ドローンに関わる仕事とは?仕事内容や種類、年収、将来性についてわかりやすく解説
ドローンに関わる仕事とは?仕事内容や種類、年収、将来性についてわかりやすく解説
近年、ドローンによる革新的な技術とその応用が注目を集めています。ドローンは空撮から農業、物流、警備まで幅広い分野で活用され、その可能性は拡大の一途をたどっています。この記事では、ドローンに関わる仕事の種類や内容、年収、そして将来性について詳しく解説していきます。ドローンが持つ多岐にわたる活用方法とともに、どのようなスキルや資格が求められるのか、また、この分野で成功するためにはどんな特性が必要なのかについても掘り下げていきます。
目次
ドローンの仕事の将来性
ここからは、ドローンの仕事の将来性について詳しく紹介していきます。
ドローン市場の急速な拡大
ドローンビジネスの市場は年々拡大しています。インプレス総合研究所の調査によると、ドローン市場は2017年から成長を続けており、2022年度には市場規模が3086億円に達しました。さらに、2028年度には約3倍の9340億円に達する見込みです。市場の拡大に伴い、ドローン関連の仕事も増加することが期待されます。
(参考)2023年度ドローンビジネス市場規模は前年比23.9%増の3854億円、2028年度は9000億円超へ 橋梁、大規模建造物に加え狭小空間での点検が進む『ドローンビジネス調査報告書2024』3月22日発売 | インプレス総合研究所
成長が見込まれる多様な分野
現在、ドローンの利用は農業、インフラ点検、物流、防犯など多岐にわたる分野で拡大しています。特に農業分野では、農薬散布の効率化が進み、点検分野ではインフラの維持管理がより効率的に行われるようになっています。物流分野では、ドローン配送の実証実験が進められており、2025年以降に本格的な市場が立ち上がると予測されています。
公的機関の支援と規制の整備
ドローンのビジネス活用に対して、公的機関も積極的な支援を行っています。例えば、日本の経済産業省はドローン関連予算を大幅に確保し、ドローン導入や関連製品の購入を支援する補助金を設けています。さらに、2022年にはドローンのレベル4飛行(有人地帯での目視外飛行)が解禁され、飛行可能エリアが拡大しています。これにより、ドローンの活用範囲が広がり、ビジネスチャンスが増えることが期待されます。
ドローンの有効求人倍率の高さ
厚生労働省の職業情報サイト「jobtag」によると、令和4年度のドローンパイロットの有効求人倍率は4.21でした 。これは、求人数に対する求職者の割合が非常に高いことを示しており、求人が多く応募者が足りていない現状を表しています。このデータからも、ドローンの仕事の需要が高まっていることがうかがえます。
(参考)ドローンパイロット ・職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
法規制の緩和と新技術の導入
ドローンの飛行に関する法規制は厳しいものの、技術の進化とともに規制の緩和が進んでいます。これにより、ドローンの活用範囲が拡大し、新たなビジネスチャンスが生まれています。例えば、ドローンによる空撮や測量、物流などの分野では、効率化やコスト削減が期待されています。
以上のように、ドローンの仕事は現在はまだ黎明期にありますが、今後の市場拡大や技術革新、公的機関の支援により、将来的に大きな成長が見込まれています。ドローン技術の進化とともに、新たなビジネスチャンスが生まれ、多くの分野でドローンの活用が進むことが期待されます。
ドローンの仕事の種類
ドローンの仕事には大きく分けて以下の3種類があります。
1. ドローンパイロット
2. ドローンエンジニア
3. ドローン講師
ドローンパイロット
ドローンパイロットは、ドローンを操縦して多岐にわたる業務を行います。映画やテレビ番組、観光地のプロモーション映像などを空撮するほか、農地に均等に農薬を散布する作業も担当します。また、土地や建物の測量、橋梁やダムなどのインフラ点検、人が立ち入りにくい場所の点検も行います。さらに、ドローンを使ったライトショーやパフォーマンス、施設内の警備や監視、小型荷物の配送、水質調査など、幅広い分野で活躍します。
ドローンパイロットの年収
ドローンパイロットの平均年収は453.8万円です。しかし、仕事内容やスキルによって年収は大きく変動します。例えば、農薬散布では1回の散布で20万円〜30万円の収入が得られることもあります。また、測量の外注相場は50万円程度です。
