ドローン(無人航空機)の国家資格の取り方や費用、免許制度についてわかりやすく簡単に解説
ドローン(無人航空機)の国家資格の取り方や費用、免許制度についてわかりやすく簡単に解説
ドローンは、商業用途から個人の趣味まで幅広く利用されるようになり、その運用には適切な資格が求められることが増えています。特に日本では、無人航空機の安全な運用を促進するために、国家資格制度が設けられています。本記事では、ドローンの国家資格の取り方や費用、免許制度についてわかりやすく解説します。ドローン初心者から資格取得を目指す方まで、ぜひ参考にしてください。
目次
ドローン(無人航空機)とは
ドローン(無人航空機)とは、無線操縦や自動操縦で飛行できる無人航空機のことを指します。元々は軍事用として開発されましたが、近年では商業用や娯楽用など多岐にわたる用途で急速に普及しています。2015年の航空法改正により、日本では「無人であり、遠隔操作または自動操縦で飛行できる、200g以上の重量の機体」がドローンと定義されています。
日本国内や海外のドローンスタートアップやベンチャーについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
『日本・海外のドローンスタートアップ・ベンチャー会社16社〜ドローン業界の現在と未来〜』
ドローンとラジコンヘリの違い
ドローンとラジコンヘリはしばしば混同されますが、いくつかの重要な違いがあります。まず、操作方法に関して、ラジコンヘリは手動で操作し、安定飛行も操縦者の技術に依存します。一方、ドローンは自動操縦機能を備えており、GPSやセンサーを使って自律飛行が可能です。これにより、ドローンは操縦が容易で安定性が高いです。
次に、構造面での違いです。ラジコンヘリは通常1~2つのプロペラを持つシングルローター型です。一方、ドローンは4つ以上のプロペラを持つマルチコプター型が一般的で、4つのプロペラを持つクアッドコプターが最も広く使用されています。この構造により、ドローンはプロペラの回転数を調整するだけで前後左右に容易に移動でき、高い安定性を実現しています。
また、日本の法律では、200g以上の無人機はドローンとして規制対象となります。ドローンは自律飛行能力や多機能性から、撮影、測量、物流、農業、警備、災害復旧など多くの産業で活躍しています。特に、安定性と操作の容易さから、多くの分野での利用が急速に拡大しています。
ドローンの種類と用途
娯楽用ドローン
娯楽用としてのドローンは、空撮やレース、ホビーとして楽しむために広く普及しています。特にカメラを搭載した空撮用ドローンは人気が高く、手軽に美しい空撮映像を撮影できるため、多くの人々に利用されています。
産業用ドローン
産業用ドローンは多岐にわたる分野で活躍しています。プロモーション・広告では、テレビ局や広告代理店が企業や店舗のプロモーション撮影に利用し、映像はホームページやパンフレットに使用されます。測量・調査分野では、建築関連企業が3Dモデリングやサーモグラフィーを用いて屋根や橋梁の劣化状況を詳しく調査しています。物流では、アマゾンの宅配構想が有名で、千葉県での宅配試験や倉庫内での棚卸作業にもドローンが導入されています。農業では、主に農薬散布に利用されており、中国の広大な農地で急速に普及しています。漁業では魚群探知機カメラを搭載したドローンが漁業をサポートし、警備ではセコムがドローンを用いて不審者の追跡と撮影を行っています。さらに、災害復旧においても、被災状況の確認やインフラ復旧作業の支援にドローンが役立っています。
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ドローンの免許制度(国家資格)とは
ドローンの免許制度は、正式には「無人航空機操縦者技能証明」と呼ばれ、ドローンの操縦に必要な技能を証明する制度です。2022年12月に航空法の改正に伴い施行されました。この制度は、ドローンを安全かつ適切に運用するための技術と知識を持つ操縦者を認定することを目的としています。ドローンの操縦には、飛行場所や方法によって技能証明が必要な場合と不要な場合があります。
無人航空機操縦者技能証明の種類
