eSIMとは?メリット・デメリット、対応キャリア・端末を紹介
eSIMとは?メリット・デメリット、対応キャリア・端末を紹介
近年、私たちの生活でも「格安SIM」や「SIMロック解除」、「eSIM」などのSIMに関連する用語がより一般的になってきました。この中でも、総務省が推進している「eSIM」について紹介します。
目次
eSIMとは
まずは、eSIMの定義や特徴、メリットを紹介します。
そもそもSIMカードとは
SIMとは、「Subscriber Identity Module」の略で、日本では「SIMカード」と呼ばれます。このSIMカードを端末(スマホ)に挿入することで、下記のことができるようになります。
1. 電話回線を使用した音声通話
2. データ通信
3. SMS(ショートメッセージサービス)
また、SIMカードには、契約者(利用者)の情報(識別番号、電話番号、メールアドレス)を記録する機能もあります。
通常、スマホを利用するためには、SIMカードを挿入することが必須です。
eSIMと比較する際には、このSIMカードを物理SIMと呼ぶこともあります。
「SIMカード」について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
『SIMカードとは?基本的な種類やサイズ、仕組み、選び方を解説』
eSIMの特徴
eSIMとは、「Embedded Subscriber Identity Module」の略で、直訳すると、「組み込み型のSIM」です。つまり、「端末本体と一体型のSIM」ということです。通常のSIMカードであれば、端末(スマホ)にSIMカード挿入することで、通常のスマホとしての機能を利用することができますが、eSIMは、あらかじめ端末スマホ内に組み込まれているため、SIMカードを取り出したり、挿入したりすることはできません。
eSIMのメリット
抜き差しが可能な通常のSIMと比べて、eSIMはどんなメリットがあるのか紹介します。
1. 物理的なSIMカードが不要
eSIMはデジタル形式のSIMであり、物理的なSIMカードの挿入や交換が不要です。そのため、デバイス内にプリインストールされたeSIMを利用することができます。これにより、デバイスの薄型化やスロットの節約が可能になります。
2. 利便性と柔軟性が高い
eSIMを利用すると、電話番号やデータプランの切り替えが容易になります。eSIMには複数のプロファイルを登録でき、異なるサービスプロバイダーのSIMを一つのデバイスで使い分けることができます。旅行中や国際ローミング時に、現地のプロバイダーに切り替えることも簡単です。
3. 乗り換えが簡単
eSIMはリモートでアクティベーションできるため、SIMカードを物理的に交換する必要がありません。新しいデバイスを購入した場合やプランの変更が必要な場合でも、簡単に設定変更ができます。
4. 多機能デバイスへの適合性が高い
eSIMは、スマートウォッチ、ウェアラブルデバイス、自動車の組み込みシステムなど、小型かつ多機能なデバイスにも適しています。物理的なSIMカードのスロットが制約されている場合でも、eSIMを利用して通信サービスを提供することができます。
5. 環境への貢献
eSIMの導入により、プラスチック製の物理SIMカードの需要が減少し、廃棄物や環境への負荷を削減することが期待されます。また、デジタル形式であるため、物理的なSIMカードの製造や物流にかかるコストも削減されます。
eSIMのデメリット
ここまで読むと、eSIMは、良いこと尽くしのようですが、主に3つのデメリットがあります。
1. 普及率が低い
eSIMは比較的新しい技術であり、まだ普及率が低いため、対応しているデバイスやサービスプロバイダーが限られています。そのため、利用する機会や選択肢が制限される可能性があります。
2. 対応デバイスが少ない
一部の旧型のデバイスや一部の国や地域では、eSIMに対応していない場合があります。そのため、eSIMを利用するためには対応したデバイスを購入する必要がある場合があります。
3. セキュリティリスク
eSIMは物理的なSIMカードがないため、紛失や盗難のリスクが低いという利点もありますが、デジタル形式であるため、オンライン攻撃や不正アクセスのリスクが存在します。適切なセキュリティ対策を講じる必要があります。
SIMカードのサイズと種類
SIMには、サイズや用途によって様々な種類があります。
【サイズ別】SIMの種類
SIMのサイズは、主に物理SIM3種類プラスeSIMの4種類に分かれます。
miniSIM(標準SIM)
2008年ごろ日本で最初に普及したのが、miniSIM(標準SIM)と呼ばれるSIMカードです。物理SIMの中で一番大きく、縦横サイズは、25mm×15mmのカードサイズです。このminiSIMは、AppleのiPhone 3Gや3GS、同時代のAndroidスマホに主に使われていました。
microSIM
2010年ごろから普及したのがmicroSIMです。縦横サイズは、15mm×12mmです。このmicroSIMは、AppleのiPhone4や、同時代のAndroidスマホに使用されていました。
nanoSIM
最後に紹介するnanoSIMは、2012年ごろから普及し始めました。SIMカードの中では、一番小さく、縦横サイズは、12.3mm×8.8mmです。最新のiPhoneや最新のAndroidのほとんどがこのnanoSIMを使用しています。
【用途・機能別】SIMの種類
SIMカードのサイズについて言及してきましたが、ここでは、目的用途や機能別のSIMの種類を3つ紹介します。
音声SIM
機能:音声通話、データ通信、SMS
このSIMタイプは、「090」「080」「070」等の通話機能を持った電話番号があるSIMカードで、大手キャリア(ドコモ、au、ソフトバンク等)でスマホを契約している人のほとんどがこのSIMに該当します。
データ専用SIM
機能:データ通信のみ
このSIMのタイプは、通話機能を必要としないiPadなどのタブレット用に活用する人が多いです。
SMS SIM
