スマートモビリティとは?意味や特徴、メリット、事例を紹介
スマートモビリティとは?意味や特徴、メリット、事例を紹介
新たなテクノロジーである「人工知能(AI)」などが既存のサービスに導入されることで、「アクセシビリティ向上」や「人件費削減」などの利点が享受できる時代が到来しました。自動車産業や代替移動手段に関連する環境も急速に変化しており、「IoT化(モノのインターネット化)」によって新たな段階に進んでいます。この記事では、注目を浴びている「スマートモビリティ」の概要、仕組み、利点、および課題について詳しく解説します。
目次
スマートモビリティとは
「スマートモビリティ」とは、従来の移動手段に「情報技術」「人工知能」などの最新テクノロジーを組み合わせることで、「安全性」「利便性」を担保しながら効率的に進化させたものです。
「カーシェアリングサービス」「自動運転」「MaaS」などが具体的な例としてありますが、これら全体の総称のことを「スマートモビリティ」と定義しています。
スマートモビリティの「スマートカー」について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
『スマートカーとは?仕組みや市場動向、これまでの自動車との違いをわかりやすく解説』
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スマートモビリティでできること
スマートモビリティが社会に浸透することで実現できることの例として以下があります。
・運転支援システムによってドライバーの死角になる危険を検知する
・緊急時に自動ブレーキが掛かり、交通事故を減少させる
・人体と車が接触した時に、人体のダメージを最小限に抑える
「スマートモビリティ」を知る上で最も大切なことは「技術進化によって安全性が担保される」ことです。基本的には安全性が高いことを前提に、「自動運転」「MaaS」が組み合わさることで利便性が追求されていきます。
スマートモビリティの社会浸透への取り組み
スマートモビリティの普及に向けて経済産業省・国土交通省が2019年に「スマートモビリティチャレンジ」と銘打ったプロジェクトを開始しました。
具体的には以下の活動が行われています。
・シンポジウムなどの協議会活動
・各地域での新たなモビリティサービスの実証実験と事業性分析の実施
令和3年度には以下のようなサービスの実証が行われています。
・福祉車両の非送迎時間を利用した移動支援・食事配達による収益確立
・旅客バス改造、マルシェ機能付加による収益多角化
・交通サービスなどの提供で得られた移動/健康データを活用した政策の連携可能性検証
移動手段にフォーカスされがちな「スマートモビリティ」ですが、医療・健康・小売などに横断的にプラスの影響を与えていく概念としても注目を集めているのです。
スマートモビリティのメリット
人々の生活を効率的にする「スマートモビリティ」ですが、車など移動手段の利便性向上以外にも得られるメリットがあります。ここからは、スマートモビリティの主なメリットを紹介します。
安全性の向上
「スマートモビリティ」において安全性を担保する技術として「ADAS」が注目されています。
「ADAS」とは、「自動ブレーキ装置」「急発進防止装置」などを包含した先進運転支援システムです。
具体例として、車両に搭載されたカメラ・センサーが全体を正確に認知して、起こり得る危険を予知して迅速にドライバーに連絡・自動ブレーキが作動したり、自動車そのものを自動コントロールする等のさまざまなサポートを行います。
結果として交通事故が減少することで、安全性を高める効果を備えているのです。
交通渋滞の緩和
電車・飛行機・シェアサイクルなどの利便性が高まり、自家用車を利用する機会が減っていくことで交通量が減少して、渋滞緩和にも直結します。
その他、自動運転技術の発展によって「車の起動時」「車の停止時」「運転時のスピード調整」を自動化することで、人間が操作することで起こる人為的なミスの減少が実現可能です。
交通事故の発生で起きる「事故渋滞」などを減少させる効果を生み出します。
また、混雑時と閑散時で料金調整することで利用時間を分散させることも可能です。
電車であれば乗車率などをセンサーで管理することで、実現できます。
環境汚染の抑制
電車・シェアサイクルなど車と代替される交通手段の利便性向上が、自家用車の利用を減少させて、排気ガス抑制に繋がります。
その他にも、有害物質の排出を抑制した「電気自動車」「燃料電池車」「ハイブリッド車」も広がりを見せており、「エコカー減税」などの仕組みも相まって急速に広がっているのです。
経済的損失機会の減少
内閣府が発表したデータによると、平成16年における交通事故による損失額は、約6兆7,500億円と莫大な金額が失われています。
人為的な操作ミスで事故を起こして、多額の損害賠償請求を受けると、人生を大きく暗転させてしまうでしょう。
また、実際に被害を受けた方の悲しみも何十年経っても回復することはありません。
自動運転が普及して、人為的な交通事故の発生が抑制できれば、経済的損失も軽減されるでしょう。
(参考)内閣府 「交通事故の被害・損失の経済的分析に関する調査結果報告書概要」
スマートモビリティの課題
「スマートモビリティ」が社会に普及・浸透することで起きる課題にはどのようなものがあるのでしょうか?
