スマートストアとは?特徴やメリット、日本国内・海外事例を紹介
スマートストアとは?特徴やメリット、日本国内・海外事例を紹介
「少子高齢化」を迎えて将来的な人口減少が予測されている日本において、小売業界の「人手不足」はさらに深刻な問題となっています。変化が求められている社会の中で、最も注目されているテクノロジーが、インターネットとあらゆるモノを繋ぐ「IoT」です。この記事では、小売業界の中で新たなトレンドになろうとしている「スマートストア」の特徴から店舗経営の課題、メリットから実際の活用事例などを総合的に解説します。
目次
スマートストアとは
スマートストアは、「IoT・AI技術によって運営効率化を図る店舗」と定義されています。
「AI搭載カメラ」「重量センサーを搭載した商品棚」などを取り入れることによって、以下のようなことが実現可能です。
・顧客属性、移動経路、商品購入状況、在庫状況などのデータを自動で収集する
・収集したデータを用いて商品選定、棚割り、発注などを効率的にする
世界に目を向けると、入店→商品選定→決済→退店までの流れを無人で行える店舗も生まれており、「小売業の人員不足」解消に期待が集まっています。
スマートストアの特徴
「止まらない人口減少」「オンラインストアの台頭」など、実店舗での経営は逆風の時代を迎えています。
IoT技術を取り入れた「スマートストア」には、どのような特徴があるのかを見ていきましょう。
無人のため、感染防止対策になる
新型コロナウイルスなどの感染防止対策として、無人店舗を実現できる「スマートストア」は効果を発揮します。
近年では、企業でも「テレワーク」が浸透しており、非接触ニーズは未だに高いです。
オンラインストアでは手に入れることが難しい新鮮な食材を購入できる上に、「スマートストア」によって非接触ニーズも満たせるのが独自の特徴と言えます。
「RFID」「スマートレジカート」で無人決済を実現
「RFID」とは、商品名・価格・製造年月日などの電子情報を入力した「RFタグ」を商品に付けて、専用リーダーで電子情報をやり取りする仕組みです。
小売にRFIDを導入することで、買い物客が商品に入ったカゴを専用の機械に入れることで、RFタグのデータを一括で読み取り、自動的に精算金額を算出できる仕組みとなっています。
ショッピングカードに決済機能を搭載した「スマートレジカート」は、スマートフォンにアプリをインストールしてカートと同期することで、店舗ゲートを通過するだけで自動決済が可能です。
「レジの待ち時間削減」など無人決済が実現することで多くのメリットが得られます。
企業側の人件費削減にも繋がる
「商品の棚卸」「会計の自動化」がスマートストアで実現できれば、店舗で働く人員を削減することが可能となり、企業側の人件費削減にも繋がります。
人件費は、毎月一定額を支払わなければならない「固定費」であることから、最少人数で店舗を運営できる仕組みは大きなメリットになるのです。
小売業や店舗運営の課題
効率的な店舗運営が可能な「スマートストア」ですが、急速に広まっていない現状を見ると課題も多くあります。大きなものをピックアップして押さえておきましょう。
ITシステム導入に掛かる多額のコスト
一番の問題点は、店舗を実現する上で掛かるITシステム導入の多額コストです。
お店の利用客が満足できる店舗運営の最適化が実現して、「人件費削減」「売上向上」が達成できたとしても、投資した金額を回収するためにはある程度の長期間を見なければいけません。
ITシステムを使いこなす人材が必要
各種ITシステムを導入したとしても、実際に店舗運営オペレーションを策定する際に、ITシステムを使いこなせる人材が求められます。
その他、一定以上のITシステムに対するリテラシーが求められることから、アルバイト採用などのハードルも引き上がることも考えられるのです。
システムを導入できても、店舗運営に落とし込むまでに必要な人材が足りないことも大きな課題として考えられています。
万引きなどの犯罪対策が必要
「無人店舗」で運営する場合に、懸念されることは「犯罪対策」です。
セキュリティ面もITシステムを活用することで、問題を解消することもできますが、ITシステム導入の投資額は追加で上乗せされていきます。
スマートストアのメリット
スマートストアの導入には、多くの課題があることを説明してきました。
多額の費用が掛かる問題はありながらも、大手企業は多額の費用を投資して「スマートストア」導入に力を入れています。
なぜ、大手企業が「スマートストア」を導入するのかを、見ていきましょう。
マーケティングの活用