機能:データ通信、SMS
近年のアプリやソフトウェアサービスでは、セキュリティの観点から2段階認証として「SMS(ショートメール)」を使うことが多いため、通話機能自体は、使わないが、データ通信とSMSは、使いたいという人向けのSIMです。
総務省のeSIM推進
スマホやSIMに関する事業をおこなう電気通信業界を管轄する総務省では、eSIM普及の推進を行なっています。その主な2つの理由を紹介します。
【eSIM推進理由1】利用者の利便性向上
これまでの物理SIMを用いたサービス提供では、「対面・書面での手続を必要」としたり、「キャリア変更に手間」がかかったり、「海外での利用がしづらい」などのスマホ利用者にとっての不便が大きいため、これを解消できる一つの策として、総務省では、eSIMの普及促進をしています。
【eSIM推進理由2】市場の健全な競争環境構築
物理SIMを主要とするこれまでの市場環境では、ベンチャーやスタートアップなどの新規参入企業がeSIMを用いて事業の展開をしづらい環境になっていると指摘し、電気通信業界に、健全な競争環境を構築するためにも、総務省は、eSIMの普及促進をしています。
eSIMの普及率と普及の課題
2021年3月に開催された総務省の有識者会議「スイッチング円滑化タスクフォース」第6回会合で、eSIMの導入推進として、大手キャリアに対し、eSIM用のプラン提供開始を求めることを発表しましたが、現在の普及率とその課題について紹介します。
eSIM普及率
世界のeSIM普及率
カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチが行なった調査によると、2018年におけるeSIM内蔵デバイスの出荷台数は、全世界で3億6,400万台と発表しており、2025年には、その台数が約20億台まで増加すると発表しています。
2018年 3億6,400万台
2025年 20億台
日本のeSIM普及率
日本では、正確なeSIM内蔵のデバイス出荷台数は把握できませんが、現在販売され、流通している主要端末のほとんどが物理SIM型です。
eSIM普及の課題
今後、eSIM普及で、スマホ利用者にとって利便性の向上をはかっていきたいところですが、総務省の指摘にもあったように、日本国内でeSIMの普及をさせるには大きな課題があります。
大手キャリアが中心となって、eSIMの推進をする必要があるのですが、利用者にとってのeSIM利用のメリットである「他社プランへの乗り換えが楽になる」というのが、大手キャリアがeSIMを推進しづらい理由の一つとなっています。
【日本国内】eSIMに対応しているスマホ端末
日本国内で発売されているeSIM対応のスマホ端末を紹介します。
iPhone
メーカー | 機種名 | 発売日 |
---|---|---|
Apple | iPhone XS | 2018年9月 |
Apple | iPhone XS Max | 2018年9月 |
Apple | iPhone XR | 2018年10月 |
Apple | iPhone 11 | 2019年9月 |
Apple | iPhone 11 Pro | 2019年9月 |
Apple | iPhone 11 Pro Max | 2019年9月 |
Apple | iPhone SE 2nd | 2020年4月 |
Apple | iPhone 12 | 2020年10月 |
Apple | iPhone 12 Pro | 2020年10月 |
Apple | iPhone 12 mini | 2020年11月 |
Apple | iPhone 12 Pro Max | 2020年11月 |
(参考)スイッチング円滑化タスクフォース~eSIM各国状況説明資料~|MM総研
Android
メーカー | 機種名 | 発売日 |
---|---|---|
Google Pixel 4 | 2019年10月 | |
Google Pixel 4 XL | 2019年10月 | |
Google Pixel 4a | 2020年8月 | |
Google Pixel 4a(5G) | 2020年10月 | |
Google Pixel 5 | 2020年10月 | |
Huawei | HUAWEI P40 Pro 5G | 2020年6月 |
OPPO | OPPO A73 | 2020年11月 |
Rakuten | Rakuten Hand | 2020年12月 |
Rakuten | Rakuten mini | 2020年1月 |
Rakuten | Rakuten GIB | 2020年9月 |
SHARP | AQUOS sense4 lite | 2020年11月 |
(参考)スイッチング円滑化タスクフォース~eSIM各国状況説明資料~|MM総研
【日本国内】eSIMに対応しているキャリアやプラン
日本国内で、eSIMに対応しているキャリアとプランを紹介します。
この他にもeSIMにおすすめのプランがたくさんありますので、ご興味のある方は、こちらの記事をご覧ください。
『eSIMおすすめ結局どこ?最安ランキング!データSIM・音声対応SIMどこが一番安い? | 正モバイル』
IIJmio
【対応プラン名】
IIJmio eSIM「データプランゼロ」
【プランの特徴】
・データ通信量がお得
1GB/1,000円以上するキャリアのデータ追加料が、IIJmioのeSIMなら1GB/450円で利用できます。
・1GBから直ぐに使える
ネットから1GB単位でいつでも使いたいときに使いたいだけ利用可能。オンラインで申込から開通まですぐ出来て、 急なデータ不足の時に安心。
・eSIM対応PC・タブレットならWi-Fiやテザリング不要
eSIM対応のデバイスなら、外出時もWi-Fiルーターやスマホのテザリングなしで、 いつでもネットに接続可能です。
【サービスURL】
https://www.iijmio.jp/esim/
【対応プラン名】
IIJmio eSIM「ギガプラン」
【プランの特徴】
・2ギガから20ギガまでどのプランもおトク!