代表的なものをピックアップして解説します。
「自動車業界」への影響
日本の基幹産業として多くの雇用を生み出してきた「自動車業界」ですが、自動車メーカー各社が「モビリティ・カンパニー」へのモデルチェンジを見据えた企業提携を進めています。
「スマートモビリティ」に適合する車の開発が推進されることによって、大手自動車メーカーにパーツを納品している中小製造会社は、求められる部品の変化によって大幅なコスト増に直結する可能性があるのです。
大手メーカーとの関係が変化して、「受注数の大幅な減少」などが起きると、失業率を高めることも十分に考えられるでしょう。
「モビリティ」利用から取り残される高齢者
自動車以外の「シェアサイクル」などの新しいモビリティサービスは、多くの場合でスマートフォンを利用することがほとんどです。急速な普及によって「スマートフォンを持っていない」「電子機器の操作が難しい」高齢者が取り残される可能性があります。
これからの日本が「少子高齢化社会」に向かっていくことから、「技術革新」と「使いやすさ」のバランスは考慮すべき課題と言えるでしょう。
システム障害によって移動が困難に
移動手段をシステムで連携することで利便性を向上させていますが、システム障害が発生した場合の影響範囲が大きいです。システム障害によって自宅に帰宅できない方なども増加する可能性があります。
都市の持続可能性と効率を向上させるスマートシティとの関係性
スマートモビリティとスマートシティは、都市の持続可能性と効率を向上させるために緊密に結びついた概念です。
スマートシティは情報技術(IT)や通信技術(ICT)を活用して、都市のインフラやサービスを統合し、持続可能で快適な生活を提供する都市のコンセプトです。これには、スマートなエネルギー管理、デジタルインフラ、効果的な公共サービス、センサーネットワーク、データ分析、市民との連携などが含まれます。スマートシティの目標は、エネルギー効率の向上、公共サービスの質の向上、生活の利便性の向上、環境への配慮などです。
スマートモビリティとスマートシティの関係性では、スマートモビリティはスマートシティの一部と位置づけられます。持続可能で効率的な移動手段の提供により、都市の生活品質が向上します。スマートモビリティの導入により、交通渋滞や排出ガスの削減、公共交通機関の利用促進などが可能になり、これがスマートシティの持続可能性に寄与します。また、スマートシティのデータインフラストラクチャーは、スマートモビリティから収集されるデータを活用し、交通パターンの分析や交通フローの最適化に役立ちます。総じて、これらの概念は相互に補完し、都市の持続可能な発展に向けて協力しています。
「スマートシティ」について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
『スマートシティ(Smart City)とは?定義や課題、日本と海外の事例を紹介』
スマートモビリティの事例
最後は、スマートモビリティの導入活用事例をいくつか紹介します。
【広島県東広島市】オンデマンドバス
ソフトバンクとトヨタが共同出資している会社「MONET」は、広島県東広島市でオンデマンドバスを導入しました。乗車する際には、提供アプリ「MONET」を利用して乗車予約して、目的地に移動する仕組みです。
(参考)MONET Technologies株式会社「【東広島市】大学と地域の移動を便利にする産官学連携モビリティサービス」
【福島県会津若松市】公用車の電気自動車化・電気自動車購入の補助金制度
また福島県会津若松市では、市役所が利用する公用車を電気自動車に変更、市民が電気自動車を購入する際にも独自の補助金制度を設けるなどの取り組みも行っています。
(参考)会津若松市 「電気自動車の普及促進・急速充電器の運用について」
【福島県双葉郡浪江町】乗合ミニバスサービス「なみえスマートモビリティ」
「なみえスマートモビリティ」は、浪江町内を便利に移動できる乗合ミニバスサービスです。このサービスは2022年6月6日から年間を通じて運行されており、さらに2023年1月5日からは有償の運賃実証が始まりました。これにより、町への定着を促進し、本格的な事業展開に向けて更なる進展を遂げました。
(参考)なみえスマートモビリティ|浪江町の移動をもっと活発に。誰でも無料で簡単に利用できるみんなの交通サービス
まとめ
「スマートモビリティ」の導入によって高い安全性を担保できる上で、利便性が向上することを解説してきました。その反面「少子高齢化」を迎える日本において、「システムの使いやすさ」も今後の課題として議論を重ねる必要があります。「スマートモビリティ」の全体像を把握した上で、生活の中に上手に取り入れることが必要です。
IoTBiz編集部
2015年から通信・SIM・IoT関連の事業を手掛けるDXHUB株式会社のビジネスを加速させるIoTメディア「IoTBiz」編集部です。 DXHUB株式会社 https://dxhub.co.jp/ 京都本社 〒600-8815 京都府京都市下京区中堂寺粟田町93番地KRP6号館2F 東京オフィス 〒151-0053 東京都渋谷区代々木1-25-5 BIZ SMART代々木 307号室
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