ビッグデータとスモールデータの違いとは?意味や特徴、活用事例をわかりやすく解説
ビッグデータとスモールデータの違いとは?意味や特徴、活用事例をわかりやすく解説

「ビッグデータ」という言葉が注目を浴び始めてから既に10年以上が経過しました。日本国内でも主に大企業を中心にビッグデータの活用が広まりましたが、最近では「スモールデータ」という概念にも注目が高まっています。本記事では、ビッグデータとスモールデータの基本的な意味や特徴、活用事例、そしてそれらの違いについてご紹介いたします。
目次
ビッグデータとは
スモールデータについて紹介する前に、ビッグデータについて簡単に解説します。
ビッグデータの意味と特徴
ビッグデータとは、「Volume(量)」「Velocity(速度)」「Variety(種類)」「Value(価値)」「Veracity(真実性)」の5つの「V」からなる様々な種類や形式のデータのことです。
ビッグデータの特徴5つの「V」
Volume(量)
ビッグデータの1つ目の特徴は、「Volume(量)」です。
ビッグデータのデータ量は、ExcelデータやCSVデータのような構造化されたデータやそのように構造化されていない非構造化データを含めて、数十テラバイトや数百ペタバイトというデータ量になる事もあります。
Velocity(速度)
ビッグデータの2つ目の特徴は、「Velocity(速度)」です。
ビッグデータでは、データの処理速度がとても重要です。データの送受信をしてから処理されるまでの速度が、いかに高速であるかというのが、データをリアルタイム活用するような領域では求められます。
Variety(種類)
ビッグデータの3つ目の特徴は、「Variety(種類)」です。
ビッグデータにおける種類とは、活用できるデータがいかに多様であるかという事を指します。これまでのデータ分析では、あらかじめ決まった形式に整理された構造化データを扱っていましたが、ビッグデータの普及とともに、テキストデータや音声データ、動画データ、位置情報、ログファイル、IoTセンサー情報など、様々な構造化データや半構造化データ、非構造化データを扱うことが可能になりました。
Value(価値)
近年、ビッグデータの4つ目の特徴として注目されているのが、「Value(価値)」です。
ビッグデータの中には、それぞれデータ固有の価値が存在しますが、そのデータ自体の価値を発見し、分析・活用されなければ、何の意味もありません。そのためビッグデータを、ビジネス上の価値に結びつけたり、社会課題の解決に役立てたりする必要があります。
Veracity(真実性)
近年、ビッグデータの5つ目の特徴として着目されているのが「Veracity(真実性)」です。
ビッグデータを活用する際には、データ自体の真偽を正しく把握し活用する必要があります。SNSなどでよく耳にすることの多くなったフェイクニュースやノイズデータを排除し、いかに正しい情報であるかを担保することが必要です。
「ビッグデータ」について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
『ビッグデータとは?意味や定義、身近な活用事例5選』
ビッグデータの活用事例
ここでは、ビッグデータの活用事例を3つ紹介します。
1. マーケティングと顧客行動分析
ビッグデータを活用して、顧客の嗜好や行動パターンを分析し、マーケティング戦略を最適化することができます。購買履歴、ソーシャルメディアの投稿、ウェブサイトのアクセス履歴などのデータを統合し、ターゲットセグメンテーションやパーソナライズドな広告配信を行います。
2. 健康管理と予防医療
医療機関や保険会社は、患者の医療記録、生体計測データ、遺伝子情報などのビッグデータを活用して、病気の早期発見や予防策の開発に役立てることができます。これにより、医療の効率性や正確性が向上し、医療費の削減も可能となります。
3. 交通と都市計画
都市の交通システムに関するビッグデータを収集し、交通渋滞の予測や交通フローの最適化を行うことで、交通事故や排出ガスの削減、移動時間の短縮などを実現します。また、都市計画においても、人々の移動パターンや都市インフラの利用状況を分析し、都市の発展や効率的な資源配分を計画するのに役立ちます。
スモールデータとは
次に紹介するのは、スモールデータについてです。

