PHSとは?携帯電話・ガラケーとは何が違う?サービス終了の背景や代替の通信手段について解説
PHSとは?携帯電話・ガラケーとは何が違う?サービス終了の背景や代替の通信手段について解説
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2024-11-18
3min
これまで、PHSは、通信料金の安さから数多くの会社で利用されていましたが、今では、PHSサービスを提供している会社はほとんどありません。一部、病院内の内線として利用されているくらいです。 この記事では、これまでのPHSの歴史や、サービス終了の背景、PHSに代わる通信手段など、詳しく紹介していきます。
目次
PHSとは
PHSは、「Personal Handy-phone System」の略称で、携帯電話と同じ電波を使用して通話を行います。その名の通り、「小型の個人で気軽に扱えるかつ価格も安い」という理由で広く利用されました。
また、PHSには、公衆PHSと構内PHSの2種類があります。
・公衆PHSとは
個人契約が可能なPHSサービスです。価格が安く、通話品質も優れており、携帯電話以上に好まれたサービスです。また、公衆PHSは、自動販売機やコインパーキングの監視用としても利用されていまし た。
・構内PHSとは
小さいサイズのPHSアンテナを設置し、特定の範囲で利用できる内線用PHSサービスです。配線工事は不要で、アンテナを設置すれば簡単に導入でき、病院・敷地の広い工場や介護施設で利用されています。また、PHSの電波は微弱なため、機器の誤作動を起こしにくいという利点もありました。
PHSの歴史について
PHSは、1995年に移動体通信サービスの一つとして登場し、サービスを開始しました。
サービスが開始した当時は、携帯電話と比較しても通話品質が優れていることに加え、その価格の安さから、最盛期にはなんと700万件の契約数にまで到達し、1990年代後半には大ヒット商品となりました。
PHSが病院や介護施設で使用される理由とは
病院内では、携帯電話ではなく、PHSを利用していることがほとんどです。
その理由としては、病院で使われる医療機器の中には、強い電波の影響で誤作動を起こしてしまう可能性があるためです。そのため構内PHSを導入し、持ち歩きできる内線電話として、微弱な電波のPHSが利用されていました。それが、今では携帯電話の電波(4Gや5G)は、電波干渉の発生確率はPHS以下であるとされています。また、病院内や介護施設内でもWi-Fiが当たり前に利用できる環境になっており、PHSでなくても携帯電話で賄える状況となっています。
PHSサービス終了の背景
移動体通信の手段として一世風靡したPHSですが、一部法人向けサービスを除き、2021年1月にサービスは終了しています。現時点での移動体通信は、携帯電話やスマホがメインとなっており、携帯電話やスマホの品質が向上していることと、高機能によって競争力を失い、また、通話エリアが少ないために消費者離れが起こったことが背景にあります。
主要な公衆PHSサービスを提供していた事業者のアステルは、2006年にPHSサービスを終了し、NTTドコモも2008年にPHSサービスを終了しています。また最後までPHSサービスを提供してきたY!mobileも、2021年1月にサービスの提供を終了しています。
PHSと携帯電話・ガラケーの違い
PHSと携帯電話・ガラケーの違いは、電波の届く範囲と、電波法によって必要な無線局免許状が必要か否かです。それぞれ詳しくご紹介します。
通信方式
PHSは、家庭の電話の回線から専用のアンテナによって狭い範囲に電波を届けるため、無線局免許状は必要ありません。電波の届く範囲としては、500mほどです。
一方、携帯電話・ガラケーは、無線局免許状が必要となり、高出力の電波を使用しているため広範囲に電波が届きます。電波の届く範囲としては、2.5km〜5kmほどです。
携帯電話は、通信事業者が無線局免許状を包括的に取得し、利用者は契約手続きだけで利用ができる仕組みです。
コスト
PHSの基地局は、微弱な電波のため小型で設置ができます。そのため設備にかかるコストも低く、利用料も安く提供が可能でした。
一方携帯電話・ガラケーも、技術が進化していき、提供コストを下げることができるようになってきています。また、PHSに対抗すべく値下げが行われ、PHS利用料金と携帯電話・ガラケーの料金の差はなくなってきています。
利用エリア
PHSは、短距離通信を行うもので、広い範囲の通信はできないため、都市圏での利用が主でした。
携帯電話ができなかった地下鉄や地下街にも、小型の基地局を設置できるため、都市部では広い範囲で通信が可能という特長がありました。
一方、PHSは、地方や山間部では基地局の設置が難しく利用できません。このことが、広範囲の通信が可能な携帯電話に市場を奪われた原因でした。
PHSに代わる通信手段
以前は、電磁波が医療機器に影響を与えるとされていた医療機関でも、例外的な場合を除き携帯電話の使用が可能とされています。PHSサービスが終了してしまった今、PHSに代わるサービスにはどのようなものがあるのか。3つの代替手段を紹介します
sXGP
sXGPは、携帯電話の4G(LTE)回線を利用した構内PHSの後継規格です。
今までの構内PHSと同様に、無線局免許状がなくても導入可能で、簡単にモバイル通信網を構築することができます。一見、利便性が高いと思われますが、sXGPの事例はまだ多くありません。
このことから、導入後の運用するには手探りになり、また、対応機器が限定的なため、技術も新しくコストもかかるというデメリットもあるので注意が必要です。
FMC
FMC(Fixed Mobile Convergence)は、スマホや携帯電話などのモバイル端末を、ビジネス用の電話機として利用することができるサービスです。
固定電話とモバイル端末をまとめて同じ通信事業者で契約する必要がありますが、モバイル端末が固定電話の代わりに内線通話の用途として使用可能です。
外出する社員が多い場合は、通話料をかなり削減でき、また、テレワークの導入も簡単になります。
しかし、FMCは、外線発信すると、相手に着信として表示される番号が、会社の固定電話番号ではなく、使用している携帯電話の番号が表示されます。
そのため、「誰かわからない」、「不審な電話かも」と思われ、出てもらえない可能性があるのに加え、個人の携帯電話の番号が知られてしまう可能性がありますので注意してください。
クラウドPBX
PBX(Private Branche Xchange)は、構内交換機のことで、それをクラウド上に設置し、インターネットを経由してビジネスホン機能が利用できるというサービスです。
このクラウドPBXがあれば、携帯電話を内線電話として利用でき、また携帯電話から固定電話の番号で発信することも可能です。これまでのPBXとは違い、クラウドサービスのため、機器や設置工事が不要で初期費用も安く抑えられるというメリットがあります。
しかし、クラウドPBXはインターネット経由のため、回線状況によっては通話の品質が低下、ウイルス感染や不正なアクセスの危険性もあるので注意が必要です。
まとめ
これまで、PHSの歴史や、サービス終了の背景、代替手段について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
公衆PHSについては2023年に個人向けも法人向けも全てがサービス終了しています。構内PHSについては、病院などを中心に一部利用されているケースはあるものの、いくつかリスクも考えられます。例えば、通話品質の低下や、メンテナンス・端末や設備の買い替えコストが上昇するという可能性があります。そのため早急に代替手段のメリット・デメリットをしっかり確認し、最適なサービスを選択することも必要です。
IoTBiz編集部
2015年から通信・SIM・IoT関連の事業を手掛けるDXHUB株式会社のビジネスを加速させるIoTメディア「IoTBiz」編集部です。
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