スマートストアでは、「購入された商品」「購入日時」「購入者属性(性別・年齢)」「店舗内動線」などあらゆる情報を電子データ化できます。このようなデータを分析しながら、店舗運営に生かすことで売上向上に繋がるのです。
リアル店舗の情報を集めてオフラインビジネスにも活かせる
例えば「Amazon」がスマートストア「Amazon Go」をアメリカで展開しているように、スマートストアでリアルな統計情報を取得することで、オフラインビジネスにも活用できるようになります。
若い世代では一般的になりつつある「オンラインストア」ですが、「オンラインストア」を利用せずに実店舗で買い物を続ける方も多く、その属性を分析することでビジネスに生かせるのです。
スマートストアの事例(日本国内・海外)
最後に、日本国内と海外で「スマートストア」が活用されている事例を取り上げます。
【日本国内】TOUCH TO GO
株式会社 TOUCH TO GOが、JR山手線「高輪ゲートウェイ」駅内にオープンしたスマートストアです。
完全キャッシュレス店舗であり、店舗内に設置されているカメラが入店した顧客と手にした商品をリアルタイムで認識して、決済エリアに立つとタッチパネルに商品・購入金額が自動的に表示されます。表示内容を確認した顧客が交通系電子マネーをかざすことで、商品決済が完了するのです。
(参考)高輪ゲートウェイ駅 無人AI決済店舗「TOUCH TO GO」がサービス開始 商品は手に取るだけ!“ウォークスルーの次世代お買い物体験” | 無人決済・セルフレジならTOUCH TO GO
【日本国内】CATCH&GO
ダイエーとNTTデータが協力して、2021年9月に「CATCH&GO」をNTTデータ社内にオープンしました。
菓子類、飲料、弁当、冷凍食品などを約600品目販売しており、店舗に設置されているカメラと商品棚の重量測定センサーによって、商品を手に取るとオンラインカートに自動的に追加されていきます。
その他、賞味期限が迫っている商品通知が携帯に届くなど「フードロス」削減に対する取り組みも行われているのです。
(参考)「ウォークスルー店舗」をオープン | NTTデータ | NTTデータグループ - NTT DATA GROUP
【日本国内】たべりば
埼玉県ふじみ野市にある「トナリエふじみ野」に、スマートストア「たべりば」がオープン。コロナ禍で厳しい状況の置かれている業者支援に繋げることを目的として、地元産食品約350種類を販売しています。
店舗に設置されたAIカメラによって、顧客の手に取った商品・移動経路・表情まで解析して、その情報は匿名データとして生産者に伝えられる仕組みです。
(参考)未来型小売店スマートストアの実証実験店「たべりば」がトナリエふじみ野に8月オープン 仕入先を募集中|株式会社はじまりビジネスパートナーズのプレスリリース
【海外:アメリカ】Amazon Go(アマゾン・ゴー)
Amazon Goは、アマゾンによって開発された無人コンビニエンスストアです。センサーとAI技術を使用して、顧客が商品を選択してカートに入れた商品が自動的に認識され、Amazonアカウントに追加されます。その後、顧客はアプリを使って購入手続きを行い、レジなしで店舗を出ることができます。
(参考)Amazon Go | Amazon.jobs
【海外:中国】BingoBox(宾果盒子)
BingoBoxは中国の無人店舗ブランドで、北京を拠点に展開しています。顧客はスマートフォンを使用して店舗に入り、商品を選んで支払いを行います。店内にはセンサーとカメラがあり、商品の追跡と監視が行われています。
まとめ
スマートストアの出現は、「人員不足」「少子高齢化」に悩む小売業界において大きな希望の光になる可能性が高いです。
しかし、実際にはITシステム導入費用が高くなることから店舗数が増えないという課題も抱えています。
メリットと課題などを俯瞰して情報を得た上で、「スマートストア」に関する知識を高めていきましょう。
IoTBiz編集部
2015年から通信・SIM・IoT関連の事業を手掛けるDXHUB株式会社のビジネスを加速させるIoTメディア「IoTBiz」編集部です。 DXHUB株式会社 https://dxhub.co.jp/ 京都本社 〒600-8815 京都府京都市下京区中堂寺粟田町93番地KRP6号館2F 東京オフィス 〒151-0053 東京都渋谷区代々木1-25-5 BIZ SMART代々木 307号室
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