海外SIMの設定方法を徹底解説!SIMロック解除からAPN設定、トラブル対処法まで
海外SIMの設定方法を徹底解説!SIMロック解除からAPN設定、トラブル対処法まで

海外SIMの設定方法を初心者向けに徹底解説。全体フローから、iPhone・AndroidのAPN設定方法、eSIMの使い方、繋がらない時のトラブル対処法まで、海外旅行や出張で役立つ情報を2025年最新版でお届けします。
目次
海外SIMとは?基本的な仕組みと種類
ここでは、海外SIMの基本的な仕組みや、他の通信手段との違いについて解説します。
海外SIMカードの仕組みと特徴
SIMカードとは「Subscriber Identity Module」の略で、契約者情報を記録した小型のICカードです。スマートフォンやタブレットに挿入することで、電話番号の識別やデータ通信が可能になります。
海外SIMカードは、渡航先の国や地域で使用できる通信事業者の情報が記録されたSIMカードです。日本で使用しているSIMカードを海外用のものに入れ替えることで、現地の通信回線を利用できるようになります。
海外SIMカードの主な特徴は以下の通りです。
・現地の通信事業者のネットワークを直接利用するため、高速で安定した通信が期待できる
・国際ローミングに比べて通信料金を抑えられるケースが多い
・プリペイド式が主流で、使い切りタイプのため料金管理がしやすい
・データ通信のみのプランや、音声通話・SMS付きのプランなど選択肢が豊富
海外での通信手段に悩んでいる方は、こちらの記事もご覧ください
海外旅行でSIMとWiFiはどっちがおすすめ?メリット・デメリットを徹底比較
海外SIMの種類(物理SIM・eSIM)
海外SIMには、大きく分けて「物理SIM」と「eSIM」の2種類があります。
【物理SIMカード】
従来型のSIMカードで、スマートフォンのSIMトレイに挿入して使用します。現地の空港やショップで購入できるほか、日本国内でも事前に購入可能です。現地で購入すれば、販売員がその場で設定してくれる場合もあります。
【eSIM(Embedded SIM)】
スマートフォン本体にあらかじめ埋め込まれた電子的なSIMです。物理的なカードの差し替えが不要で、QRコードを読み取るだけで設定が完了します。iPhone XS以降やPixel 4以降など、比較的新しい機種で対応しています。オンラインで購入から設定まで完結するため、出発直前でも準備できる手軽さが魅力です。
海外SIMと他の通信手段の違い
海外でスマートフォンを使う方法は、海外SIM以外にもいくつかあります。それぞれの特徴を比較してみましょう。
【国際ローミング】
日本のキャリア(ドコモ、au、ソフトバンクなど)の契約のまま海外で通信する方法です。設定が簡単で電話番号も変わりませんが、データ通信料が1日数千円かかるなど、高額になりやすいのがデメリットです。ただし、楽天モバイルやahamoなど一部のプランでは、追加料金なしで海外データ通信が利用できます。
【ポケットWi-Fi(海外Wi-Fiレンタル)】
専用のルーターをレンタルして、複数のデバイスでWi-Fi接続する方法です。グループ旅行で複数人でシェアする場合にはコストパフォーマンスが良くなりますが、機器の持ち運びや充電の手間、受け取り・返却の必要があります。
【フリーWi-Fi】
空港やホテル、カフェなどで提供されている無料Wi-Fiを利用する方法です。費用はかかりませんが、利用できる場所が限られ、セキュリティ面での不安もあります。
海外SIMは、これらの方法と比較して「コストと利便性のバランスが良い」選択肢として、多くの旅行者に選ばれています。
海外SIM設定の全体フロー【5ステップで完了】
海外SIMの設定は、以下の5ステップで完了します。まずは全体の流れを把握してから、各ステップの詳細を確認していきましょう。
ステップ1:SIMロック解除を確認する
海外SIMを使うには、スマートフォンが「SIMフリー」または「SIMロック解除済み」である必要があります。
【確認方法】
・iPhone:「設定」→「一般」→「情報」→「SIMロック」で確認
・Android:「設定」→「デバイス情報」→「SIMカードの状態」で確認(機種により異なる)
SIMロックがかかっている場合は、各キャリアのWebサイトまたは店頭で解除手続きを行います。オンライン手続きなら無料、店頭では3,300円(税込)程度の手数料がかかります。
