IoTシステム技術検定(基礎・中級・上級)とは?内容や資格取得メリット、試験範囲、難易度、過去問など解説
IoTシステム技術検定(基礎・中級・上級)とは?内容や資格取得メリット、試験範囲、難易度、過去問など解説

IoT時代と呼ばれるようになった現在では、MCPC(モバイルコンピューティング推進コンソーシアム)が主催し、2016年からIoT・M2M技術者の育成を推進する目的で「IoTシステム技術検定(基礎・中級・上級)」が実施されています。 本記事では、IoTシステム技術検定(基礎・中級・上級)の内容や資格取得メリット、試験範囲、難易度、過去問などを徹底解説いたします。
目次
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IoTシステム技術検定とは
まずは、IoTシステム技術検定の概要について紹介します。
IoTシステム技術検定の概要
IoTシステム技術検定とは、2016年からIoT・M2M技術者の育成を推進する目的でMCPC(モバイルコンピューティング推進コンソーシアム)が主催している民間資格です。
IoTやM2Mは、様々な業界や分野にて、大量のデータを収集し、AIにより分析することで、ビジネスやサービスにイノベーションをもたらすものとして世界的に注目を集めていますが、日本だけでなく世界中で、IoTやM2Mを推進する技術者が不足しています。そのような技術者不足の解消やIoT・M2M技術者の育成を推進するためにIoTシステム技術検定が始まりました。
IoTシステム技術検定の有効期限
IoTシステム技術検定の有効期限は、基礎(IoTアドバイザ)・中級(IoTエキスパート)・上級(IoTプロフェッショナル)の全てで有効期限はありません。
IoTシステム技術検定の受験者数・合格率・難易度
IoTシステム技術検定の受験者数・合格率
IoTシステム技術検定の受検者数や合格率については、非公開になっています。
IoTシステム技術検定の難易度
民間資格の「IoTシステム技術検定」は、類似する国家資格として、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が主催する「エンデベットシステムスペシャリスト試験(ES)」よりも難易度は低いとされていますが、一般的にIoTビジネスやIoTエンジニアに関わる仕事をしていない人にとっては、かなり難易度が高い資格と言えます。
IoTシステム技術検定の勉強時間
IoTシステム技術検定(基礎・中級・上級)の等級やIoTビジネスの経験の有無、IoTエンジニアとしての経験の有無により勉強時間は異なりますが、下記に勉強時間の目安を紹介します。
【基礎】IoTシステム技術検定の勉強時間の目安
IoTビジネスの現場に関わる方やIoTエンジニアとして活躍する方
・約20~40時間程度
IoTビジネスに全く関わったことのない方
・約40~100時間程度
【中級】IoTシステム技術検定の勉強時間の目安
IoTビジネスの現場に関わる方やIoTエンジニアとして活躍する方
・約60~120時間程度
IoTビジネスに全く関わったことのない方
・約100~200時間程度
【上級】IoTシステム技術検定の勉強時間の目安
IoTビジネスの現場に関わる方やIoTエンジニアとして活躍する方
・約80~140時間程度
IoTビジネスに全く関わったことのない方
・約150~300時間程度
IoTシステム技術検定の資格取得のメリット
IoTシステム技術検定の資格取得のメリットを2つ紹介します。
IoTシステム構築に関する幅広い知識が身に付く
1つ目のメリットが「IoTシステム構築に関する幅広い知識が身に付く」ということです。
IoTシステムを構築するには、AIやビッグデータなどの最新テクノロジーを含む様々な技術の知識と経験が必要になります。そのため、IoTビジネスの現場で活躍するためにIoTについて網羅的に学ぶことは、IoTビジネスを行う全ての人にとってとても有益です。
IoT関連企業の転職や就職有効活用ができる
2つ目のメリットが「IoT関連企業の転職や就職有効活用ができる」ということです。
多くのWEB・IT企業だけでなく、世界中の様々な業界の企業がIoTやM2Mの導入や活用が進んでいます。そのため、すでに多くの企業でIoT技術者の需要が高まっています。また、2025年には日本のIoT市場規模が10兆円を超えるという予測もあり、さらにIoT技術者の需要が高まることは明白です。
大学生にとっては新卒就活に、社会人にとっては転職や昇進などのキャリアアップのために活用することが可能です。
IoTシステム技術検定(基礎・中級・上級)の等級
IoTシステム技術検定の等級には、基礎・中級・上級の3つがあります。ここでは、基礎・中級・上級の概要を紹介します。

