取ることができます。
エネルギー管理と節約
IoT住宅では、エネルギーの消費状況をリアルタイムでモニタリングし、無駄な消費を抑えることができます。例えば、外出時に使用していない家電を自動的にオフにすることで、電力消費を削減できます。さらに、AIがエネルギー効率の良い使用方法を提案することで、さらなる節約が可能です。
環境の自動調整
室内の温度や湿度、照明の明るさなどを自動的に調整することで、常に快適な環境を維持します。例えば、夏の暑い日には自動的にエアコンをオンにして室温を調整したり、日が沈む時間に合わせて照明を自動的に調整することができます。
健康管理
一部のIoT住宅では、健康管理機能が搭載されており、住人の健康状態をモニタリングすることができます。例えば、体重計や血圧計などの健康デバイスと連携し、データをスマートフォンで管理することができます。また、運動不足を通知する機能や、睡眠の質を改善するための提案も行います。
IoT住宅は、これらの機能を通じて、生活の利便性を大幅に向上させ、エネルギー効率の向上や安全性の強化、健康管理のサポートを提供します。これにより、住人の生活の質が向上し、快適で効率的な住環境が実現されます。
IoT住宅のメリット
「IoT」と「住宅」が組み合わさった「IoT住宅」を導入することで、どのようなメリットが得られるのでしょうか?ここからは、具体例を交えて解説します。
スマートフォンで家電を遠隔操作できる
女性の社会進出が広がり、共働き世帯が多い日本では「生活を効率化する」ことが求められています。
夫婦共に仕事に出ており、自宅を留守にすることが多い家庭では、自宅にある家電・設備などを遠隔操作できる点は「IoT住宅」のメリットです。
仕事場から自宅に帰る前までに、
・エアコンを付けて部屋の温度を調整する
・洗濯機を起動させて、自宅到着時に終わるようにする
・遠隔操作で部屋のカーテンを閉める
などをすることで、限られた時間を有効に利用できます。
AIが生活シーンをサポートしてくれる
「IoT住宅」を導入する上で欠かせない技術が「AI(人工知能)」です。
AIが生活シーンに導入されることで、
・自宅を常に快適な温度に設定してくれる
・部屋の汚れを感知して掃除機が自動で室内を綺麗にする
などが可能となります。
また、スマートスピーカーを利用することで、各家電を音声でコントロールすることが可能となり、利便性が向上するのです。
防犯対策に力を入れられる
「IoT住宅」を導入することで、高い防犯性を維持することが可能です。
部屋を長い期間空けている場合には、遠隔操作で電気を点灯することで部屋に在室していることを装うこともできます。
その他にも、シャッターにIoT技術を取り入れることで、設定した時間に合わせて自動でシャッターを閉めることが可能。
ホームセキュリティ会社と連携することで、外部からの侵入がWebカメラ・Webセンサーなどで感知された場合に緊急通報するシステムも普及しています。
IoT住宅のデメリット・課題
インターネットを生活に関わる設備・家電と結びつけることで利便性を格段に向上させた「IoT住宅」ですが、デメリット・課題も存在します。
実際にIoT住宅を導入する前に、デメリット・課題を押さえておきましょう。
「誰にでも使いやすい」を実現するのに課題がある
効率的な生活を実現できる「IoT住宅」ですが、実際にシステムを操作する上で一定の知識は求められます。
遠方で生活する高齢の親族の見守りにIoT技術を導入する例は多いですが、スマートフォン・インターネットに触れる機会がない高齢者が機器操作を行うハードルは想像以上に高いです。
今後、インターネットに疎い方でも簡単に操作できるIoT製品の導入など、多種多様な方に対応した仕組みが求められています。
サイバー攻撃などセキュリティ対策が必要になる
インターネットで各家電・設備を結びつけるほど、サイバー攻撃などの脅威に晒されるリスクが高まります。
国立研究開発法人 情報通信研究機構が発表している「NICTER観測レポート2018」では、IPアドレス辺りの年間総観測パケット数が、この10年で大幅に増加。
その中でも、海外組織からの調査目的とみられるパケットの割合が、2017年の6.8%から2018年は35%に増加しました。
また、【宛先ポート番号別パケット数分布】を見ると、IoT機器に関連した通信が35%〜40%あり、IoT機器で操作するサービスや脆弱性を狙った攻撃が増えています。
(参考)国立研究開発法人 情報通信研究機構 「NICTER観測レポート2018の公開」
サイバー攻撃を受けることで個人情報を抜かれるなどの被害を受けるため、「システムを最新に保つ」「複雑なパスワードを設定する」などの基本的なセキュリティ対策も手を抜かない対応が必要です。
導入事例が少ない
「IoT住宅」そのものが、まだ駆け出しの考え方であるため、導入事例がそこまで多くありません。
導入事例が少ないことから、「導入費用が高額になる」「IoT住宅の家賃設定が高め」などの欠点もあります。
ただ、費用面が高額でも、自宅で行う作業が遠隔でできる点を踏まえると「時間を生み出せる」ため、少々割高でも「IoT住宅」は人気が高いです。
