JAPANローミングとは?仕組み・使い方・対応端末・注意点をわかりやすく解説
JAPANローミングとは?仕組み・使い方・対応端末・注意点をわかりやすく解説
スマホ
2026-03-19
6min

JAPANローミングとは、災害や大規模通信障害の発生時に他社の携帯回線へ一時的に接続できる非常時の仕組みです。2026年4月開始の本サービスについて、仕組み・利用方法・対応端末・注意点をわかりやすく解説します。
目次
1. JAPANローミングとは?サービスの概要
1-1. JAPANローミングの基本的な仕組み
JAPANローミングとは、大規模災害や通信障害が発生した際に、契約している携帯電話事業者のネットワークが使えなくなった場合、他の事業者のネットワーク(4G LTE)に一時的に接続して通信を行うことができる仕組みです。
たとえば、NTTドコモのユーザーが災害でドコモの基地局が使えなくなった場合でも、近くにあるKDDIやソフトバンクの基地局が無事であれば、そちらの電波を借りて通信を維持できるようになります。
通常のローミングというと海外渡航時の「国際ローミング」をイメージする方が多いかもしれません。JAPANローミングは、それを国内の非常時に限定して応用した仕組みといえます。平常時や小規模な通信障害では発動しない点が大きな特徴です。
なお、JAPANローミングは一般社団法人電気通信事業者協会(TCA)の商標であり、正式名称は「非常時事業者間ローミング」です。
1-2. サービス開始日と対象事業者
JAPANローミングは、2026年4月1日に正式にサービスを開始します。サービスを提供する携帯電話事業者は以下の5社です。
・株式会社NTTドコモ
・KDDI株式会社
・沖縄セルラー電話株式会社
・ソフトバンク株式会社
・楽天モバイル株式会社
NTTドコモ、KDDI、沖縄セルラー、ソフトバンク、楽天モバイルの携帯5社が参加しています。提供の有無や方式は、災害・障害の状況に応じて各社が案内します。
1-3. 導入の背景:KDDI通信障害と総務省の検討
JAPANローミングが生まれた背景には、2022年7月に発生したKDDIの大規模通信障害があります。この障害では多くの回線に長時間にわたって影響が及び、110番や119番への緊急通報も困難になるなど、通信のライフラインとしての脆弱性が浮き彫りになりました。
この事態を受けて、総務省は2022年9月から「非常時における事業者間ローミング等に関する検討会」を発足させ、非常時でも通信手段を確保する仕組みの検討を開始しました。検討会では3次にわたる報告書がまとめられ、2024年8月以降は情報通信審議会へと引き継がれ、技術的条件の整備が進められてきました。
携帯電話による緊急通報は全体の約6割を占めるとされており、災害時に携帯電話が使えなくなることは人命に関わる問題です。こうした社会的要請に応える形で、約3年半の検討・準備期間を経てJAPANローミングが実現しました。
JAPANローミングの2つの提供方式
JAPANローミングには、災害・通信障害の規模や通信設備の状況に応じて、「フルローミング方式」と「緊急通報のみ方式」の2種類が用意されています。どちらの方式で提供するかは、被災エリアの範囲や影響を受けるユーザー数、救済事業者側の設備容量などに応じて決定されます。
2-1. フルローミング方式でできること
フルローミング方式は、音声通話(緊急通報を含む)、SMS(ショートメッセージサービス)、データ通信のすべてが利用できる方式です。災害・障害の状況や設備状況に応じて提供されます。
対応端末であれば自動的に他社ネットワークに接続され、端末の画面には「JPN-ROAM」というネットワーク名が表示されます。総務省の案内によると、末尾にD・K・S・Rなどの文字が表示され、それぞれ接続先のキャリアを示すとされています。
ただし、データ通信の速度は送受信最大300kbpsに制限されます。これは動画視聴などには適さないものの、テキスト中心のSNSや安否確認サイトの利用、メッセージの送受信などには十分な速度です。
緊急通報のみ方式でできること
緊急通報のみ方式は、110番(警察)、119番(消防・救急)、118番(海上保安庁)への音声通話発信のみが可能な方式です。一般の音声通話やSMS、データ通信は利用できません。また、緊急通報先からの折り返しの電話を受けることもできません。
この方式は、コアネットワーク設備が被災した場合や、広範囲にわたる障害で救済事業者の設備容量に余裕がない場合などに提供されることが想定されています。フルローミング方式と異なり、利用時にはユーザー自身が手動でネットワークを切り替える操作が必要です。
2つの方式の比較表
| 機能 | フルローミング方式 | 緊急通報のみ方式 |
|---|---|---|
| 緊急通報(110/119/118) | ○ | ○(発信のみ・折り返し不可) |
| 音声通話(一般) | ○ | × |
| SMS | ○ | × |
| データ通信 | ○(最大300kbps) | × |
| ネットワーク切替 | 自動(対応端末) | 手動 |
JAPANローミングの使い方
フルローミング方式の利用手順
フルローミング方式では、対応端末であれば基本的に特別な操作は必要ありません。端末のネットワーク設定が「自動選択」になっていれば、自動的に救済事業者のネットワークに切り替わります。