IoTシステム技術検定 基礎(IoTアドバイザ)
目的
IoTシステム構築・活用に関する基礎知識を中心に、その習熟度を検定することで、IoTシステムに取り組む技術者の対応力の向上を目指します。
必要な知識レベル
・IoTに関する基礎知識の理解
・IoT、BD(ビッグデータ)、AI(人工知能)
適用可能な実務レベル
IoT構成要素の基本的な用語を理解し、一般的なIoT関連の書籍を読解できます。また、セミナーに参加可能な専門用語と基本的な構成データの流れ、蓄積分析が分かります。
認定
IoTに関する基礎知識を保持していることを認定します。
受験資格
誰でも受験可能です。
受験対象者
・IoTシステムを利活用される企業
・IoTシステムを提供される企業の営業・スタッフ・新社会人
・大学・短大・専門学校の学生の方々
IoTシステム技術検定 中級(IoTエキスパート)
目的
IoTシステム構築・活用に関する知識を中心に、その習熟度を検定することで、IoTシステム構築に関係する技術者の対応力の向上を目指します。
必要な知識レベル
・IoTのシステム構築・活用に関する、より実践的な専門技術
・IoTシステムを構成する基本技術習得
・IoTシステム構成と構築技術
・センサ/アクチュエータ技術と通信方式
・IoTデータ活用技術
・IoT情報セキュリティ対策技術
・IoTシステムのプロトタイピング技術
適用可能な実務レベル
IoTシステム全体を俯瞰することができ顧客の要求または提案の要点を的確に把握でき、システム構成の概要が描けます。
認定
IoTシステム構築に取り組むための基本的かつ実践的な技術を認定します。
受験資格
誰でも受験可能です。
受験対象者
・システムインテグレーションの基礎知識を有し、IoTシステムを構築・活用するため基本的かつ実践的な技術知識の習得を目指す方
・IT/ICT業界はもとより、環境エネルギー、運輸交通・自動車、社会インフラ公共設備、製造業、農業、流通業(小売り)、医療ヘルスケア、建設・保全(家屋、ビル)、自然環境(天気、防災等)、サービス業(メディア)などシステム構築に関係するすべての技術者
IoTシステム技術検定 上級(IoTプロフェッショナル)
目的
IoTシステム技術検定の最上位資格であり高度なIoTビジネスモデルの企画、設計構築、運用のリーダーとして活躍できる人材育成を目指します。
必要な知識レベル
・IoTのシステム構築・活用に関する、より実践的な専門技術
適用可能な実務レベル
IoTシステムについて顧客の要求を理解し、課題を整理のうえ、システムを企画・計画し戦略的提案を行います。また、IoTシステム構築のリーダーとして活動できます。
認定
高度なIoTシステム、業界固有または業界をまたがるサービスを構築する実践的な専門技術の講習を受講し、講習を踏まえ、論述式試験に合格した方に付与されます。
受験資格
以下のいずれか1つの条件を満たしていること
・MCPC IoTシステム技術検定[中級] 合格者
・情報処理学会 認定情報技術者(CITP) 有資格者
・早稲田大学 スマートエスイー 修了者
IoTシステム技術検定(基礎・中級・上級)の試験範囲
IoTシステム技術検定の試験範囲は、等級(基礎・中級・上級)によって異なります。ここでは、基礎・中級・上級それぞれの試験範囲を紹介します。