IoT住宅とスマートハウスの違い
「IoT住宅」と混同しやすい概念として、「スマートハウス」があります。
「スマートハウス」とは、家庭内で利用するエネルギーをコントロールする機能を持つ住宅のこと。
・創エネ:太陽光発電システムなどを利用してエネルギーを創出する
・蓄エネ:蓄電池などを利用して必要なエネルギーを蓄える
・省エネ:無駄なエネルギーを使用しないように制御する
上記3つを軸に、エネルギーを有効活用することが大きな特徴です。
スマートハウスを構成する代表的な設備は以下3つがあります。
(1)家庭用蓄電池
発電した電気の他にも、購入した電気を蓄えられる蓄電池のこと。
家庭用蓄電池を活用することで、台風・地震などの災害が起きた場合でも予備電源として利用することが可能です。
その他にも、太陽光発電で日中貯めた電力を、電気代の高い夜に使うことで、電気代の節約にも繋がります。
(2)太陽光発電
太陽光のパネルが太陽から降り注ぐエネルギーを吸収して電力に帰る仕組みを指します。
「蓄電した電力を販売できる」
「電気代の高い夜に使うことで節約に繋がる」
「環境に優しい」
などのメリットがありますが、天気が悪いと十分な発電量を得られないというデメリットも抱えているのです。
(3)HEMS
Home Energy Management Systemの略であり、実際に利用したエネルギーが数値として見える化できるシステムです。
従来の家庭では、1ヶ月単位の請求書で電気使用量などを把握しますが、1時間単位・1日単位では計測できません。
HEMSを導入することで、1時間単位・1日単位での計測が可能となり、「どの時間帯で多く電力を利用しているか」「何が一番電力を消費しているか」などを把握して、省エネ対策が可能です。
「利用しているエネルギーの可視化」
「状況に応じて電化製品を自動制御できる」
「無駄に消費しているエネルギーを特定できる」
などのメリットがあります。
株式会社矢野研究所の調査によると、スマートハウスで活用される「HEMS」「燃料電池システム」「家庭用蓄電システム」などの広がりが2014年には1,127億円に対して、2017年では1,632億円まで拡大しています。2022年には3,649億円にまで市場規模が拡大するとされており、注目を集めているのです。
(参考)株式会社矢野研究所 「次世代住宅関連主要設備機器市場に関する調査を実施(2019年)」
「IoT住宅」と「スマートハウス」は混同しやすい概念ですが、以下のような違いがあります。
・IoT住宅:家庭内の機器・設備をインターネットに接続することで、利便性を向上させる
・スマートハウス:創エネ/蓄エネ/省エネを軸にしてエネルギーの循環と節約を重視する
「利便性を追求するIoT住宅」「エネルギー循環を重視するスマートハウス」という目的に違いがあることを頭に入れておきましょう。
その他、詳しいスマートホームの概要については以下をご覧下さい。
『スマートハウスとは?有する設備やメリット・デメリットを解説』
IoT住宅の探し方(IoT住宅検索サイト)
IoT住宅に興味を持っているものの、実際にどのように探すか分からない方も多いのではないでしょうか?
最後にsuumo/homesでIoT住宅を探す方法に触れて、解説します。
suumoでIoT住宅を探す方法
suumoの公式サイトから、「賃貸」「マンション」「一戸建て」などの自身に合ったカテゴリを選択、「こだわり条件」でIoT物件の設定はできないため、キーワード検索で「IoT」を入力して検索しましょう。
検索にヒットした物件から自身の要望にあったIoT住宅を選ぶことが可能です。
以下の参考サイトからチェックしてみてください。
(参考)SUUMO「iotの新築マンション・分譲マンションの購入情報」
homesでIoT住宅を探す方法
homesの場合は、「住まいを探す」から「タグから」を選択します。
「#インターネット操作できる家電を試したい」というタグを指定して、選択することでIoT技術が導入された物件一覧を表示することが可能です。
以下の参考サイトからチェックしてみてください。
(参考)【ホームズ】全国から「インターネット操作できる家電を試したい」のタグが付いた賃貸[賃貸マンション・アパート・賃貸一戸建て]を探す
まとめ
IoT住宅は、発展途上ではあるものの、私たちの生活の効率を高める効果があり今後のスタンダードになっていくことが予測されています。
それだけではなく、少子高齢化などの社会問題にも大きく関連するトピックになり得るため、日本の新たな生活基盤を構築する上でも欠かせない要素とも言えるでしょう。
IoTBiz編集部
2015年から通信・SIM・IoT関連の事業を手掛けるDXHUB株式会社のビジネスを加速させるIoTメディア「IoTBiz」編集部です。 DXHUB株式会社 https://dxhub.co.jp/ 京都本社 〒600-8815 京都府京都市下京区中堂寺粟田町93番地KRP6号館2F 東京オフィス 〒151-0053 東京都渋谷区代々木1-25-5 BIZ SMART代々木 307号室
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