VPNとは?メリット・デメリットや導入方法をわかりやすく解説
VPNとは?メリット・デメリットや導入方法をわかりやすく解説

VPNとは仮想的に拠点間を安全に接続できるインターネット通信技術ですが、万能ではありません。本記事で紹介するVPNの仕組みや注意点、種類毎のセキュリティや費用の違いをしっかり確認しVPNで失敗しないようにしましょう!
目次
VPNとは?通常のネットワーク回線との違い
VPNは、Virtual Private Networkの略語で「仮想専用通信網」とも呼ばれていて、二つの拠点間で公共回線を使ってプライベートな専用接続を行う技術です。仮想的に二つの拠点が繋がっているかのように扱うため、本社でしか閲覧できないサーバーのファイルをVPN接続した支社で閲覧するといった事に使えます。VPNは通常の公共ネットワーク回線での通信に比べて、専用のセキュリティ技術を利用して通信することでより安全に通信ができます。ただし、依然として外部からのハッキングを受ける可能性はあります。最も安全な通信方法は専用回線ですが、費用が高額であるため、安価で通常のネットワークよりも安全なVPNが必要とされるわけです。
VPNのメリット・デメリット
ここでVPN導入のメリット・デメリットをまとめてわかりやすく解説します。
VPN接続のメリット
1.通常のインターネット回線よりも安全
通常のインターネット回線に比べて優れたセキュリティ技術によってより安全に接続できます。
2.どんな遠距離の相手ともつなぐことができる
もし安全な通信のため専用回線を敷設しようと思った場合、距離が遠くなるほど金額が高くなります。VPNでは遠距離の相手とも比較的安価に接続できます。
3.比較的安価に始められる
セキュリティと価格の異なる4種類のVPNがあり、特にインターネットVPNはセキュリティ強度があまり高くないものの、安価に始めることができます。
VPN接続のデメリット
1.セキュリティが完全ではない
VPNの種類によってセキュリティ強度はかわりますが、専用線と違ってセキュリティリスクは0にはできないため、常に注意を払う必要があります。
2.VPNでは接続できない場合がある
サイトやサービスによってはVPNを接続中にはアクセスできない場合があります。
3.社員へのセキュリティ教育が必要
VPNは外からの攻撃を防ぐ仕組みはありますが、使用者が誤った使い方をした場合や、ウイルスに感染したまま接続した場合は、接続先のデータを盗まれる危険性があります。そのため、きちんと利用のルールや注意点の周知が必要になります。
VPNの仕組みと技術
ここでは、VPNを構成する技術の仕組みと役割を解説していきます。
トンネリング
トンネリングとは2点間の通信をトンネルのようにつなぎ通常とは別のプロトコルで通信可能にする技術で、この技術のおかげでグローバルネットワークを介してもあたかも近くでつながっているかのように通信できています。トンネリングを確立しただけでは周りから情報が丸見えで危険な為後述のセキュリティ技術との併用が前提になっています。
カプセル化
カプセル化とは通信データを別の通信規格に埋め込むトンネリングを行って通信するために必要な技術です。カプセル化を行うことで周りから内部の情報が暗号化され見えなくなることで内容や宛先が盗み見られることを防ぎます。
認証
認証はトンネリングされた接続の利用者の正当性を確認する技術で、トンネリングの内部に侵入されないために様々な認証方法を用います。認証方法はIDとパスワードやワンタイムパスワード、多要素認証などがあります。
暗号化
データをカプセル化して送る際にさらに暗号化することで通信の安全性を高めます。暗号化は、通信経路のどの段階で暗号化するかによっていくつかの種類があり、用途によって使い分けられています。
VPNの暗号化の方法は、IPsec-VPN、SSL-VPN等があります。
VPNの種類と違い
4種類のVPNそれぞれの機能や費用、セキュリティの違いを解説します。
4種のVPNはインターネットVPNとその他3種の閉域網のVPNに大別されます。
閉域網は公共の通信環境とは隔離された、プロバイダの持つ専用回線を使用して拠点間をつなぐサービスで、公共の通信線を介さない分安全性が高いです。しかしその分高い費用がかかるため少数の拠点をつなぐ場合に適しています。速度も専用の回線を割り当ててもらえる分インターネットVPNより安定しやすく、契約によっては品質保証を付けることもできます。また、インターネットから隔絶されているためVPNを使用してのインターネット通信はできません。