「無人航空機操縦者技能証明の種類」には、主に「一等無人航空機操縦士」と「二等無人航空機操縦士」の2つがあります。これらの資格は、ドローンの操縦に必要な技能を証明するもので、飛行可能な範囲や条件が異なります。それぞれの資格について詳しく説明します。
【一等無人航空機操縦士】
一等資格は、ドローンの操縦において最も高いレベルの技能証明です。有効期間は3年間で、16歳以上であれば受験できます。
飛行範囲
・レベル4飛行:有人地帯での目視外飛行が可能です。これは最も高度な飛行レベルであり、従来のレベルでは制限されていた飛行条件が緩和されます。
特定飛行/第三者上空飛行
・カテゴリーⅢ:第三者がいる場所での飛行が可能です。つまり、補助者や看板の配置などの立ち入り管理措置がなくても飛行させることができます。
限定解除
一等資格では、以下の限定解除を追加で取得することで、さらに高度な飛行が可能になります。
・目視外飛行:操縦者の視界外での飛行。
・夜間飛行:日没後から日の出前までの飛行。
・機体重量25kg以上:重量のある大型ドローンの飛行。
【二等無人航空機操縦士】
二等資格は、一等資格に次ぐレベルの技能証明です。有効期間は3年間で、16歳以上であれば受験できます。
飛行範囲
・レベル3.5飛行:無人地帯での目視外飛行が可能です。レベル3.5飛行では、道路横断時の一時停止や看板の配置などの特定の立ち入り管理措置が不要です。
特定飛行/立入管理区画上空飛行
・カテゴリーⅡ:第三者がいない立入管理区画での飛行が可能です。これは、無人地帯での飛行に限られます。
▼レベル別の飛行要件
レベル1飛行:目視内での操縦飛行
レベル2飛行:目視内での自律飛行
レベル3飛行:無人地帯での目視外飛行
レベル3.5飛行:無人地帯での目視外飛行(道路横断時の一時停止や看板の配置不要)
レベル4飛行:有人地帯での目視外飛行
ドローン国家資格の取り方・流れ
ドローンの国家資格(無人航空機操縦者技能証明書)を取得するためには、以下の手順があります。主に二つの取得方法がありますが、どちらの場合も一連の手続きが必要です。
登録講習機関を受講するパターン
この方法では、登録講習機関での講習を受け、学科試験を受けて国家資格を取得する流れです。実技試験は免除されます。
1. 本人確認手続き
オンライン上で本人確認を行い、「登録講習機関での講習受付」や試験受付で使用する「技能証明申請者番号」を取得します。取得は「DIPS」から行います。
2. 登録講習機関での受講
登録講習機関で必要なカリキュラムを修了します。
3. 指定試験機関にて受験
指定試験機関に受験申請を行い、学科試験と身体検査を受験します。実地試験は免除されます。
4. 技能証明書の交付申請
試験に合格したら、国土交通省に対して技能証明書の交付申請手続きを行います。交付申請も「DIPS」から行います。
5. 技能証明書が郵送される
技能証明書が郵送で届き、国家資格取得が完了します。
指定試験機関で直接試験を受けるパターン
この方法では、登録講習機関での講習を受けずに、指定試験機関で直接試験を受けます。実地試験は免除されません。
1. 本人確認手続き
オンライン上で本人確認を行い、「登録講習機関での講習受付」や試験受付で使用する「技能証明申請者番号」を取得します。取得は「DIPS」から行います。
2. 指定試験機関にて受験
指定試験機関に受験申請を行い、学科試験と実地試験、身体検査を受験します。学科試験に合格しないと実地試験を受けることができません。
3. 技能証明書の交付申請
試験に合格したら、国土交通省に対して技能証明書の交付申請手続きを行います。交付申請も「DIPS」から行います。
4. 技能証明書が郵送される
技能証明書が郵送で届き、国家資格取得が完了します。
試験内容の概要
【一等無人航空機操縦士の場合】
・問題形式:三肢択一式問題
・問題数:70問
・試験時間:75分間
・試験内容:以下のような内容が含まれます。
- 空域・飛行規則に関する知識
- ドローンの基本的な技術や操縦法
- 緊急時の対応や安全対策
- 気象条件や飛行計画の作成方法
- ドローンの保守点検と運用管理
- 法規制や航空法に関する知識
【二等無人航空機操縦士の場合】
・問題形式:三肢択一式問題
・問題数:50問
・試験時間:30分間
・試験内容:一級試験よりも簡略化された内容で、基礎的な知識や技能をテストします。主に一等試験と同様のカテゴリーが含まれますが、内容の深さや詳細さは異なります。
