DX人材とは?役割や職種ごとの必要なスキル・マインド・経験を解説
DX人材とは?役割や職種ごとの必要なスキル・マインド・経験を解説
最近、注目されているDX(デジタルトランスフォーメーション / Digital Transformation)に関して、DX推進を望んでも適切な人材を採用または育成することができないという悩みはありませんか? 実際に、多くの日本企業では、DX人材の職種やスキル、経験、責任範囲などのジョブディスクリプションが不明確であるため、DX人材の採用や育成に課題を抱えています。 この記事では、DX人材の職種やスキル、経験、採用方法、育成方法などについて詳しく解説します。
目次
DX人材とは?
まず、DXやDXの注目度の背景に基づき、DX人材の重要性や日本におけるDX人材の不足状況について紹介します。
そもそもDXとは
DXとは、企業が外部エコシステム(顧客や市場)の急激な変化に対応しながら、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を促進し、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ、アナリティクス、ソーシャル技術)を活用して、新しい製品やサービス、ビジネスモデルを通じて、顧客エクスペリエンスの変革を実現し、競争上の優位性を確立することを指します。この取り組みによって、企業は価値を創出し、ビジネスにおいて持続的な成功を収めることが可能となります。
「DX」について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
『DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?意味や定義、事例をわかりやすく簡単に解説!』
DXが注目を集める理由
DXが注目を浴びる理由は、2018年に経済産業省が発表した「DXレポート〜ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開〜」が最も大きな要因です。
では、このレポートが指摘する「2025年の崖」とは何でしょうか?
「2025年の崖」とは、日本企業がDX化を達成できなかった場合、2025年から2030年までの5年間で年間最大12兆円の経済損失が発生する可能性があるということです。言い換えれば、2025年から2030年までの5年間、日本は最大60兆円の経済損失を被る可能性があると言われています。
「2025年の崖」の主な原因は、老朽化し、肥大化・複雑化し、ブラックボックス化した「レガシーシステム」と呼ばれるシステムを約8割の日本企業が抱えているという現状です。このレガシーシステムが、日本のDX化の足かせとなっています。さらに、このレガシーシステムを新技術を活用したシステムに更新できない場合、日本では3つの問題が浮上すると予測されています。
①データを活用しきれず、DXを実現できず、市場の変化に対応し、ビジネスモデルを柔軟かつ迅速に変更することができず、デジタル競争の敗者となる。
②システムの維持管理費が高騰し、技術的負債がIT予算の9割以上を占める。
③保守運用の担い手が不在であり、サイバーセキュリティや事故・災害によるシステムトラブルやデータの喪失などのリスクが高まる。
日本では、これらの問題を解決するために、さまざまな場所でDXが叫ばれているのです。
DX人材とは
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が定義したDX人材の職種は、下記の6つです。
①プロデューサー
DXやデジタルビジネスの実現を主導するリーダー格の人材(CDO含む)
②ビジネスデザイナー
DXやデジタルビジネスの企画・立案・推進等を担う人材
③アーキテクト
DXやデジタルビジネスに関するシステムを設計できる人材
④データサイエンティスト、AIエンジニア
DXに関するデジタル技術(AI・IoT等)やデータ解析に精通した人材
⑤UXデザイナー
DXやデジタルビジネスに関するシステムのユーザー向けデザインを担当する人材
⑥エンジニア、プログラマ
上記以外にデジタルシステムの実装やインフラ構築等を担う人材
(転載)デジタル・トランスフォーメーション推進人材の機能と役割のあり方に関する調査|IPA
DX人材の不足状況
IPAが2019年7月に発表した『デジタル・トランスフォーメーション推進人材の機能と役割のあり方に関する調査』によると、DXの職種別に「不足と感じる(大いに不足・ある程度不足)」率が高い順に並べると下記のような順番になります。最も不足しているのが、「ビジネスデザイナー」です。さらに、すべての職種で過半数以上の不足感を感じるというデータになっています。
DX職種の不足感が高い順
①75.0%:ビジネスデザイナー
②71.8%:プロデューサー
③69.5%:アーキテクト
