介護施設に監視カメラは必要?設置のメリットや違法性、注意点について解説
介護施設に監視カメラは必要?設置のメリットや違法性、注意点について解説
介護施設におけるセキュリティ強化や業務の効率化を図る手段として、監視カメラの導入が注目されています。この記事では、介護施設に監視カメラが必要な理由やメリット、設置の違法性、注意点について詳しく解説します。安心できる環境づくりや円滑な運営を目指す介護施設において、監視カメラが果たす役割についてみていきましょう。
目次
介護施設に監視カメラが必要な理由
介護施設に監視カメラが必要な理由は、まず業務効率化と人件費削減が挙げられます。一つのモニターで監視でき、効率的な業務が可能で、それにより人件費を削減できます。また、不審者情報の事前把握が可能で、監視カメラにより不審者の情報を確実に記録し、セキュリティ向上に寄与します。徘徊の防止にも効果的で、監視カメラが入居者の行動を記録することで、事前に対策を講じることができます。入居者同士のトラブルも監視カメラが悪質な行動を監視し、トラブルの防止や解決に寄与します。最後に、介護職員による虐待や職員への暴行を未然に防ぐために、監視カメラが暴行の証拠を確実に録画し、聞き取り調査が容易になります。介護施設のセキュリティ向上や効率的な業務遂行に欠かせない監視カメラの導入が、安心できる環境の構築に寄与します。
介護施設に監視カメラが必要な理由やそのメリットに関しては、後述します。
介護施設に監視カメラを設置することの違法性
介護施設における監視カメラの設置が違法かどうかは、具体的なケースや導入の際の遵守事項により異なります。厚生労働省は施設の安全確保のために監視カメラの導入を進めていますが、同時に個人情報やプライバシーの保護にも注意が必要とされています。法令を遵守し、適切な通知や同意を得るなどのプロセスが踏まれる場合は、一般的には合法とされます。
ただし、隠しカメラや不適切な取り扱いが行われた場合、法的な問題が発生する可能性があります。慎重な検討と適切な手続きを行うことが必要です。
厚生労働省の方針
厚生労働省は、介護施設における防犯・監視カメラの導入について、平成28年に「社会福祉施設等における防犯に係る安全の確保について」の文書で、外部からの侵入者による事件を受けて、防犯対策として介護施設への監視カメラの導入を進める方針を示しています。これは、施設設備面での安全確保を目的としたものであり、介護施設における適切な監視システムの必要性を強調しています。
肖像権・プライバシーの侵害
一方で、監視カメラの導入には肖像権やプライバシーの侵害といった懸念があります。監視カメラは個人の風貌や行動を録画するため、これが個人情報や肖像権の侵害になる可能性があります。このため、個人情報保護法や肖像権に関する法令に従い、適切な取り扱いが求められます。
肖像権・プライバシー侵害にならないための判断基準と配慮
カメラ画像の取り扱いについて、総務省・経済産業省が策定した「カメラ画像利活用ガイドブック」では、以下の点が肖像権・プライバシー侵害にならないための判断基準として挙げられています。
・カメラ画像を利用する目的が正当であり、撮影の必要性があること。
・撮影方法や利用の方法が相当であること。
また、隠しカメラの設置についても、被写体に対する誠実な通知が求められ、被写体が撮影の事実を容易に認識できるようにするなど、慎重な取り扱いが求められます。
(参考)「カメラ画像利活用ガイドブックver3.0」を策定しました (METI/経済産業省)
個人情報保護法の関連
個人情報保護法においては、個人情報を取り扱う場合には利用目的をできる限り特定し、通知または公表する必要があります。介護施設において監視カメラを設置する場合も、その目的や取り扱いに関するルールを明確にし、適切な通知や説明を行うことが求められます。
慎重な判断と透明性の確保
介護施設における監視カメラの設置には、慎重な判断が必要です。安全確保とプライバシー保護とのバランスを考慮し、透明性を確保するためには、被写体への適切な通知や説明が欠かせません。利用者や職員との信頼関係を損なわないよう、法的なルールや倫理的な観点から十分な配慮が必要です。
介護施設に監視カメラを設置するメリット
介護施設に監視カメラが必要な理由と被る内容ですが、ここからは、介護施設に監視カメラを設置することのメリットを5つ紹介していきます。
・効率的な介護施設運営と人件費削減の実現
・徘徊リスクの予測と認知症入居者の安全確保
・不審者の事前把握とセキュリティの向上
・入居者同士のトラブル早期発見と防止
・介護職員による虐待と職員への暴力の防止
効率的な介護施設運営と人件費削減の実現
監視カメラの採用により、介護施設内の監視業務が効率的になり、それに伴って人件費の削減が期待されます。一つのモニターで広範囲な監視が可能なため、少ないスタッフでも施設全体を効果的にカバーできます。これにより、人件費を最適化し、施設の経済的な運営が可能となります。
徘徊リスクの予測と認知症入居者の安全確保
監視カメラは入居者の施設外徘徊を記録し、特に認知症の入居者に対してその行動パターンを分析し徘徊のリスクを予測・防止できます。この情報は家族とのコミュニケーションにも役立ち、入居者の安全確保に寄与します。