接続が完了すると、端末の画面に「JPN-ROAM」などのネットワーク名が表示されます。この表示が確認できれば、音声通話・SMS・データ通信が利用可能です。
なお、「JPN-ROAM」と表示されているにもかかわらず通信できない場合は、ネットワーク選択を「手動」に切り替え、一覧から「JPN-ROAM」のいずれかを選択することで改善する場合があります。
JAPANローミングの利用にあたって、事前の申し込みは不要です。また、利用料金も発生せず、通常契約している料金プランの条件がそのまま適用されます。
緊急通報のみ方式の利用手順
緊急通報のみ方式では、ユーザー自身が手動でネットワークを切り替える必要があります。以下の手順で操作してください。
(1)端末の「設定」アプリを開き、ネットワーク設定(モバイルネットワーク)へ進みます。
(2)ネットワークの「自動選択」をオフにします。
(3)表示されるネットワーク一覧から、自分が契約している事業者以外のネットワーク名を選択します。「NTT DOCOMO」「KDDI_50」「SoftBank」「Rakuten」、あるいは「44010」「44050」「44020」「44011」といった数字が表示される場合もあります。
(4)ネットワーク名の横に「(禁止)」と表示されていても選択可能です。
(5)画面上は「圏外」のままとなる場合がありますが、110番・119番・118番へ繰り返し発信を試みてください。
緊急通報が終わったら、必ずネットワーク選択を「自動選択」に戻してください。戻し忘れると、JAPANローミング終了後に通常の通信が利用できなくなります。
Android端末でのデータローミング設定方法
フルローミング方式でデータ通信を利用する場合、Android端末では「データローミング」の設定をオンにする必要がある場合があります。設定手順は以下のとおりです。
(1)「設定」アプリを開きます。
(2)「ネットワークとインターネット」→「モバイルネットワーク」へ進みます。
(3)「データローミング」をオンにします。
なお、設定手順は端末やOS、キャリアによって異なります。iPhoneやその他の機種については、各携帯電話事業者の案内ページを確認してください。また、端末によってはデータローミングをオンにしなくても利用できる場合もあります。
注意: データローミングをオンにしたまま海外へ渡航すると、予期しない高額な通信料が発生する可能性があります。JAPANローミングの提供終了後は、必ず設定をオフに戻してください。
JAPANローミングの対応端末と確認方法
2026年春以降発売モデルの対応状況
2026年春以降に発売されるスマートフォンは、JAPANローミングに順次対応予定です。対応の可否は各携帯電話事業者の対応機種ページで確認してください。
また、対応端末であってもOSやソフトウェアが最新でない場合、JAPANローミングを利用できないことがあります。日頃からOSアップデートを最新の状態に保つことが重要です。
既存端末の対応確認方法
2026年春より前に発売された端末については、ソフトウェアアップデートにより対応する場合があります。対応状況は各携帯電話事業者のWebサイトで確認できます。
いざという時に備えて、自分の端末が対応しているかどうかを事前に確認しておくことをおすすめします。
MVNOユーザーのJAPANローミング利用
MVNOユーザーも、JAPANローミングを利用することができます。ただし、利用できるサービスの範囲はMNO(大手キャリア)ユーザーとは異なる部分があるため注意が必要です。
MVNOユーザーが利用できるサービスは以下のとおりです。
| サービス | フルローミング方式 | 緊急通報のみ方式 |
|---|---|---|
| 緊急通報 | ○ | ○(発信のみ) |
| 音声通話 | ○(音声契約がある場合) | × |
| SMS | ○(SMS契約がある場合) | × |
| データ通信 | 一部MVNOのみ | × |
特に注意すべき点として、フルローミング方式においてもデータ通信は一部のMVNOのみが対応しています。契約中のMVNOがデータ通信に対応しているかどうかは、各MVNO事業者に直接確認する必要があります。
また、音声通話・SMSの利用には、それぞれの契約が必要です。データ通信専用のプランのみで契約している場合、フルローミング方式であっても音声通話・SMSは利用できません。
JAPANローミング利用時の注意点
利用できないサービス・機能
JAPANローミング利用中は、一部のサービスや機能が制限されます。主な制限事項は以下のとおりです。
・サービスダイヤル(0120、0800、0570など)への発信ができません
・短縮ダイヤル(#7119、#9110など)も利用できません
・キャリアメールなど、各事業者固有のサービスは利用できない場合があります
・JAPANローミングはあくまで非常時の代替手段であり、すべてのユーザーの通信を保証するものではありません
救済事業者側も被災している可能性があるため、自社ユーザーの通信に支障をきたさない範囲で受け入れる仕組みとなっています。ネットワークが混雑している場合、接続できない可能性がある点も理解しておく必要があります。
利用後に必ず戻すべき設定
JAPANローミングの提供が終了した後、以下の設定を必ず元に戻してください。戻さないと平常時の通信が利用できなくなります。
・ネットワーク選択を「手動選択」にした場合は、「自動選択」に戻す