④68.5%:データサイエンティスト、AIエンジニア
⑤65.2%:エンジニア、プログラマ
⑥63.0%:UXデザイナー
(参考)デジタル・トランスフォーメーション推進人材の機能と役割のあり方に関する調査|IPA
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全職種共通の2つのスキル・経験
DX人材には、ビジネスデザイナー、プロデューサー、アーキテクト、データサイエンティスト、AIエンジニア、エンジニア、プログラマ、デザイナーなど様々な職種の人がいますが、そのすべての職に共通して必要な2つのスキルと経験があります。
ここからは、そのスキルと経験について紹介します。
①ITに関する深い知見
全職種共通のスキルセット・経験の1つは、「ITに関する深い知見」です。
ITに関する深い知見とは、自らITに関する情報をインプット・アウトプットできる場所や方法を確立し、事業やプロジェクトごとに適切なIT活用ができるような人材であることが必要です。
②先進技術・デジタルトレンドに関する知見
全職種共通のスキルセット・経験の1つは、「先進技術・デジタルトレンドに関する知見」です。
先進技術・デジタルトレンドに関する知見とは、AIやIoT、5Gをはじめとする最新のテクノロジーやデジタルトレンドについて、いち早く情報を掴めるような状況にあることが必要です。
全職種共通の3つのマインドセット
①チャレンジ精神
チャレンジ精神とは、新たな課題や問題に対して、積極的に臆さずに取り組もうとする姿勢のことです。チャレンジ精神は、ビジネスで大きな成果を出すために重要な要素の1つです。
②データドリブン思考
データ・ドリブン思考とは、事実や数値指標、データに重きを置き、自社の目的や目標に対する意思決定を行うことです。
③ソフトウェアファースト思考
ソフトウェアファースト思考とは、ソフトウェアは一つの手段でありながら、既存の産業構造や製品・サービスのあり方を根底から覆すような破壊力を持っていると考え、IT活用を中心に事業やプロダクト開発を進めていく考え方です。
職種ごとに必要なスキルと経験
ここからは、それぞれの職種ごとに必要なスキルと経験を紹介します。
①プロデューサー(PM)
DX人材で求められる職種の1つである「プロデューサー(PM)」について紹介します。
プロデューサー(PM)は、DXやデジタルビジネスの実現を主導するリーダーポジションの人材です。このポジションには、CDO(最高デジタル責任者)が勤めることもあります。
このプロデューサー(PM)に求められる主な能力やスキル、経験に関して紹介します。
(1)ビジネスプロセス化力
ビジネスプロセス化力とは、業務に関わるあらゆる業務手順をビジネスプロセスとして「標準化」し、一連の流れを「見える化」する能力のことです。
(2)社内調整力
社内調整力とは、社内の関係部署や関係者を取りまとめ、部門内のプロジェクトを滞りなく推進する能力のことです。
(3)組織牽引力
組織牽引力とは、目標を明確に示すことで組織の目指す方向を明らかにし、様々な人間を巻き込み、目標達成のための仕掛けづくりや環境整備を行う能力のことです。
②ビジネスデザイナー(マーケター)
DX人材で求められる職種の1つである「ビジネスデザイナー(マーケター)」について紹介します。
ビジネスデザイナー(マーケター)は、DXやデジタルビジネスの「企画」「立案」「推進」等を担う人材です。
このビジネスデザイナー(マーケター)に求められる主な能力やスキル、経験に関して紹介します。
(1)企画力・企画構成力
企画力・企画構成力とは、現状を把握し、組織やプロジェクトの課題を解決するために発想力を持ち、企画し、それを実現させる能力のことです。
(2)言語化能力
言語化能力とは、自分が頭の中で考えていることを相手が理解しやすい表現や言葉に変換し、伝える能力のことです。
(3)ファシリテーション能力
ファシリテーション能力とは、会議やミーティングなどを円滑に進めるために、参加者に発言しやすい雰囲気を作ったり、タイムマネジメントをしたり、合意形成をしたりする能力のことです。
③アーキテクト
DX人材で求められる職種の1つである「アーキテクト」について紹介します。
アーキテクトは、DXやデジタルビジネスに関するシステムを設計ができる人材です。
このアーキテクトに求められる主な能力やスキル、経験に関して紹介します。
(1)アーキテクチャ能力
アーキテクチャ能力とは、会社の経営戦略や外部環境を考慮した上で、DX全体の設計や様々なシステムの設計を行う能力のことです。
(2)業務標準化能力
業務標準化能力とは、業務効率や業務品質の向上をする上で、人々の能力や得意・不得意、知識の差などのばらつきを考慮し、業務の標準化を行う能力のことです。
④データサイエンティスト、AIエンジニア
DX人材で求められる職種の1つである「データサイエンティスト、AIエンジニア」について紹介します。