IoTシステム技術検定 基礎(IoTアドバイザ)
試験時間
60分・60問(4者択一)
試験方式
CBT方式
※コンピュータの画面上で出題・解答を行う試験方式
出題カテゴリ
①IoTシステム構成と構築技術(5~15%)
・IoTシステムアーキテクチャ
・IoTサービスプラットフォーム
②センサ・アクチュエータ技術と通信方式(30~35%)
・IoTデバイス
・ネットワーク
・PLWA
・プロトコル
③IoTデータ活用技術(25~30%)
・AI
・ビッグデータ分析技術
・活用事例
④IoT情報セキュリティ対策技術(20~25%)
・脅威と脆弱性
・セキュリティ対策技術
・情報セキュリティの標準と法制度
⑤IoTシステムのプロトタイピング技術(5~15%)
・プロトタイピング活用
検定試験サンプル問題
【問題】IoTシステム技術検定[基礎]
https://www.mcpc-jp.org/license/sample/pdf/IoT_Advisor_sample.pdf
※上記リンクをクリックしていただき、検定試験サンプル問題をご確認ください。
【解答】IoTシステム技術検定[基礎]
https://www.mcpc-jp.org/license/sample/pdf/IoT_Advisor_answer.pdf
※上記リンクをクリックしていただき、検定試験サンプル問題の解答をご確認ください。
IoTシステム技術検定 中級(IoTエキスパート)
試験時間
90分 80問(4者択一)
出題カテゴリと出題比率(%)
①IoTシステム構成と構築技術(5~15%)
・IoTシステムアーキテクチャ
・IoTサービスプラットフォーム
②センサ・アクチュエータ技術と通信方式(30~35%)
・IoTデバイス
・ネットワーク
・PLWA
・プロトコル
③IoTデータ活用技術(25~30%)
・AI
・ビッグデータ分析技術
・活用事例
④IoT情報セキュリティ対策技術(20~25%)
・脅威と脆弱性
・セキュリティ対策技術
・情報セキュリティの標準と法制度
⑤IoTシステムのプロトタイピング技術(5~15%)
・プロトタイピング活用
検定試験サンプル問題
【問題】IoTシステム技術検定[中級]
https://www.mcpc-jp.org/license/sample/pdf/IoT_Expert_sample.pdf
※上記リンクをクリックしていただき、検定試験サンプル問題をご確認ください。
【解答】IoTシステム技術検定[中級]
https://www.mcpc-jp.org/license/sample/pdf/IoT_Expert_answer.pdf
※上記リンクをクリックしていただき、検定試験サンプル問題の解答をご確認ください。
IoTシステム技術検定 上級(IoTプロフェッショナル)
専門技術講習の受講(1.5日)
・IoTビジネスモデル設計:3時間
・IoTセキュリティ:1.5時間
・AI活用によるIoTアプリケーション:1.5時間
・最新技術動向:1.5時間
論述式試験(3時間)
・1,500~1,800文字程度
試験問題例
IoTビジネスモデルを作成する。
以下の「IoTをベースにしたシステム例」10業種から3つを出題します。
そのうち1つを選んで論文構成項目の具体的内容と留意点を記述する。

論文構成
・本当の顧客は誰か(A社など、仮名にて具体的な業種と業務内容等)
・顧客が抱えている課題
・技術的な訴求点(技術活用は課題解決にどのように貢献するのか)
・ビジネス上の創出価値は何か
IoTシステム技術検定の公式テキスト・過去問・対策講座
IoTシステム技術検定の公式テキストや過去問、対策講座について紹介します。
【公式】IoT技術テキスト 基礎編 第2版(IoTシステム技術検定[基礎] 対応テキスト)

書籍名
IoT技術テキスト 基礎編 第2版
目次
・第1章 IoTの概要を知る
・第2章 IoTのエコシステムを知る
・第3章 IoTデバイスを理解する
・第4章 IoT応用システムを理解する
・第5章 IoTにおける通信方式を知る
・第6章 IoTでデータを活用する
・第7章 情報セキュリティを知る
発行日
2020年4月10日
監修
MCPC(モバイルコンピューティング推進コンソーシアム)
Amazonリンク
https://www.amazon.co.jp/dp/4295008753/
【公式】IoT技術テキスト 第3版(IoTシステム技術検定[中級] 対応テキスト)