・Android端末で「データローミング」をオンにした場合は、オフに戻す
特にデータローミングの設定は、オンのまま海外に渡航すると想定外の通信料金が発生するリスクがあります。JAPANローミングの提供終了が確認でき次第、速やかに設定を確認することが大切です。
通信速度の制限について
フルローミング方式では、データ通信の速度が送受信最大300kbpsに制限されます。これは、災害時にできるだけ多くのユーザーが通信を利用できるようにするための措置です。
300kbpsという速度は、テキストベースのWebサイト閲覧、メールやメッセージの送受信、安否確認サイトの利用などには対応できますが、動画の視聴や大容量ファイルのダウンロードには適していません。災害時には必要最低限の通信に絞って利用することが推奨されます。
JAPANローミングと他の災害時通信手段の比較
JAPANローミングは災害時の通信手段として大きな役割を果たしますが、唯一の選択肢ではありません。他の手段と組み合わせて活用することが重要です。以下に主な災害時通信手段を比較します。
| 通信手段 | 音声通話 | データ通信 | 利用条件 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| JAPANローミング | ○ | ○(最大300kbps) | 対応端末が必要 | 申込不要・無料 |
| 00000JAPAN(無料Wi-Fi) | × | ○ | 提供場所の近くにいること | 暗号化なし、セキュリティに注意 |
| 災害用伝言ダイヤル(171) | 伝言の録音・再生 | × | 電話回線が利用可能なこと | 安否確認に特化 |
| 公衆電話 | ○ | × | 設置場所の近くにいること | 災害時は無料開放される場合あり |
| 衛星通信(Starlink等) | 一部対応 | ○ | 対応端末・サービス契約 | 地上インフラに依存しない |
JAPANローミングの大きなメリットは、手元のスマートフォンだけで利用でき、事前の申し込みも不要な点です。一方、衛星通信のように地上インフラに依存しない手段と異なり、救済事業者の基地局が稼働していることが前提条件となります。
災害時には、状況に応じて複数の通信手段を組み合わせることが最善の対策です。JAPANローミングをメインの通信手段として活用しつつ、00000JAPANや災害用伝言ダイヤルなども併用する備えをしておきましょう。
企業・IoT導入担当者が押さえるべきポイント
JAPANローミングは個人のスマートフォン利用者だけでなく、企業のBCP(事業継続計画)にも関わる重要な仕組みです。企業の通信管理担当者やIoT導入担当者は、以下のポイントを押さえておく必要があります。
まず、社員に貸与しているスマートフォンがJAPANローミングに対応しているかを事前に確認してください。端末のOSアップデートを定期的に実施する社内ルールを整備することも重要です。
次に、JAPANローミングは携帯電話(スマートフォン)を対象としたサービスであり、IoT機器やM2M通信端末に直接適用されるものではありません。IoT機器の通信冗長性を確保するためには、複数キャリアのSIMを併用する、Wi-Fiや有線のバックアップ回線を用意するなど、別途の対策が求められます。
また、JAPANローミングは災害・障害の発生地域ごとに提供範囲が案内されるため、全国一律にサービスが提供されるわけではありません。自社の拠点や事業所がどのエリアに所在しているかを把握し、災害時の通信手段を拠点ごとに整理しておくことが望ましいでしょう。
災害時の通信確保は企業にとって大きな課題です。JAPANローミングの仕組みを理解した上で、BCP全体の中に組み込むことで、より実効性の高い事業継続体制を構築できます。
まとめ
JAPANローミングは、大規模災害や通信障害の発生時に他社のネットワークへ一時的に接続できる、2026年4月1日に開始される非常時の事業者間ローミングサービスです。NTTドコモ、KDDI、沖縄セルラー、ソフトバンク、楽天モバイルの携帯5社が共同で提供し、ユーザーは申し込み不要・追加料金なしで利用できます。
提供方式には、音声通話・SMS・データ通信がすべて利用できる「フルローミング方式」と、110番・119番・118番への発信のみが可能な「緊急通報のみ方式」の2種類があります。フルローミング方式では対応端末であれば自動接続されますが、緊急通報のみ方式ではユーザー自身による手動切替が必要です。
対応端末は2026年春以降発売のモデルから順次拡大しており、それ以前のモデルもソフトウェアアップデートで対応する場合があります。MVNOユーザーも音声通話・SMSは利用可能ですが、データ通信については対応が限られます。
いつ発生するかわからない災害や大規模障害に備えて、自分の端末がJAPANローミングに対応しているかを事前に確認し、緊急時の操作方法を把握しておくことが大切です。企業の担当者は、BCP対策の一環としてJAPANローミングの仕組みを社内で共有し、複数の通信手段を組み合わせた備えを進めましょう。

IoTBiz編集部
2015年から通信・SIM・IoT関連の事業を手掛けるDXHUB株式会社のビジネスを加速させるIoTメディア「IoTBiz」編集部です。
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