インターネットVPN
インターネットVPNは既存のネットワーク上でVPN接続する方式です。既存のネットワークからそのまま接続する分最も安価ですがセキュリティは4種類の中で最も脆弱です。通信速度も保証されていません。好きな場所から接続できるので、リモートワークや出張で使いたい場合はインターネットVPNになります。
エントリーVPN
エントリーVPNは通信事業者が提供するADSLや光ブロードバンド回線などの閉域網(クローズドネットワーク)を使用する接続方式です。限られたユーザーしか利用できない閉域網を利用するため、インターネットVPNよりセキュリティが強固です。コストは後述するIP-VPNより安価です。通信速度はインターネットVPN同様保障されていません。
IP-VPN
IP-VPNは専用の閉域網(クローズドネットワーク)を構築する方式で、前述のエントリーVPN
と違い完全にインターネットから遮断された専用回線を利用するためより安全性が高まります。
IPプロトコルと呼ばれる通信プロトコルで接続するためIP-VPNと呼ばれており、セキュリティのカスタマイズ性は低いです。
広域イーサネット
広域イーサネットはIP-VPNによりカスタマイズ性を持たせたもので、通信速度も高く安全性も高い上にどのセキュリティプロトコルでも選択できる為、自社に最も合った環境を構築できます。
カスタマイズ性が高い代わりに料金は最も高く、設定もいじれるところが多く手間がかかり運用にも専門的な知識が必要です。
VPNのセキュリティプロトコル
VPNプロトコルとはVPN接続を行う際の通信のルールであり、その種類によって機能やセキュリティの質が変わってきます。そのため、各プロトコルの特徴・違いをつかんでおくことが重要です。
■IPsec-VPN
IPsec-VPNはOSI参照モデルのネットワーク層にて暗号化を行うVPNプロトコルです。主に拠点間の接続に使われています。
IPsec-VPNは、安全性の高い暗号化通信です。ネットワーク層で作用するため接続先の通信方式よらずどのようなアプリでも動作することができる点になっています。また通信速度も高速です。そんなメリットの多いIPsec-VPNですが、デメリットもあります。IPsec-VPNはアクセス制御が困難である上、VPNゲートウェイ設置と複雑な設定が必要です。リモートワークで各社員の自宅からつなぐ場合や、移動先でVPNにつなぎたいといったケースには向いていないでしょう。
■SSL-VPN
SSL-VPNはOSI参照モデルのセッション層で動作するVPNプロトコルです。どこからでも使えて設定が簡単な手軽さがありますが、その分セキュリティ強度は他の方式に劣ります。
SSL-VPNには3つの接続方式があります。それぞれできることとできないことが違うので解説します。
1.リバースプロキシ方式
リバースプロキシ方式は接続先のサーバーに接続する前にVPN機器にて認証してから接続する仕組みです。簡単に構築出来て便利ですが、webブラウザに非対応のアプリケーションでは使えません。
2.ポートフォワーディング方式
ポートフォワーディング方式はあらかじめ決めてあるサーバーやポート番号を決めておく接続方式です。
リバースプロキシ方式では扱えないメールサーバー等も扱えますが、通信中にポート番号が変わってしまうケースではつかえません。
3.L2フォワーディング方式
L2フォワーディング方式はパケットをカプセル化して送る通信方式で、ポート番号に関係なくデータを送れるためポートフォワーディング方式が使えないケースでも利用できて3種類の中で最も対応範囲が広いです。利用には接続される側のVPN用機器の設置と、接続する側の専用モジュールのインストールが必要になります。つまり、専用モジュールに対応していない機器では使えません。
■L2TP
L2TP(Layer 2 Tunneling Protocol)はデータリンク層で作用するVPN接続方法です。単体では暗号化機能がないため、セキュリティ上の問題があります。そのため、L2TP/IPsecとして組み合わせて利用されます。L2TP/IPsecはスマホ等モバイル端末でも接続できる上、セキュリティ面も優れています。導入には接続先のに専用のルーターが必要です。
