Microsoft Azure IoT Hubとは?仕組みや機能、料金、AWSとの違いを解説
Microsoft Azure IoT Hubとは?仕組みや機能、料金、AWSとの違いを解説
様々なモノがインターネットに接続するIoTを実現するサービスとして「Microsoft Azure IoT Hub」をご存知でしょうか?この記事では、ビジネスシーンから日常生活においても活用されているMicrosoft Azure IoT Hubの仕組みから機能・詳細なサービスなどを総合的に解説します。
目次
Azure IoT Hubとは
Azure IoT Hubを理解するためには、基礎となる「IoT」「M2M」それぞれの概念を理解する必要があります。ここ数年で急速に浸透し始めた概念と技術について見ていきましょう。
IoTとは
IoTとは、簡単に表現すると「あらゆるモノがインターネットを経由して通信する技術」を指します。
今までのインターネットはコンピュータ同士を繋げるものであったため、IT関連機器間でしか情報のやりとりが発生しませんでした。
IoT技術によってモノがインターネットに繋がるため、離れた場所からモノの状況を把握・管理したり、モノ同士での情報交換が可能となります。
活用範囲は「ビジネスシーン」だけに留まらず、自宅にある家電などを繋げることで生活の効率化を実現することも可能です。
より詳しい解説については、以下をご覧ください。
『IoTとは?Internet of Things(モノのインターネット)の意味や仕組み、事例を解説』
M2Mとは
M2Mとは、人間を介在することなく、モノ同士が相互に情報をやり取りする仕組みを指します。
IoTと似た概念に見えますが、具体的には以下のような違いがあります。
・IoT:インターネットを介した通信が前提
・M2M:機器同士が直接通信してインターネットに必ず接続する必要はない
より具体的なM2Mの解説は、以下の記事を参考にしてください。
『M2M(Machine to Machine)とは?意味や仕組み、IoTとの違い、事例を紹介』
Azure IoT Hubの仕組み
Azure IoT Hubとは、Azure IoTシリーズの中心を担うサービスです。
IoTデバイスの最初の接続先となり、データ処理におけるハブ及びデバイス操作・監視機能を担います。
デバイス操作・監視機能で出来る具体例として以下を押さえておきましょう。
・デバイス認証
・デバイスのプロパティ(シリアルナンバーなど)の読み取り
・デバイスのコマンド実行
・デバイスイメージ(ファームウェア)の更新
Azure IoT Hubの機能
IoT環境を確立するために欠かせない「Azure IoT Hub」ですが、具体的な機能を深掘りして見ていきましょう。
数百万台のIoTデバイスとクラウドサービス間の双方向通信を確立
「Azure IoT Hub」は、現場(フィールド)で利用されている数百万台ものデバイスとAzureの双方向通信を可能にします。
具体的に製造ラインで利用されているioTデバイスをAzure IoT Hubに登録することで、IoTデバイスが個々に収集したデータをクラウド上にあるデータ処理用サービスへ転送することが可能です。
またIoTデバイス側で処理データが必要な場合には、Azure IoT Hubを経由してデータを渡すこともできます。
「共有アクセスキー」利用で個々のIoT機器を識別管理
Azure IoT Hubを利用する場合には、登録されたIoTデバイスそれぞれに「共有アクセスキー」が生成されます。
IoTデバイスや接続モジュールに関連する情報が保存される「IDレジストリ」と呼ばれるリストが作成され、IDレジストリに保存されてる情報と照らし合わせて認証することが可能です。
Azure IoT Hubの料金
Azure IoT Hubの料金体系は以下の要素で決定します。
・Basicレベル or Standardレベル
・IoTデバイスの接続数
・IoTデバイスデータ受信回数
Basicレベルでは接続するIoTデバイスからクラウドに対する通信のみが可能であり、Standardは双方向の通信が可能です。
※Basicレベル
エディションの種類 | IoT Hubユニットごとの料金(1ヶ月) | IoT Hubユニットごとのメッセージの合計数(1日あたり) | メッセージの課金サイズ |
---|---|---|---|
B1 | 約1,300円 | 400,000 | 4KB |
B2 | 約6,500円 | 6,000,000 | 4KB |
B3 | 約65,000円 | 300,000,000 | 4KB |
※Standardレベル