不審者の事前把握とセキュリティの向上
監視カメラは不審者の動きを鮮明に記録し、その情報を事前に把握できます。施設内の監視映像は職員間で共有可能であり、不審者に関する情報を迅速に伝達できます。これにより、施設のセキュリティが向上し、犯罪の未然防止が期待されます。
入居者同士のトラブル早期発見と防止
監視カメラは施設内での入居者同士のトラブルを監視し、客観的に判断する手段となります。悪質な行動や攻撃的な態度を持つ入居者を早期に発見し、介入することでトラブルの防止が可能です。また、監視カメラの存在意識がトラブルの発生を未然に防ぐ一因となります。
介護職員による虐待と職員への暴力の防止
監視カメラは介護職員による入居者への虐待や逆に入居者による職員への暴行を録画し、証拠を提供します。これにより、不正行為の摘発や適切な懲罰の実施が容易になります。監視カメラの存在は職員に対しても一定の規律を保つ効果があり、施設内の秩序維持に寄与します。
介護施設に監視カメラを設置するのにおすすめの場所
ここからは、介護施設に監視カメラを設置するのにおすすめの場所を紹介していきます。
・共同の活動スペースや廊下
・玄関エリア
・入居者の個室周辺
・食堂・キッチンエリア
・職員室やオフィス
「介護施設での監視カメラの活用事例」を詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
『【高齢者介護・老人ホーム・介護施設】おすすめの見守りカメラの活用事例7選』
共同の活動スペースや廊下
利用者同士のトラブルや衝突、転倒事故、徘徊などが発生する可能性があります。また、施設全体のセキュリティを確保し、不審者の侵入を未然に防ぐために監視カメラを設置しましょう。
玄関エリア
施設への最初のアクセスポイントである玄関エリアは、不正な外部アクセスや不審者の侵入、窃盗などのリスクが存在します。防犯上の要所として、監視カメラの設置が有効です。
入居者の個室周辺
認知症の方が個室から出てしまう徘徊のリスクや、個室内での事故や異常行動を早期に把握し、適切なサポートを行うために監視カメラを設置しましょう。
食堂・キッチンエリア
料理の調理や提供エリアでの火災、食事時のトラブル、入居者同士の不和などが発生する可能性があります。これらの事象を未然に防ぐため、監視カメラの設置が必要です。
職員室やオフィス
職員同士のトラブルや不正行為、虐待行為の防止が求められます。施設の中枢であるオフィスのセキュリティを確保し、情報漏洩を未然に防ぐためにも監視カメラの設置が重要です。
介護施設に監視カメラを設置する際の注意点
最後は、介護施設に監視カメラを設置する際の注意点を紹介していきます。
・プライバシーの尊重
・職員のストレス
・システムの維持費用
・ネット回線の必要性
・設置場所とカメラの性能
プライバシーの尊重
監視カメラの設置に際しては、入居者が個室で過ごす場所やプライベートなスペースなど、プライバシーに配慮した場所にはカメラを設置しないよう検討する必要があります。入居者や職員の同意を得て、映像の取り扱いについてルールを設け、共有することが大切です。また、モザイクをかけたり、特定の位置を映さないようにできるカメラを使用することも検討してください。
職員のストレス
監視カメラが職員にストレスを与える可能性があるため、設置の目的や職員へのメリットを事前に共有し、理解を得ることが重要です。コミュニケーションを大切にし、適切なトレーニングを行うことで、協力と円滑な運用が期待できます。
システムの維持費用
カメラの老朽化やメンテナンス、修理費用に備える必要があります。カメラ本体だけでなく、レコーダーやモニターも含めた総合的なシステムの維持には十分な注意が必要です。クラウド型のカメラを検討する際には、月額料金について確認し、コストと利便性を比較検討してください。
ネット回線の必要性
インターネット回線が必要なネットワークカメラを使用する場合、介護施設の内外でLANケーブルなどの配線工事が必要です。設置場所や機器の保護に工夫が必要であり、ネット回線を活用して外部のセキュリティ会社との連携も検討できます。
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設置場所とカメラの性能
カメラの設置場所と性能には細心の注意が必要です。事前の現場調査やカメラの選定が、良好な映像取得のために不可欠です。施設の特性に合わせたカメラの形状や機能を選び、適切な映像を確保するための工夫が求められます。
IoTBiz編集部
2015年から通信・SIM・IoT関連の事業を手掛けるDXHUB株式会社のビジネスを加速させるIoTメディア「IoTBiz」編集部です。 DXHUB株式会社 https://dxhub.co.jp/ 京都本社 〒600-8815 京都府京都市下京区中堂寺粟田町93番地KRP6号館2F 東京オフィス 〒151-0053 東京都渋谷区代々木1-25-5 BIZ SMART代々木 307号室
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