書籍名
IoT技術テキスト 第3版
目次
・第1章 IoT概要
・第2章 IoTシステムのコンピューティング技術
・第3章 IoTデータ活用技術
・第4章 IoT通信方式
・第5章 IoTデバイス
・第6章 IoTシステムのプロトタイピング開発
・第7章 IoT情報セキュリティ
・第8章 IoTシステムに関する保守・運用上の注意点
発行日
2021年3月30日
監修
MCPC(モバイルコンピューティング推進コンソーシアム)
Amazonリンク
https://www.amazon.co.jp/dp/4865942777/
過去問
IoTシステム技術検定では、公式から過去問や過去問集などは公開されていません。
【認定校:対策講座】公営財団法人 KDDI財団
対策講座
・MCPC IoTシステム技術検定(基礎・中級)
対策講座公式ページ
https://www.kddi-foundation.or.jp/ict/mcpc-iot/
【認定校:対策講座】株式会社日立アカデミー
対策講座
・「IoTシステム技術検定(中級)」対策講座【バーチャル・クラスルーム】
・「IoTシステム技術検定(基礎検定)」対策講座【バーチャル・クラスルーム】
対策講座公式ページ
https://www.hitachi-ac.co.jp/service/opcourse/license/iot.html
【認定校:対策講座】東芝ビジネスエキスパート株式会社
対策講座
・IoTシステム技術(基礎)~MCPC「IoTシステム技術検定(基礎検定)」対応 ~
・IoTシステム技術(中級)~MCPC「IoTシステム技術検定(中級検定)」対応 ~
対策講座公式ページ
https://www.toshiba-hrd.co.jp/shibajuku/
IoTシステム技術検定の試験スケジュール・受験料・支払い方法
IoTシステム技術検定の試験スケジュール・受験料・支払い方法について紹介します。
申し込みから試験当日までの流れ
①新規ユーザー登録(マイページ作成)
試験を申し込むには、MCPC(モバイルコンピューティング推進コンソーシアム)での登録が必要です。
▼個人の方
・新規登録はこちら
https://tc.jjstc.com/mcpc/register.html
②試験申し込み
試験の申し込みは、MCPC(モバイルコンピューティング推進コンソーシアム)の専用サイトからの申し込みが必要です。
▼個人の方
・個人のお申し込みはこちら
https://tc.jjstc.com/mcpc/shiken.html
▼法人
・「バウチャー専用申込サイト」からの申し込みが必要です。
③支払い
試験料の支払い方法は、2つあります。
・クレジットカード決済
・コンビニ支払い
④受験票の受け取り
▼IoTシステム技術検定[基礎]の場合
③支払い後に、「受験確認書」がメールにて届きます。この「受験確認書」を「受験票」として利用します。
▼IoTシステム技術検定[中級][上級]の場合
③支払い後に、マイページにて検定試験の約10日前から「受験票」をダウンロードすることが可能になります。
⑤試験会場で受験
試験日・申し込み期間
【基礎】 IoTシステム技術検定 |
【中級】 IoTシステム技術検定 |
【上級】 IoTシステム技術検定 |
|
---|---|---|---|
年間試験回数 | 2回 | 2回 | 2回 |
試験申し込み期間 | 1週間前から約1ヶ月間 | 約2ヶ月前から1ヶ月間 | 約2ヶ月前から1ヶ月間 |
受験料
受験料は、基礎・中級・上級によって異なります。
▼IoTシステム技術検定[基礎]
11,000円(税込)
▼IoTシステム技術検定[中級]
一般:15,400円(税込)
会員:11,000円(税込)
協力団体:13,200円(税込)
▼IoTシステム技術検定[上級]
MCPC IoTシステム技術検定[中級]合格者:55,000円(税込)
情報処理学会 CITP認定情報技術者:33,000円(税込)
早稲田大学 スマートエスイー修了者:33,000円(税込)
※いずれも昼食代を含む
※2022年6月30日時点での受験料です。最新の情報は、MCPC(モバイルコンピューティング推進コンソーシアム)の公式ホームページをご確認ください。
https://www.mcpc-jp.org/
IoTシステム技術検定とIoT検定の違い
IoTシステム技術検定と同様に、IoTに関する民間資格としてIoT検定制度委員会が主催する「IoT検定」という検定があります。
IoT検定とは
「IoT検定」について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
『IoT検定(一般ユーザー・プロフェッショナル)とは?内容や資格取得メリット、試験範囲、難易度、過去問など徹底解説!』
IoTシステム技術検定とIoT検定の違い
「IoTシステム技術検定」と「IoT検定」はどちらも民間検定ですが、「IoTシステム技術検定」の方が受験者数が多く、頻繁に検定の更新がされています。
また、国家資格ではなく、民間検定のため信頼度という点では、どちらも信頼度が大きいとは言いづらいですが、「IoTシステム技術検定」の方が検定として積極的に運営されているようです。

IoTBiz編集部
2015年から通信・SIM・IoT関連の事業を手掛けるDXHUB株式会社のビジネスを加速させるIoTメディア「IoTBiz」編集部です。
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