■PPTP
PPTP(Point to Point Tunneling Protocol)は、最も歴史の古いプロトコルです。PPTPはL2TP/IPsecと同じくスマホからでも接続でき、違いとしてはPPTPの方が暗号化の手順が簡単で安全性が低い代わりにより高速に通信ができます。PPTPも各接続先に専用のルーターが必要です。
■OpenVPN
OpenVPNはオープンソースのVPNで、高いカスタマイズ性が特徴です。安全性や通信速度も高い水準でまとまっています。導入にはセットアップが必要です。
h2 VPNを選ぶ際のポイント
これまで紹介したVPN・接続方法の中からどれを選ぶべきかのポイントを解説していきます。
1.利用ケース
まずVPNの種類によって導入に必要なルーター、アプリケーションが異なります。会社のオフィスとオフィス同士の接続であれば閉域網を利用し安全性を確保し、リモートワークなら利便性を考えインターネットVPNを利用するといった使い分けが必要になります。
2.セキュリティ
当然セキュリティは高ければ高い方がいいですが、安全性を高めようとすると基本的により費用がかかるか通信速度が遅くなってしまいます。そのため、扱う情報によって利用するVPNを使い分けることが重要です。
3.管理コスト
VPNの種類によって必要な管理コストは大きく異なります。特にインターネットVPNでは日々新たな脅威に対応するため、継続的な管理コストがかかるでしょう。
4.対応端末
VPNの種類によってはOSがwindosのみ対応であったり、モバイル端末に対応していない場合があるので確認が必要です。
5.利用料金
プロバイダと契約する場合は料金と提供される通信の品質が重要になります。また、機器の設置が必要な場合はその価格と設置費用も重要になってきます。
VPNの導入方法
インターネットVPNの導入方法
インターネットVPNの導入にはVPN技術に対応したルーターを各拠点に設置する必要があります。ルーターを設置し、設定を完了すればすぐに利用できます。クラウドサービスを利用する場合にはルーターの設定は必要ありません。
エントリーVPN・IP-VPN・広域イーサネットの導入方法
これらのVPNの導入にはプロバイダとの契約が必須になります。基本的に機器の設置や保守等も含めて依頼することになるため、自社にあったプランと企業を選ぶことが重要です。
h2VPNサービス提供企業の紹介
ここでは実際にVPNサービスを提供している企業を紹介しています。
※こちらはPR記事になります
アズポケット株式会社 MillenVPN
MillenVPN(ミレンブイピーエヌ)はアプリをインストールするだけで使えるVPNで、海外から日本への安全な接続や、テレワークでのセキュリティ強化に使えるVPNサービスです。最大7Gbpsの高速通信で通信量無制限で利用できる点が特徴です。また、複数のスタッフで共有できる固定IPを使ってアクセス権を調整することで管理業務をシンプルにできます。
料金プランは次のようになっています。
月額料金 | 2,100円 | 4,000円 | 7,000円 | 13,000円 | 19,000円 | 24.000円 |
初期費用 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
ネットワーク | 1GBps | 1GBps | 2GBps | 4GBps | 5GBps | 6GBps |
アカウント数 | 1 | 10 | 20 | 40 | 60 | 160 |
まとめ
今回はVPNについて種類・メリット・デメリット・導入方法と様々な観点から解説しました。
振り返るとVPNは遠距離の拠点同士をより安全に接続できる通信技術でした。
4種類のVPNはコストが上がるとその分セキュリティのレベルが上がります、自社に必要なレベルがどこかよく考えてから導入すると良いでしょう。

IoTBiz編集部
2015年から通信・SIM・IoT関連の事業を手掛けるDXHUB株式会社のビジネスを加速させるIoTメディア「IoTBiz」編集部です。
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