ドローンエンジニア
ドローンエンジニアは、ドローンの企画、設計、開発、検証を行う専門職です。具体的には、航空工学や材料力学を活用して機体を設計し、プログラミングスキルを用いて制御ソフトウェアを開発します。また、既存ドローンを特定用途にカスタマイズし、定期的なメンテナンスや修理も担当します。さらに、AIやICT技術を取り入れた新技術の研究開発も行い、ドローンの性能向上や新機能の実装を目指します。幅広い専門知識と技術力が求められる職業です。
ドローンエンジニアの年収
ドローンエンジニアの年収は500万円〜700万円程度が相場です。高度な専門知識が求められるため、年収も比較的高めです。特に、AIやICT技術の知見があるエンジニアはより高い年収を目指せます。
ドローン講師
ドローン講師は、ドローンの操縦方法や関連知識を教える専門職です。彼らは受講者に対して、ドローンの基本操作から高度な操縦技術までを実技で指導します。これには、基本的な動かし方や特定のテクニック、安全な操作方法が含まれます。また、ドローンを合法的に運用するための法律や申請手続きについても教え、トラブルなく運用できるようサポートします。さらに、最新技術や運用方法についてのセミナーを開催し、ブログやSNSを通じて情報を発信します。
ドローン講師の年収
ドローン講師の年収は300万円〜400万円程度が相場です。ドローンスクールの講師として勤務するほか、個人セミナーの開催や情報発信など、副業を通じて収入を増やすことも可能です。
ドローンパイロットの仕事内容
ドローンパイロットの仕事内容は、多岐にわたります。ここからはその主な業務内容とそれに必要なスキル、資格について詳しく紹介していきます。
空撮
ドローンを使って空中から動画や写真を撮影する仕事です。
主な業務内容
・映画・テレビの撮影:映画やテレビ番組のための映像撮影。
・報道撮影:事件や災害現場の様子を撮影し、報道に使用。
・プロモーション撮影:CMやアーティストのプロモーション映像、企業のプロモーション用映像を撮影。
・素材販売:撮影した写真や動画をストックフォトサービスで販売。
必要なスキル・資格
・高い操縦技術と撮影技術。
・各種撮影機材の操作知識。
・映像制作の基礎知識。
農薬散布
ドローンを使い、広範囲に農薬を散布する仕事です。手動やヘリコプターで行っていた農薬散布の代替として注目されています。
仕事の方法
・農家や地域との連携:農家や地域との関係を築き、農薬散布を任される。
・農薬散布代行業者に所属:ドローン散布の代行業者として活動。
・自営:自ら農薬散布代行事業を開始。
必要なスキル・資格
・農林水産航空協会やUTCの認証を受けたドローンの操作技術。
・産業用マルチローター技能認定資格。
測量
ドローンを使用して地形や建物の測量を行います。主に写真測量やレーザー測量技術を用います。
主な業務内容
・公共機関の案件:地方自治体や国が行う公共工事の測量。
・民間企業の案件:ゼネコンやコンサルティング会社からの測量依頼。
必要なスキル・資格
・測量士や測量士補の国家資格。
・測量技術とドローンの操作技術。
点検
設備やインフラの点検を行います。ドローンにカメラや遠赤外線カメラを取り付けて点検を行います。
主な業務内容
・公共機関の案件:道路やダム、橋梁などのインフラ点検。
・民間企業の案件:屋根やソーラーパネル、ビルの壁面などの設備点検。
必要なスキル・資格
・点検業務に関連する民間資格(例:プラント点検スペシャリスト養成、点検資格等講習)。
ドローンショー
複数のドローンを使用してエンターテインメントを提供する仕事です。イベント会社に所属して行うことが一般的です。
主な業務内容
・大規模なイベントでのドローンショーの企画と運営。
必要なスキル・資格
・高度な操縦技術とプログラミングスキル。
警備
ドローンを使用して広域の警備や巡回を行います。スポーツ施設やイベント会場などでの警備に利用されます。
主な業務内容
・工場やイベント会場の上空からの巡回警備。
必要なスキル・資格
・警備員指導教育責任者資格。
・機械警備業務管理者資格。
物流
ドローンを使って小型荷物の配送を行う仕事です。物流業界の人手不足や離島、山間部への配送課題を解決する手段として注目されています。
主な業務内容
・拠点間の輸送。
・エンドユーザーへの配送。
・災害時の物資配送。
必要なスキル・資格
・一等無人航空機操縦士資格。
ドローンエンジニアの仕事内容