スモールデータの意味と特徴
▼スモールデータの意味
スモールデータとは、アクセスが簡単で、扱いやすい形式かつ有意義な洞察が可能なデータのことです。
また、ビッグデータの特定のレコードやデータだけを抽出したものをスモールデータとして扱うこともあります。そのため、抽出元のデータサイズではなく、抽出した後の活用する部分だけのデータサイズに焦点を当てて「スモール」と呼んでいます。
▼スモールデータの特徴
①取り扱いが簡単
スモールデータの1つ目の特徴は、「取り扱いが簡単」ということです。
一般的に、ビッグデータを活用する際には、(1)データの収集(2)データの分析と可視化(3)データに基づく意思決定の3つのステップで活用する必要があり、それらを扱うには、データアナリストなどの専門家やハイスペックな機器が必要となります。
しかし、スモールデータの場合は、扱うデータ量が少ないこともあり、ある程度のデータ分析の知識や経験があれば、簡単に扱うことができます。
②時間とお金がかからない
スモールデータの2つ目の特徴は、「時間とお金がかからない」ということです。
①で説明したように、ビッグデータ活用には専門家が必要になり、導入するまでにある程度の時間がかかりますが、スモールデータの場合であれば、扱うデータ量が少ないこともあり、データ分析の基本的な知識があればスモールデータ分析と活用を行うことができます。また、データの分析や活用も一般的なBIツールで出来る範囲のものなので、ビッグデータと比べて時間がかからないことが特徴です。
③付加情報を合わせることでインサイトの発見が可能
スモールデータの3つ目の特徴は、「付加情報を合わせることでインサイトの発見が可能」ということです。
スモールデータは、ビッグデータと比べてデータ量が少ないため、スモールデータと合わせてその周辺データを加味して分析することが必要です。付加情報を合わせることで、より良いインサイトを見つけることができます。
ビッグデータ時代にスモールデータが重要な理由
ビッグデータ時代にスモールデータが注目されている一番の理由は、「ビッグデータの限界」についてです。
これまでの風潮としてビッグデータを活用することで、ありとあらゆる事象を予測したり、推測したりすることができるだろうと考えられてきましたが、実際には、その予測や推測が必ずしも正しいものだとは言えないということがわかってきました。つまり、ビッグデータの限界とは、ビッグデータ活用は万能ではないということです。
ビッグデータの限界に関する事例としてよく取り上げられるのが、グーグル・インフルトレンドの予測についてです。
2008年にGoogleの研究者は、検索に使われた語句をもとに病気の流行を予測できるのではないかと考えスタートしたグーグル・インフルトレンドでしたが、2009年の新型インフルエンザ(H1N1)の世界的大流行を見逃し、2012年から2013年にかけて流行したインフルエンザに関しては、逆に、流行していない時にアラートを連発する過剰予測をおこなってしまいました。つまり、グーグル・インフルトレンドの予測は、何度も予測からハズレてしまうという結果に終わってしまいました。
これが、まさにビッグデータの限界と呼ばれる代表的な事例です。
(参考)日本人が知らない「ビッグデータ信奉」の限界|東洋経済オンライン
このような理由から、ビッグデータ時代には、ビッグデータだけではなく、スモールデータも掛け合わせたデータ活用が必要だと考えられています。
スモールデータの活用事例
ここでは、スモールデータの活用事例を3つ紹介します。
1. A/Bテスト
スモールデータを用いて、製品やサービスの改善を行うためのA/Bテストを実施することがあります。一部の顧客やユーザーに変更点を適用し、その結果を分析することで、新たな戦略や機能の有効性を評価し、効果的な改善策を見つけ出すことができます。
2. マーケットリサーチ
スモールデータを利用して、ターゲット市場や顧客のニーズを理解するためのマーケットリサーチを行うことがあります。少数の顧客やフィードバックを分析し、市場の動向や需要の変化を把握し、ビジネス戦略の改善や新商品の開発に活かすことができます。
3. カスタマーサポート
スモールデータを使用して、カスタマーサポートの向上に取り組むことがあります。顧客からの問い合わせやフィードバックを収集し、傾向やパターンを把握することで、サポートの品質向上や迅速な対応を実現します。
ビッグデータとスモールデータの違いや関係性
それでは、改めてビッグデータとスモールデータの違いや関係性を振り返ります。
ビッグデータとスモールデータは補完関係
ビッグデータには、ビッグデータならではの特徴があり、スモールデータには、スモールデータならではの特徴があります。どちらか一方が優れていて、どちらか一方は、優れていないという関係性ではなく、ビッグデータとスモールデータは、それぞれが共に補完し合う関係性で成り立っています。

IoTBiz編集部
2015年から通信・SIM・IoT関連の事業を手掛けるDXHUB株式会社のビジネスを加速させるIoTメディア「IoTBiz」編集部です。
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