ステップ2:海外SIMを購入する
渡航先・利用日数・データ容量に合った海外SIMを購入します。
【購入時の確認ポイント】
・渡航先の国が対応エリアに含まれているか
・データ容量と利用期間が旅行日程に合っているか
・物理SIMの場合、SIMカードのサイズが端末に合っているか
・eSIMの場合、端末がeSIMに対応しているか
日本で事前に購入しておけば、現地到着後すぐに使い始められます。Amazonや各サービスのWebサイトから購入可能です。
ステップ3:SIMカードを入れ替える(またはeSIMをインストールする)
【物理SIMカードの場合】
・スマートフォンの電源をOFFにする
・SIM取り出しピンを使って、SIMトレイを引き出す
・日本のSIMカードを取り出し、海外SIMカードをセットする
・SIMトレイを奥まで押し込み、電源をONにする
【eSIMの場合】
・Wi-Fiに接続した状態で「設定」アプリを開く
・「モバイル通信」→「eSIMを追加」をタップ
・購入時に届いたQRコードを読み取る
・画面の指示に従ってインストールを完了する
入れ替え・インストールのタイミングは、日本の空港で飛行機に搭乗する前がおすすめです。
ステップ4:APN設定を行う
APN(Access Point Name)とは、どの通信回線に接続するかを指定する設定です。海外SIMによっては、この設定が必要になります。
【iPhoneの場合】
・多くの場合、プロファイル(設定ファイル)をダウンロード・インストールする
・Safariで販売元のサイトにアクセスし、プロファイルをダウンロード
・「設定」→「ダウンロード済みのプロファイル」からインストール
【Androidの場合】
・「設定」→「ネットワークとインターネット」→「モバイルネットワーク」→「アクセスポイント名」
・新規APNを追加し、海外SIMの説明書に記載された情報を入力
・保存後、作成したAPNを選択して有効にする
※SIMカードによっては自動設定されるため、APN設定が不要な場合もあります。
ステップ5:データローミングをONにして接続確認
現地に到着したら、データローミングをONにして通信を開始します。
【iPhoneの場合】
・「設定」→「モバイル通信」→ 海外SIMの回線を選択 →「データローミング」をON
【Androidの場合】
・「設定」→「ネットワークとインターネット」→「モバイルネットワーク」→「データローミング」をON
設定後、ステータスバーに「4G」や「LTE」のアイコンが表示され、ブラウザでWebサイトにアクセスできれば設定完了です。
以上が海外SIM設定の全体フローです。次の章からは、各ステップの詳細を解説していきます。
海外SIMカードの挿入方法
物理SIMカードを使用する場合の、具体的な挿入手順と注意点を解説します。
日本のSIMカードを取り出す手順
SIMカードを入れ替える前に、必ずスマートフォンの電源をOFFにしてください。電源が入った状態での作業は、データ破損やSIMカードの故障につながる可能性があります。
【iPhoneの場合】
・端末の側面にある小さな穴を探す
・付属のSIM取り出しピン(またはペーパークリップ)を穴に差し込む
・真っすぐ押し込むと、SIMトレイが飛び出す
・トレイからSIMカードを取り出す
【Androidの場合】
機種によって方法が異なります。iPhoneと同様にピンで取り出すタイプ、爪を引っ掛けて取り出すタイプ、背面カバーを外して取り出すタイプなどがあります。取扱説明書で確認しておきましょう。
取り出した日本のSIMカードは、帰国後に再び使用するため、絶対に紛失しないよう保管してください。海外SIMが入っていた台紙やケース、チャック付きの小袋などに入れておくと安心です。
海外SIMカードを挿入する際の注意点
SIMカードを挿入する際は、以下の点に注意してください。
・SIMカードの向きと表裏を確認する:金色の端子部分が下向きになるように、トレイの形状に合わせてセット
・端子部分には触れない:指紋や汚れが付くと接触不良の原因に
・無理に押し込まない:サイズが合わない場合は正しいサイズに切り替える
・SIMトレイは奥までしっかり押し込む:トレイが浮いていると認識されない