ここからは、ドローンエンジニアの仕事内容とそれに必要なスキル、資格について詳しく紹介していきます。
企画
ドローンエンジニアの仕事は、まず企画段階から始まります。ここでは、新しいドローンの機体やソフトウェア、アプリケーションの企画を行います。具体的には、市場ニーズや技術的な可能性を考慮し、ドローンのコンセプトや性能仕様を明確にします。企画段階では、将来の展望や製品の競争力を見据え、開発の方向性を決定します。
実装
企画が決定された後、実装段階に進みます。ここでは、企画に基づいて具体的な開発作業が行われます。ドローンの機体設計やソフトウェア開発、必要に応じてアプリケーションの開発も含まれます。実装の過程で、実際の技術的な問題に直面し、解決策を見つけるための試行錯誤が繰り返されます。開発チームと連携して、計画通りに製品を完成させるために根気強く取り組みます。
検証
製品の開発が完了したら、次に検証段階に入ります。ここでは、完成したドローンの機体やソフトウェアに対して、様々なテストと検証が行われます。品質や性能、安全性などの観点から問題がないかを確認し、必要に応じて改善を加えていきます。検証作業は、製品の最終的な品質を保証する重要なプロセスであり、完成度を高めるための最後のチャンスです。
追加業務
産業用ドローンに関わる場合、既存のドローンのカスタマイズや修理、アフターメンテナンスも重要な業務となります。特に、特定の用途に応じたドローンのカスタマイズは、その使用領域や必要な機能に最適化するために不可欠です。ドローンの安全性と性能を確保し、その運用の効率性を向上させるために、エンジニアは幅広い技術的な知識と実践的なスキルを活用します。
必要なスキルと資格
ドローンエンジニアには、航空工学、材料力学、電子工学などのハードウェアに関する専門知識が求められます。また、C言語、C++、Pythonなどのプログラミング言語を使ったソフトウェア開発能力も重要です。さらに、ドローンの特定の用途に関する知識も必要となります。例えば、測量や点検、農業用途などのドメイン知識を持つことで、設計や開発の効果を最大化することができます。
ドローンエンジニアとしてのスキルは、専門的でありながらも多岐にわたるため、関連するトレーニングや教育プログラムの活用が有効です。現在、ドローン業界は成長著しい分野であり、その発展に伴いドローンエンジニアの需要も増加すると予測されています。
ドローン講師の仕事内容
ここからは、ドローン講師の仕事内容とそれに必要なスキル、資格について詳しく紹介していきます。
教育分野での活動
ドローン講師の主な役割は、ドローンに関する知識や技術を教えることです。主にドローンスクールでの講師として活動し、受講者に対して操縦技術や法律、申請手続きなどの基本的な知識を伝授します。実技としては、ドローンの安全な操作方法や複雑な飛行技術を教えることが求められます。
ドローン操作の実技指導
ドローン講師は、受講者に対して実際のドローン操縦技術を教授します。初心者から上級者まで対応し、基本的な操作から高度な飛行技術までカバーします。これには、ドローンの基本操作、特定の動作の実行、異なる環境下での安全な操作方法などが含まれます。
法律と規制の指導
ドローンの法的規制や運用に関する知識も重要な教育項目です。講師は、ドローンの飛行に関する国内外の法律や規制、必要な飛行許可の申請手続きについて教えます。これにより、受講者が法的に適切かつ安全にドローンを運用するための基礎を身につけることができます。
情報発信と副業の可能性
ドローン講師は、自身の知識や経験をブログやYouTubeなどで発信することもあります。これにより、広く一般の人々にドローンの魅力や実用性、最新技術について発信し、副業としての収入を得ることができます。ドローンの普及に伴い、情報発信の重要性も増しています。
必要な資格とスキル
ドローン講師には特定の資格は必須ではありませんが、スクールでの教育経験やドローンの実務経験が求められる場合があります。また、例えばドローン操縦士協会(DPA)のインストラクター資格などがあれば、その信頼性や専門性が認められるでしょう。教育的な側面だけでなく、コミュニケーション能力や教育技術も重要視されます。
ドローンの仕事に必要な国家資格や民間資格
ドローンを利用した仕事には、さまざまな資格が必要とされる場合があります。主に国家資格と民間資格に分かれ、それぞれの取得基準や効果について詳しく紹介します。
国家資格