【実地試験の詳細】
実地試験は、主に以下の内容を評価します。
・操縦技術:実際にドローンを操縦し、指定された飛行操作を遂行する能力を評価します。
・安全意識:飛行中の安全対策や緊急時の対応能力をテストします。
・適正評価:操縦者としての適性や判断力を評価します。
実地試験では、飛行訓練施設や訓練飛行場で実際の飛行操作を行い、試験官によってその技術と判断力が評価されます。
【身体検査の詳細】
身体検査は、無人航空機の操縦に適した健康状態を確認するための検査です。一般的には、以下の要素が含まれます。
・視力:遠視・近視や色覚異常などの視覚機能を評価します。
・聴力:聴力の問題がないことを確認します。
・一般的な健康状態:心臓や血圧、身体の適正などがチェックされます。
ドローンの資格取得にかかる費用
ここからは、ドローンの資格取得にかかる費用について詳しく紹介していきます。
講習費用
ドローンの国家資格取得には、まず登録講習機関での講習を受講する必要があります。講習費用は以下のように設定されています。
・初学者の場合
- 二等資格取得目指し:約30万円
- 一等資格取得目指し:約80万円
・経験者の場合
- 二等資格取得目指し:約10万円
- 一等資格取得目指し:約40万円
経験者は、資格保持者としての経験を考慮して講習時間が短縮されるため、費用が初学者よりも低くなっています。
試験費用
試験費用は以下のようになっています。試験は学科試験と実地試験(マルチローター)から成り立っており、身体検査も必要です。
・学科試験
- 一等:9,900円
- 二等:8,800円
・実地試験(マルチローター)
- 一等:22,200円
- 一等(限定変更):20,800円
- 二等:20,400円
- 二等(限定変更):19,800円
・身体検査
- 書類での受験:5,200円
- 会場での受験:19,900円
登録講習機関で講習を受講すれば、実地試験が免除されるため、受験費用は学科試験と身体検査のみとなります。これにより、受験費用は約15,000円程度となります。
交付費用
国家資格の交付にかかる費用は以下の通りです。
・新規申請:3,000円
・再交付申請、更新申請、限定変更申請:2,850円
・登録免許税(一等のみ):3,000円
国家資格の有効期限は取得から3年間で、期限までの更新が必要です。更新時の費用は2,850円であり、免許税が追加されることもあります。
まとめ
ドローンの国家資格取得は、ドローンを安全に運用するために非常に重要です。ドローンは商業や趣味の用途で広く使われるようになり、それに伴い正しい操作技術と知識が求められるようになりました。日本では、これを実現するために国家資格制度が設けられています。
資格を取得する方法は主に2つあります。「登録講習機関を受講する方法」と「指定試験機関で直接試験を受ける方法」です。登録講習機関で講習を受けると、実技試験が免除され、学科試験と身体検査だけで資格が取得できます。指定試験機関で直接試験を受ける場合は、学科試験と実技試験、身体検査を受ける必要があります。
資格取得にかかる費用は、講習費用、試験費用、交付費用の3つに分かれます。講習費用は、初学者と経験者で異なり、試験費用は資格の種類(一等、二等)によって変わります。交付費用は、新規申請や更新時に必要です。
国家資格を取得すると、ドローンを安全に、かつ多様な用途で活用できるようになります。商業利用や趣味の範囲も広がり、より高度な操作が可能になります。ドローンの資格取得を検討することで、安全で効率的な運用が実現できるでしょう。ぜひ本記事を参考に、ドローンの国家資格取得に挑戦してみてください。
IoTBiz編集部
2015年から通信・SIM・IoT関連の事業を手掛けるDXHUB株式会社のビジネスを加速させるIoTメディア「IoTBiz」編集部です。 DXHUB株式会社 https://dxhub.co.jp/ 京都本社 〒600-8815 京都府京都市下京区中堂寺粟田町93番地KRP6号館2F 東京オフィス 〒151-0053 東京都渋谷区代々木1-25-5 BIZ SMART代々木 307号室
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