データサイエンティスト、AIエンジニアは、DXに関するデジタル技術(AI・IoT等)やデータ解析に精通した人材です。
このデータサイエンティスト、AIエンジニアに求められる主な能力やスキル、経験に関して紹介します。
(1)統計学の知識と活用経験
統計学の知識と活用経験とは、学問的に統計学を学び、その統計学を実際のビジネスの現場で活用した経験があることを指します。
(2)AIプログラミングスキルとAI開発経験
AIプログラミングスキルとAI開発経験とは、単にAIプログラミングのスキルをもつだけでなく、実際にAI開発に携わった経験があることを指します。
⑤UXデザイナー
DX人材で求められる職種の1つである「UXデザイナー」について紹介します。
UXデザイナーは、DXやデジタルビジネスに関するシステムのデザインを担当する人材です。
このUXデザイナーに求められる主な能力やスキル、経験に関して紹介します。
(1)デザイン力(UIUX)
デザイン力(UIUX)とは、単におしゃれなシステムデザインをするのではなく、利用するユーザーが使いやすく、わかりやすいデザインや設計を行う能力のことです。
(2)テクノロジーに関する情報収集能力
テクノロジーに関する情報収集能力とは、テクノロジーに関する情報を適切に集めることで、質問や疑問、課題に対する解決策を導き出すために、その情報を分析して解釈する能力のことです。
(3)言語化能力
言語化能力とは、自分が頭の中で考えていることを相手が理解しやすい表現や言葉に変換し、伝える能力のことです。
⑥エンジニア、プログラマ
DX人材で求められる職種の1つである「エンジニア、プログラマ」について紹介します。
エンジニア、プログラマは、デジタルシステムの実装やインフラ構築等を担う人材です。
このエンジニア、プログラマに求められる主な能力やスキル、経験に関して紹介します。
(1)エンジニアリング力
エンジニアリング力とは、プログラミングに関する知識をもつだけでなく、様々な開発経験をもち、あるプロジェクトやシステムを完成させる開発能力のことを指します。
(2)チームワーク力
チームワーク力とは、一人で仕事を進めるのではなく、チームや組織に所属しているメンバーが、同じ目標を達成するために共同で作業を行う能力のことです。
(3)論理的思考力
論理的思考力とは、物事を筋道立てて考える力のことです。
特に、IoTエンジニアの需要は、現代のテクノロジーの進歩とデジタル化の流れによって急速に拡大しています。
「インターネットとデバイスの統合」「スマートホームとスマートシティの発展」「ビッグデータとAIの発展」などの影響により、様々な産業でIoTの導入による効率化、競争力の向上、新たなビジネスモデルの創出などのメリットを認識し、IoTエンジニアのスキルを求めています。また、テクノロジーの進歩により、より高度なIoTシステムの開発が可能になり、その需要は今後も拡大すると予想されます。
「IoTエンジニアになるための方法や必要なスキル」については、「侍エンジニアブログ」にて詳しく紹介されていますので、ぜひこちらの記事もご覧ください。
『IoTエンジニアとは?なるための方法3つや必要スキル5つを紹介』
「IoTエンジニア」について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
『IoTエンジニアにおすすめの3つの国家資格や民間資格を紹介』
DX成功の基本原則
DXの成功には、2つの基本原則があります。以下では、それぞれの原則について説明します。
①チャレンジを恐れずに始めること
多くの人や組織は、失敗を恐れて新たな試みに躊躇します。しかし、現在のVUCA時代では、過去の成功体験や習得した能力やスキルに頼るだけでは、時代に取り残されてしまいます。
DXを本気で成功させるためには、まずは「失敗を恐れずにチャレンジを始めること」が最も重要です。
②成功するまで挑戦を続けること
人や組織が何かに挑戦して一度で成功することは稀です。挑戦することで、さまざまな障壁や困難、障害が現れるものです。これらは成功後も続く可能性があります。しかし、そのような障壁や困難、障害に直面したときに諦めてしまえば、DXを本気で成功させることはできません。
DXを本気で成功させるためには、一度チャレンジを始めたら「成功するまで挑戦を続けること」が何よりも重要です。
IoTBiz編集部
2015年から通信・SIM・IoT関連の事業を手掛けるDXHUB株式会社のビジネスを加速させるIoTメディア「IoTBiz」編集部です。 DXHUB株式会社 https://dxhub.co.jp/ 京都本社 〒600-8815 京都府京都市下京区中堂寺粟田町93番地KRP6号館2F 東京オフィス 〒151-0053 東京都渋谷区代々木1-25-5 BIZ SMART代々木 307号室
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