国家資格は「無人航空機操縦士技能証明」として知られ、一等と二等の2つのランクが存在します。これらの資格を持つことで、より高度な飛行や特定の飛行条件下での作業が可能になります。
・一等資格:レベル4飛行が可能であり、有人地域での目視外飛行が含まれます。例えば、スタジアムでの空撮や市街地での物資輸送、建設現場での測量などが該当します。
・二等資格:比較的制約の少ない飛行が許可され、特定の制限付き飛行も可能です。
国家資格取得のメリット
国家資格を取得することで、航空法に基づく飛行制限の許可申請が簡略化される点が最大のメリットです。例えば、目視外飛行や夜間飛行などの制限が緩和され、特定の飛行状況での作業が可能になります。
民間資格
民間資格は主に技術の証明として機能し、クライアントや雇用主に対して自身の操縦技能や知識の信頼性を示すことができます。
・DJICAMPドローン資格:操縦技術と経験を証明したい人向けの資格です。
・JUIDAドローン資格:初心者から業務経験者向けに異なるパターンが用意されています。
・DPAドローン資格:初級から上級までの2種類があり、全国の認定校で取得可能です。
・JDAドローン資格:6つの種類に分かれ、操作技術だけでなく、特定の作業(例: 農薬散布)に特化した資格も含まれます。
民間資格取得のメリット
民間資格を持つことで、クライアントや雇用主に対して自己の能力を証明できるほか、国土交通省への許可申請を容易にすることができます。また、一部の国家資格の試験や講習の免除も受けることが可能です。
特定のドローンを使用する場合の資格
特定の用途や条件下で使用するドローンには、追加の資格が必要な場合があります。
・産業用マルチローター技能認定:農業での農薬散布など特定の作業に使用するドローンには、この認定が必要です。農林水産省の指定する施設での教習を通じて取得します。
これらの資格や認定は、仕事の性質や目的に応じて選択する必要があります。ドローンの利用範囲が拡大するにつれて、これらの資格はますます重要な役割を果たすことが予想されます。
ドローンの仕事が向いている人
最後は、ドローンの仕事に向いている人の特徴について詳しく紹介します。
好奇心と学び続ける姿勢を持っている人
ドローン関連の仕事は急速に進化しており、技術や法律の変化に追随する必要があります。そのため、好奇心旺盛で新しい知識を吸収し、成長し続ける姿勢が重要です。例えば、最新の航空法の改正や新技術の導入について学び、それを実務に活かすことが求められます。ドローンを使った様々なアプリケーションが開発される中で、常に業界の最前線を追求することが仕事の成功につながります。
注意力・判断力があり臨機応変に対応できる人
ドローンの飛行は常に予期せぬ状況に遭遇する可能性があります。天候の急変や突然の風の変化など、飛行状況は予測困難です。そのため、飛行前には周囲の環境を細心の注意を払って把握し、安全性を最優先に判断する能力が求められます。また、クライアントの要望に応じつつ、現場の状況に応じた臨機応変な対応が必要です。例えば、撮影時の最適なアングルや照明条件を見極める判断力が求められます。
想像力と問題を解決する力を持っている人
ドローンの仕事では、予期せぬ問題やトラブルが発生することがあります。その際には、想定外の状況に対応するための柔軟な対応力と創意工夫が重要です。例えば、技術的な問題や設備の故障に直面した際に、素早く解決策を見出すことが求められます。また、現場での操作方法や撮影プランの変更をリアルタイムで行い、最良の結果を追求する能力も必要です。
体力に自信がある人
ドローンの仕事は屋外での作業が多く、時には過酷な条件下での作業が求められることがあります。例えば、撮影現場への機材の運搬や設置、長時間の集中力を要する操作など、体力的な負荷がかかることがあります。そのため、持久力や体力に自信があり、疲れにくい体力が求められます。
IoTBiz編集部
2015年から通信・SIM・IoT関連の事業を手掛けるDXHUB株式会社のビジネスを加速させるIoTメディア「IoTBiz」編集部です。 DXHUB株式会社 https://dxhub.co.jp/ 京都本社 〒600-8815 京都府京都市下京区中堂寺粟田町93番地KRP6号館2F 東京オフィス 〒151-0053 東京都渋谷区代々木1-25-5 BIZ SMART代々木 307号室
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