エディションの種類 | IoT Hubユニットごとの料金(1ヶ月) | IoT Hubユニットごとのメッセージの合計数(1日あたり) | メッセージの課金サイズ |
---|---|---|---|
Free | 0円 | 8,000 | 0.5KB |
S1 | 約3,250円 | 400,000 | 4KB |
S2 | 約32,500円 | 6,000,000 | 4KB |
S3 | 約325,000円 | 300,000,000 | 4KB |
(参考)Microsoft Azure IoT Hubの価格
どの程度の規模感でAzure IoT Hubを利用するかによって、月額費用にも差があることを頭に入れておきましょう。
Azure IoTの製品・サービス
ここまで取り上げたAzure IoT Hub以外に、Azure IoT関連の製品としてどのようなものがあるのでしょうか。各製品について詳細に解説致します。
Azure IoT Hub
安全で信頼性が高い双方向通信を確立するサービスです。
何十億台ものデバイスを管理・監視する機能を備えており、セキュリティを強化した通信チャネルも有しています。
Azure IoT Central
接続されたデバイス管理と状態チェックを行うサービスであり、対象のデバイスを一元管理して、デバイスの状態によってメール通知などの後続ワークフローの自動化も実現できます。
Azure Time Series Insights
デバイスから送信されたIoTデータを時系列で処理及びデータ解析するための製品です。大量のデータを格納後、時系列で視覚化し、検索・抽出・更新・削除などの操作を行いながら、データの有効活用を実現できます。
Azure IoT Edge
Azure IoT Hubによってデバイスとクラウドを接続する際のゲートウェイとなるサービスです。帯域制御のためのデータのフィルタリング、分析のためのデータ整形、各種プロトコル変換など、利用者の必要に応じた独自処理ができます。
Azure Digital Twins
「デジタルツイン」とは、現実世界から収集したデータを元にして、限りなく現実に近い物理的なシミュレーションが可能となり、製造工程からサービスを改善する上での有効手段に繋がる考え方です。
Azure Digital Twinsでは、IoTデバイスやセンサーからのデータを活用して現実世界をシミュレーションして、現実に起こりうる問題分析などが可能となります。
Azure IoT HubとAWS IoT Coreの違い
Microsoftが提供しているAzure IoT Hubと同じような機能を有するサービスとして、AmazonのAWS IoT Coreがあります。
「数百億ある端末を一元管理できる」という基本的機能は同じですが、Azure IoT HubとAWS IoT Coreでは以下のような違いがあることを押さえましょう。
※Azure IoT Hub独自のポイント
・各デバイスにIoT Hubで管理/監視が可能
・最大で7日間イベントデータを保持することができる
※AWS IoT Core独自のポイント
・デバイスがオフライン状態でも最後に通信した情報を保持できる
・接続されたデバイスは、高度な暗号化が施され、身元不明の外部デバイスからの干渉を防ぐ
・閲覧方法が簡易的であるため、デバイスから送られてくるデータが見やすい
「AWS IoT Core」について、詳しく知りたい方はこちらの記事をご確認ください。
『AWS IoT Coreとは?仕組みや機能、サービスを解説』
まとめ
本記事では、IoT・M2Mの概念から具体的なMicrosoft Azure IoT Hubの解説を行いました。Microsoft Azure IoT Hubの活用により、大規模かつ高い安全性を持つIoTネットワークを構築できます。また、Azure IoT関連のサービスも多岐にわたるため、それらの理解を深めつつ効果的に活用することが重要です。これによって、より効率的で革新的なIoTプロジェクトを推進することが期待されます。
IoTBiz編集部
2015年から通信・SIM・IoT関連の事業を手掛けるDXHUB株式会社のビジネスを加速させるIoTメディア「IoTBiz」編集部です。 DXHUB株式会社 https://dxhub.co.jp/ 京都本社 〒600-8815 京都府京都市下京区中堂寺粟田町93番地KRP6号館2F 東京オフィス 〒151-0053 東京都渋谷区代々木1-25-5 BIZ SMART代々木 307号室
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