SIMカードのサイズは「標準SIM」「microSIM」「nanoSIM」の3種類があります。現在はnanoSIMが主流で、最近の海外SIMカードは「マルチSIM」として3サイズに対応できるものが多くなっています。
海外SIMのAPN設定方法【iPhone編】
iPhoneでは「APN構成プロファイル」をインストールする方法が一般的です。詳しい手順を解説します。
プロファイルのダウンロードとインストール
【設定手順】
・Wi-Fiに接続する(プロファイルのダウンロードにはインターネット接続が必要)
・Safariを開き、海外SIM販売元の公式サイトにアクセスする
・該当するプロファイルのダウンロードリンクをタップする
・「許可」をタップしてダウンロードを完了させる
・「設定」アプリを開き、「ダウンロード済みのプロファイル」をタップする
・「インストール」をタップし、必要に応じてパスコードを入力する
・「インストール」を再度タップし、完了画面で「完了」をタップする
なお、大手キャリア(ドコモ、au、ソフトバンク)で購入したiPhoneの場合、多くの海外SIMでAPN設定が不要です。SIMカードを挿入するだけで自動的に設定される場合があります。
既存プロファイルの削除が必要な場合
格安SIM(MVNO)を利用していた場合など、すでに別のAPN構成プロファイルがインストールされていると、海外SIMが正常に動作しないことがあります。この場合は、既存のプロファイルを削除する必要があります。
【プロファイル削除手順】
・「設定」→「一般」→「VPNとデバイス管理」の順にタップ
・「構成プロファイル」に表示されているプロファイル名をタップ
・「プロファイルを削除」をタップ
・パスコードを入力し、「削除」をタップ
削除後は端末を再起動してから、海外SIM用のプロファイルをインストールしてください。
※帰国後は、削除したプロファイルを再インストールする必要があります。
iPhoneでのAPN設定の確認方法
APN設定が正しく行われているか確認するには、以下の手順で確認できます。
・「設定」→「モバイル通信」→「モバイルデータ通信ネットワーク」の順にタップ
・APNの項目に、海外SIMの販売元が指定する情報が入力されていることを確認
「モバイルデータ通信ネットワーク」の項目が表示されない場合は、通信事業者がAPN設定の表示・編集を許可していない可能性があります。その場合は、プロファイルのインストールで対応するか、販売元のサポートに問い合わせてください。
海外SIMのAPN設定方法【Android編】
Android端末では、「設定」アプリからAPN情報を手動で入力します。機種やOSバージョンによって画面表示が異なる場合がありますが、基本的な流れは同じです。
設定アプリからのAPN設定手順
【基本的な設定手順】
・「設定」アプリを開く
・「ネットワークとインターネット」または「接続」をタップ
・「モバイルネットワーク」をタップ
・「アクセスポイント名(APN)」をタップ
・画面右上の「+」ボタン、または「メニュー」→「新しいAPN」をタップ
・海外SIMに付属のマニュアルに記載されている情報を入力
・入力後、「保存」または「✓」をタップ
・作成したAPNを選択して有効にする
機種によっては、SIMカードを挿入すると自動的にAPNが設定される場合もあります。その場合は手動での設定は不要です。
入力が必要なAPN情報の項目
APN設定で入力が必要な主な項目は以下の通りです。実際に入力する値は、購入した海外SIMの説明書やWebサイトで確認してください。
・名前:任意の名前(自分でわかりやすい名前を付ける)
・APN:アクセスポイント名(例:internet、data など)
・ユーザー名:指定がある場合のみ入力
・パスワード:指定がある場合のみ入力
・認証タイプ:PAP、CHAP、またはなし
多くの場合、「名前」と「APN」の2項目だけを入力すれば接続できます。他の項目は空欄のまま、または初期値のままで問題ありません。
Androidでの設定確認と保存方法
APN情報を入力したら、必ず保存してから設定画面を閉じてください。保存せずに戻ると、入力した情報が消えてしまいます。
【設定確認のポイント】
・作成したAPNの横にチェックマーク(ラジオボタン)が付いていることを確認
・ステータスバーに「4G」や「LTE」のアイコンが表示されていることを確認