・ドコモ網の回線利用可能!
・余ったデータ量は無駄なく翌月繰り越しが可能!
・機能やデータ量が違ってもデータシェアが可能!
【サービスURL】
https://www.iijmio.jp/gigaplan/
ahamo
ahamoでは、eSIM専用プランなどはなく、通常のahamoが提供しているプランをeSIMで契約することが可能です。
【サービスURL】
https://ahamo.com/plan/
povo
povoでは、eSIM専用プランなどはなく、通常のpovoが提供しているプランをeSIMで契約することが可能です。
【サービスURL】
https://povo.jp/support/guide/esim/
LINEMO
LINEMOでは、eSIM専用プランなどはなく、通常のLINEMOが提供しているプランをeSIMで契約することが可能です。
【サービスURL】
https://www.linemo.jp/process/esim/
楽天モバイル
【対応プラン名】
Rakuten UN-LIMIT Ⅴ
【プラン特徴】
・国内通話はかけ放題
・毎月のお支払い額はあなた次第
【サービスURL】
https://network.mobile.rakuten.co.jp/product/sim/esim/
ワイモバイル
【対応プラン名】
シンプルS/M/L
【プラン特徴】
・余ったデータをムダなく使える!
・データ繰越し可能
・選べる2つの通話オプション
【サービスURL】
https://www.ymobile.jp/service/others/simonly/esim/
BIC SIM
【対応プラン名①】
eSIM(ギガプラン)
【プラン特徴①】
・データ通信料がおトク
ギガプランのeSIMなら、1GBあたり220円でおトクにデータ容量の追加をすることができます。
・低価格の月額料金プラン
月額料金も低価格でリーズナブル。2ギガプランのeSIMなら月額440円~。20ギガプランでも月額料金は1,650円!(1GBあたり83円)データ容量の多いプランほど1GBあたりの料金がおトクに!
・全国最大規模のWi-Fiが無料
月額プランのご契約者様を対象に全国最大規模のエリアを誇る「ギガぞう Wi-Fi」を無料でご提供。BIC SIMを1年以上ご利用いただくと、さらに高機能な「スタンダードプラン(長期特典) for BIC SIM」をご利用いただくことができます。
・データがシェアできる
eSIM(ギガプラン)では、データ容量のシェアも可能!例えばメインの利用者が20ギガプラン、ご家族がそれぞれ2ギガプランでご契約の場合、合計24GBをご家族間でシェアしながらご利用いただくことができます。
【対応プラン名②】
いいSIM(データプランゼロ)
【プラン特徴②】
・データ通信料がおトク
ギガプランのeSIMなら、1GBあたり220円でおトクにデータ容量の追加をすることができます。
・キャリアから乗り換えなし
現在キャリアの家族割りのような縛りのあるプランに入っている方や、「@docomo.ne.jp」のようなキャリアメールアドレスをそのまま使いたい方は、乗り換えなしでとっても便利!
・1GBから直ぐに使える
ネットから1GB単位でいつでも使いたいときに使いたいだけ利用可能。オンラインで申込から開通まですぐ出来て、急なデータ不足の時に安心。
・eSIM対応PC・タブレット
ならWi-Fiやテザリング不要
eSIM対応のデバイスなら、外出時もWi-Fiルーターやスマホのテザリングなしで、いつでもネットに接続可能です。
【サービスURL】
https://bicsim.com/service/esim.html
LinksMate
LinksMateでは、eSIM専用プランなどはなく、通常のLinksMateが提供しているプランをeSIMで契約することが可能です。
【サービスURL】
https://linksmate.jp/about/esim/
IoTBiz編集部
2015年から通信・SIM・IoT関連の事業を手掛けるDXHUB株式会社のビジネスを加速させるIoTメディア「IoTBiz」編集部です。 DXHUB株式会社 https://dxhub.co.jp/ 京都本社 〒600-8815 京都府京都市下京区中堂寺粟田町93番地KRP6号館2F 東京オフィス 〒151-0053 東京都渋谷区代々木1-25-5 BIZ SMART代々木 307号室
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