・ブラウザを開いてインターネットに接続できることを確認
設定後すぐに通信できない場合は、一度機内モードをON→OFFにするか、端末を再起動してみてください。
eSIMの設定方法と活用のポイント
eSIMは物理SIMカードの差し替えが不要で、オンラインで購入から設定まで完結します。2025年12月現在、海外での通信手段として主流になりつつあります。
eSIMの購入からインストールまでの流れ
eSIMの利用は、以下の流れで進めます。
・eSIMサービスのWebサイトまたはアプリで、渡航先と利用日数に合ったプランを選ぶ
・メールアドレスや支払い情報を入力して購入手続きを完了する
・メールまたはアプリでQRコードを受け取る
・スマートフォンでQRコードを読み取り、eSIMをインストールする
・現地到着後、データローミングをONにして利用開始
QRコードの読み取りには、別のスマートフォンやタブレット、またはプリントアウトしたQRコードが必要です。1台しか端末がない場合は、QRコードを印刷しておくか、一部のサービスでは手動入力コードで設定できます。
【eSIMのメリット】
・SIMカードの差し替えが不要で紛失リスクがない
・オンラインで購入後、すぐに設定・利用開始できる
・物理SIMと併用できる(デュアルSIM)ため、日本の電話番号を維持しながら海外データ通信が可能
・空港での受け取りや返却の手間がない
【eSIM対応機種の例】
・iPhone:XS / XS Max / XR 以降のモデル
・Google Pixel:Pixel 4 以降
・Samsung Galaxy:S20 以降の一部モデル
iPhoneでのeSIM設定手順
【設定手順】
・Wi-Fiに接続した状態で「設定」アプリを開く
・「モバイル通信」→「eSIMを追加」または「モバイル通信プランを追加」をタップ
・「QRコードを使用」を選択し、受け取ったQRコードをカメラで読み取る
・「モバイル通信プランを追加」画面で確認し、「続ける」をタップ
・プランに名前を付ける(例:「海外用」など)
・「デフォルト回線」「iMessage/FaceTime」「モバイルデータ通信」の設定を確認
・設定完了後、「設定」→「モバイル通信」でeSIMが追加されていることを確認
現地到着後は、追加したeSIMの「データローミング」をONにすることで通信が開始されます。
AndroidでのeSIM設定手順
【設定手順(機種により異なる場合があります)】
・Wi-Fiに接続した状態で「設定」アプリを開く
・「ネットワークとインターネット」→「SIM」をタップ
・「+」または「SIMを追加」をタップ
・「代わりにSIMをダウンロードしますか?」で「はい」を選択
・QRコードをカメラで読み取る
・「ダウンロード」や「インストール」をタップして完了
設定後、「モバイルネットワーク」から追加したeSIMを選択し、「データローミング」をONにすることで利用可能になります。
海外SIMが繋がらない場合のトラブル対処法
海外SIMを設定したのに、現地でインターネットに繋がらない…というトラブルは珍しくありません。慌てずに、以下の対処法を順番に試してみてください。
モバイルデータ通信・機内モードの確認
最初に確認すべき基本的な設定です。
【確認ポイント】
・機内モードがOFFになっているか
・モバイルデータ通信がONになっているか
・正しいSIM(eSIMの場合は海外用回線)が選択されているか
機内モードを一度ONにしてからOFFに切り替えると、電波を再取得してネットワークに接続できることがあります。
データローミングの設定確認
海外SIMが繋がらない原因として最も多いのが、「データローミング」の設定がOFFになっていることです。
【iPhoneの場合】
・「設定」→「モバイル通信」→ 該当するSIMを選択 →「データローミング」をON
【Androidの場合】
・「設定」→「ネットワークとインターネット」→「モバイルネットワーク」→「データローミング」をON
日本国内では高額請求を防ぐためにOFFにしていることが多いですが、海外SIMを使う場合はONにする必要があります。
APN設定の見直しと再設定
電波は立っているのにインターネットに繋がらない場合は、APN設定に問題がある可能性が高いです。
【確認・対処のポイント】
・APN情報が正しく入力されているか、スペルミスがないか確認
・設定したAPNが選択(有効化)されているか確認
・iPhoneの場合、既存のプロファイルが残っていないか確認し、必要に応じて削除
・一度APNを削除して、再度新規作成してみる
海外SIMの説明書に記載されているAPN情報を、もう一度確認して入力し直してみてください。
ネットワーク設定のリセット
上記の方法で解決しない場合は、ネットワーク設定をリセットしてみましょう。
【iPhoneの場合】
・「設定」→「一般」→「転送またはiPhoneをリセット」→「リセット」→「ネットワーク設定をリセット」
【Androidの場合】
・「設定」→「システム」→「リセット オプション」→「Wi-Fi、モバイル、Bluetoothをリセット」
※ネットワーク設定をリセットすると、保存されているWi-Fiのパスワードなども消去されるため、帰国後に再設定が必要になります。
端末の再起動とその他の対処法
設定に問題がない場合は、端末の再起動で解決することも多いです。また、以下の点も確認してみてください。
・SIMカードを一度取り出して、再度挿入してみる
・端末のOSが最新バージョンか確認する
・5G設定を4G(LTE)に変更してみる(5G非対応エリアの場合)
・キャリア(ネットワーク)の自動選択がONになっているか確認する
・SIMカードの有効期限が切れていないか確認する
それでも解決しない場合は、海外SIMの販売元のカスタマーサポートに連絡しましょう。日本語サポートがある販売元を選んでおくと、トラブル時も安心です。
海外SIM利用前に確認すべき準備事項
海外SIMを快適に利用するためには、事前の準備が重要です。ここでは、全体フローのステップ1で触れた内容を、より詳しく解説します。
SIMロック解除の確認・手続き方法
SIMロックとは、購入したキャリア(通信事業者)以外のSIMカードを使えないようにする制限のことです。大手キャリアで購入したスマートフォンには、以前はこのロックがかかっていました。ただし、2021年10月以降に発売された端末は、原則としてSIMロックがかかっていません。
【SIMロック状態の確認方法】
・iPhone:「設定」→「一般」→「情報」→「SIMロック」の項目を確認。「SIMロックなし」と表示されていればSIMフリー
・Android:「設定」→「デバイス情報」→「SIMカードの状態」などで確認(機種により異なる)
【SIMロック解除の手続き方法】
SIMロックがかかっている場合は、各キャリアでロック解除の手続きが必要です。オンラインで手続きすれば無料ですが、店頭で行うと3,300円(税込)程度の手数料がかかります。
手続きには端末の「IMEI(製造番号)」が必要です。電話アプリで「*#06#」と入力するか、「設定」アプリから確認できます。
スマホの周波数帯(バンド)の確認
スマートフォンには、対応している周波数帯(バンド)が機種ごとに決まっています。渡航先の通信事業者が使用する周波数帯に、お使いのスマートフォンが対応していないと、通信ができない可能性があります。
特に注意が必要なのは、日本国内向けに販売されているAndroid端末です。日本のキャリア向けに最適化されているため、海外の周波数帯に対応していないケースがあります。
一方、iPhoneやGoogle Pixelなどのグローバルモデルは、世界各国の周波数帯に幅広く対応しているため、海外での利用に適しています。
周波数帯の確認方法がわからない場合は、購入を検討している海外SIMの販売元に問い合わせるのが確実です。端末のIMEI番号を伝えれば、互換性を確認してもらえる場合もあります。
SIMカードのサイズと対応国の確認
【SIMカードのサイズ】
物理SIMカードを使用する場合は、自分のスマートフォンに合ったサイズを確認しましょう。
・標準SIM(Mini SIM):縦25mm × 横15mm。古い機種で使用
・microSIM:縦15mm × 横12mm。一部のAndroid端末で使用
・nanoSIM:縦12.3mm × 横8.8mm。現在の主流サイズ
最近の海外SIMカードは「マルチSIM」として販売されていることが多く、台紙から切り取ることで3サイズすべてに対応できるようになっています。
【対応国・エリアの確認】
渡航先の国や地域が、購入する海外SIMの対応エリアに含まれているか確認します。「アメリカ対応」と書いてあっても、グアムやサイパンは対象外という場合もあるので注意が必要です。複数の国を周遊する場合は、「ヨーロッパ周遊SIM」「アジア周遊SIM」などの複数国対応プランが便利です。
【データ容量と利用期間】
海外SIMには、「1GB/3日間」「5GB/7日間」「無制限/30日間」など、データ容量と利用期間が設定されています。旅行の日数や、現地でのインターネット利用頻度に合わせて選びましょう。
海外SIM利用時の注意点とよくある質問
海外SIMを快適に利用するために、知っておきたい注意点とよくある質問をまとめました。
高額請求を防ぐための設定ポイント
海外SIMを使用中でも、設定を誤ると日本のキャリアから高額な請求が発生する可能性があります。以下の設定を確認しておきましょう。
・日本のSIMのデータローミングはOFFにする(eSIMでデュアルSIM利用の場合)
・モバイルデータ通信に使用する回線が海外SIMに設定されているか確認
・アプリの自動更新をWi-Fi接続時のみに設定する
・クラウドへの自動バックアップをOFFにする
・動画の自動再生をOFFにする
特にデュアルSIM(日本のSIM+海外eSIM)で利用する場合は、モバイルデータ通信に使用する回線が海外用に設定されているか、必ず確認してください。
帰国後に必要な設定の戻し方
帰国後は、以下の手順で日本での通常利用に戻します。
【物理SIMカードの場合】
・海外SIMを取り出し、日本のSIMカードを挿入する
・必要に応じて、削除したプロファイルを再インストールする(格安SIM利用の場合)
・端末を再起動する
【eSIMの場合】
・「設定」→「モバイル通信」で日本の回線を選択する
・海外eSIMのデータローミングをOFFにする(または回線自体をOFFにする)
・使用済みのeSIMは削除しても問題ありません
海外SIMに関するよくある質問(FAQ)
Q. 海外SIMに入れ替えると、日本の電話番号は使えなくなりますか?
A. 物理SIMを入れ替えた場合、日本の電話番号での発着信はできなくなります。ただし、eSIMでデュアルSIM利用する場合は、日本のSIMを残したまま海外データ通信が可能です。LINEなどのアプリは、データ通信ができる状態であれば引き続き使用できます。
Q. 海外SIMに入れ替えても、LINEは使えますか?
A. データ通信ができる状態であれば、LINEのメッセージ送受信や通話は問題なく使用できます。電話番号が変わっても、アカウントはそのまま利用できます。
Q. 海外SIMはいつ入れ替えるのがベストですか?
A. 日本の空港で飛行機に搭乗する前がおすすめです。機内での入れ替えは紛失リスクがあり、現地到着後は慌ただしくなります。事前にプロファイルのインストールなども済ませておくと、現地到着後すぐに使い始められます。
Q. 日本で事前に購入するのと、現地で購入するのはどちらがいいですか?
A. 初めて海外SIMを使う方や、設定に不安がある方は、日本で事前購入することをおすすめします。日本語のマニュアルやサポートが充実しており、現地到着後すぐに使えるメリットがあります。
まとめ
海外SIMの設定方法について、全体フローから各ステップの詳細、トラブル対処法まで解説しました。
海外SIM設定の5ステップをおさらいすると、以下の通りです。
・ステップ1:SIMロック解除を確認する
・ステップ2:海外SIMを購入する
・ステップ3:SIMカードを入れ替える(またはeSIMをインストールする)
・ステップ4:APN設定を行う
・ステップ5:データローミングをONにして接続確認
繋がらない場合は、データローミングのON確認、APN設定の見直し、端末の再起動を試してみてください。
2025年12月現在、海外での通信手段としてeSIMが主流になりつつあります。物理SIMカードの入れ替えの手間や紛失リスクを避けたい方は、eSIM対応機種であればeSIMの利用を検討してみてください。
海外旅行や出張を快適に過ごすために、出発前に余裕を持って準備を進めましょう。

IoTBiz編集部
2015年から通信・SIM・IoT関連の事業を手掛けるDXHUB株式会社のビジネスを加速させるIoTメディア「IoTBiz」編集部です。
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